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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

浜辺のビーナス

浜辺のビーナス


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 女を服従させるのが好みの彼が、なぜ私なんかに興味をもつの?

 亡夫の虐待によるいまだ癒えぬ心の傷に苦しむマージーはある日、たった一人の肉親である妹から深刻な相談を受けた。恋人との交際をその兄キャノンに猛反対されているというのだ。“財閥の名家の次男と貧乏な娘では、身分違いも甚だしい!”と。なんて傲慢なの? 妹に泣きつかれ、彼に会うことになったマージー。だが、現れたキャノンは彼女を鋭い目で観察し、忘れたい過去の傷をえぐるような言葉を次々に浴びせかけてきた。もうやめて! 耐えきれずマージーがその場を立ち去ろうとしたとき、いきなり彼の硬い胸に引き寄せられ、耳元でささやかれた。「妹と恋人の仲を裂きたくなければ、ぼくの言うことを聞くんだ」

 ■『炎を消さないで』につづき、1982年に出版されたダイアナ・パーマーの秀作『浜辺のビーナス』を新訳版でお贈りします! 傲慢な堅物ヒーローと悲劇的な過去を持つヒロインが繰り広げる情熱的なロマンス――唯一無二の作家の才能をご堪能ください。

抄録

 彼は煙草を灰皿の中でもみ消しながら言った。「きみは酒を飲まないんだろう? レストランでもひと口も飲んでいなかったし、ここに来てからも食事のときに出されるワインに手をつけていない」
 マージーは顔を上げて目を合わせた。「お酒が好きじゃないの。それなのに最初に会った日、あなたはわたしが飲みもしないお酒を注文し、その勘定を押しつけて帰ったのよ」
 キャノンは愉快そうに笑った。「いつかその埋め合わせはするよ」そう言うと、ソファの背もたれに手を伸ばし、彼女をじっと見つめた。
 シャツの胸もとがますますはだけ、マージーはあわてて目をそむけた。
「どうして酒を飲まないんだ?」
「鼻につんとくるから」
「本当かな? 酒にいやな思い出でもあるんじゃないのか?」
 マージーはアルコール依存症だった父を思い出した。顔が青ざめるのがわかり、唐突に話題を変えた。「あなたのお母さんのこと、大好きになったわ。気さくでやさしいけれど、とても芯の強い人ね」
「強くなければならなかったんだ。ぼくの父は元陸軍の大佐で、ふたつの大戦を戦った。戦争が終わってからはすることがなくなり、人を厳しく訓練することを楽しむようになった」
「とくに、あなたを?」
 彼は片方の眉を上げた。「ああ、そのとおりだ。きみはなかなか鋭いね。そう、とくにぼくをね。ぼくも子どものころは父の期待に応えようとしてがんばったんだが、働きだしてからは対立するようになり、毎日が父との戦いだった」
「アンディもなの?」
 キャノンは肩をすくめた。「アンディは誰とも戦わなかったさ。もちろん、ぼくともね」
「それって、わたしに警告しているつもり?」
「そう思ってくれてかまわない」彼は再び煙草を取り出すと火をつけた。「アンディは意志が弱い。狼を寄せつけないようにするためには、洗練された賢い女性が傍らにいなくてはならないんだ」
「つまり、アンディは意志薄弱だから、生まれつき獰猛な女性が必要だと言いたいわけね」マージーはぴしゃりと言い返した。「それは事実ではないし、侮辱してるのも同然だわ。アンディはやさしいけれど、弱虫ではないわ。あなたにもそのうちわかるわよ」
 キャノンは尊大に眉をつりあげた。「ぼくよりも、きみのほうが弟のことをよくわかっていると言いたいのか?」
「一緒に住んでいるからといって、弟のことをよくわかっていると思うべきじゃないわ。他人のことはわからないものなのよ。たとえ兄弟や親であっても」
「だったら、きみはぼくの知らないアンディの何を知っているんだ?」
「新聞に記事を書くようになってから、人の心を読むことを学んだわ。アンディはやさしいけれど、鋼のような強さを秘めている。これまではあなたがだめと言ったら、アンディはそれに従ってきたんでしょう。でもジャンのことはちがうわ。ジャンをあきらめろと言えばいいのよ。それでどうなるのか、その目でたしかめればいいんだわ」
 彼は目を鋭く細めた。「きみは本当にぼくをいらいらさせるのがうまいな」
 灰皿の上の忘れられた煙草が細長い煙を立て、ふたりのあいだを漂った。
「あなたがいらいらするのは、言い返されることに慣れていないからよ、そうなんでしょう?」
「まあね」キャノンは素直に認めた。
「あなたは会社の重役連中をおどすことはできるかもしれないけれど。そうでしょう、なにしろ下着メーカーの社長さんなんだから……ちょっと!」
 ふいにキャノンの手が伸びてきて彼女の首をつかみ、ぐいと抱き寄せられた。
「いいか、ぼくはくだらない冗談にはもううんざりしているんだ」
「手を離して!」マージーはそう叫び、夕方そうしたように彼の胸に手をついて押しやろうとしたけれど、無駄だった。胸の鼓動も夕方のときのように速まっていたが、それは怖いからではなかった。
 キャノンの手の力が強まり、マージーの頬は彼の肩に押しつぶされた。彼の手は鋼鉄さながらだった。
「さあ、ぼくと戦ってみろ、ハニー」キャノンはそう言うと、目を合わせ、顔をゆっくりと近づけた。「でもきみがいくら体をよじらせて抵抗しても、ぼくをますます興奮させるだけだ……」
 彼女はその大胆な言葉に息をのみ、唇を開いた。キャノンはそれを見逃さなかった。
 温かな唇が自分の唇に押し当てられると、マージーの全身はこわばった。キャノンのにおいの混じった高価なコロンの香りが漂ってくる。その香りを吸いこんだとたん、これまで経験したことのない衝撃が体に走った。氷のように硬直した体が焼け焦げるように熱くなったのだ。キャノンは驚くほど力強かった。片手でマージーのうなじをがっちりとらえ、舌で彼女の口の中を探っている。爪を立てて引っかいて彼を押しやることもできたが、そうしたいとは思わなかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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