和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>美少年
著者プロフィール
高円寺 葵子(こうえんじ あおいこ)
11月×日生まれ 蠍座 O型
好きなものは紅茶とお花。気分転換と称しガーデニングに精を出す日々。
著書に『Call me queen』(茜新社) 、『アリスにおまかせ!』(桜桃書房)、『 虹色candy box』『子供じゃないっ!』『 がんばれ信濃』(心交社)、『君は僕の無邪気姫』『愛がなくちゃね!』『天使襲来』『象牙のモノリス』(オークラ出版)、『ムーン・ガーディアン』(ムービック)、『P・B・(ピーチボーイ)』シリーズ(二見書房)ほか多数。
11月×日生まれ 蠍座 O型
好きなものは紅茶とお花。気分転換と称しガーデニングに精を出す日々。
著書に『Call me queen』(茜新社) 、『アリスにおまかせ!』(桜桃書房)、『 虹色candy box』『子供じゃないっ!』『 がんばれ信濃』(心交社)、『君は僕の無邪気姫』『愛がなくちゃね!』『天使襲来』『象牙のモノリス』(オークラ出版)、『ムーン・ガーディアン』(ムービック)、『P・B・(ピーチボーイ)』シリーズ(二見書房)ほか多数。
解説
学園の超アイドル、御園生は儚げな美貌とはうらはらに、実はケンカの達人。だが、その真実を知るのは幼馴染みの神楽と生徒会長の速水だけ。おかげでガタイはいいがココロは気弱な神楽がいつも濡れ衣をきせられ、「影の暴君」と噂される羽目に……。そんなある日、敵対する高校から内情を探りに一人の男が潜入……。炸裂! 学園バトル・ラブ★
目次
ネコかぶりの王子様
●プロローグ
●ネコな人々(1)
●ネコな人々(2)
●乱入者(1)
●乱入者(2)
●ネコは昼寝のふりで獲物をうかがう
●神楽誠、濡れ衣をきせられる
●噂〜好奇心は人を殺す
●警告
●果たし状?
●対決〜一番怖いのはだれ?
●ネコの幸せ
●エピローグ
彼が彼を好きなワケ
●プロローグ
●ネコな人々(1)
●ネコな人々(2)
●乱入者(1)
●乱入者(2)
●ネコは昼寝のふりで獲物をうかがう
●神楽誠、濡れ衣をきせられる
●噂〜好奇心は人を殺す
●警告
●果たし状?
●対決〜一番怖いのはだれ?
●ネコの幸せ
●エピローグ
彼が彼を好きなワケ
抄録
御園生を見つめる神楽の顔が、ますます悲痛に歪められる。
手を伸ばしたときのように、さんざん迷い……しかし、今度こそ口にした。
「風梨を悲しませたくないから」
「なんだって?」
「俺が謝ったのは、風梨にこんな顔をさせてしまったからだ。悔しい思いをさせてごめんなさい。悲しませてごめんなさい」
神楽は、告げる。ただただ御園生のためだったのだと。
『他人にならなにを言われてもかまわない』
と言いつつも、そのことが原因で御園生が悔しい思いをするのは嫌だという。
御園生が腹を立てて噛みつけば、自分が御園生を怒らせたことを後悔する。
神楽が謝るのも悲しむのも、すべては御園生のためである。御園生が原因だと、彼は言うのである。
それは御園生にとって、喉元《のどもと》に言葉のナイフを突きつけられたのと同じだった。
「!」
ただでさえ、赤みを帯びていた御園生の顔が、今度こそ真っ赤になった。
まなじりを吊りあげた双眸は、激昂《げっこう》のあまり潤みさえしていた。
予想もしなかった返答だ。
これまでは、てっきり叱《しか》られるのを嫌がって、そんな弱さから逃げるために、ただ謝っているだけだと思っていた。
だが、神楽は違うと言う。
神楽は、嘘を言う男ではない。
そして、御園生のためだと言う。
ずっと神楽を守っているつもりだった。
それなのに、神楽は神楽なりの思いもかけないやり方で、御園生を守って……そうでなくとも傷つけまいとしていたというのだ。
驚きもしたが、そんな気を遣わせながらも、気づきもしなかった自分にもむかついた。
急速に激昂する感情を、自分でも抑えることができなかった。
「そんな気なんか遣ってもらいたくないよっ」
思いきり左右の頬に平手を食らわせる。
だが、その直後、手首を掴まれた。
たんなる腕力や握力のみなら、同年代で神楽にかなう者はいない。
御園生もそうで、そのまま引き寄せられても、振り払うことはできなかった。
いったいなにを考えているのか。神楽は、いきなり御園生に覆いかぶさった。長い腕と広い胸で抱きしめたのだ。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」
ほっそりとした御園生の身体を抱きしめる目許には、光るものが浮かんでいた。
それだけではない。いきなり唇を押しつけたのだ。他でもない御園生の唇に。
「!」
生々しい感触が、御園生の唇を包みこむ。
ぶちまけた話、神楽だけでなく他のだれとも、キスをするのは初めてだった。
御園生のあまりにも浮き世ばなれした美貌のためだろう。個人的な『交際』どころか『おつきあい』しようなどと目論《もくろ》む人間などいなかったからだ。
まさに、遅かりしファーストキスだった。しかも、神楽と!
呆然と固まること、十数秒……やっとわれに返って、抱きつく身体を突き飛ばす。
「なにすんだよ、なんのつもりだよ」
御園生の声音は完全に裏返っていた。
慰めているはずだった。なじりつつも激励しているつもりだった。
それなのに、思い描いていたものとは、まったく逆の立場が、彼を激しく動揺させた。じりじりと後ずさりをする顔に浮かんでいるのは、一種の恐怖だ。
「もう、おまえなんて、勝手にしろ」
ついに、たたきつけて駆け去ってしまう。
神楽が、呼びとめるすきもない。
「風梨……」
御園生を見送った神楽の眉間に、きゅっとシワが刻まれる。
立ち去る御園生の目許に浮かんでいた涙が、くっきりと網膜に刻みこまれている。
(風梨を泣かせてしまった……)
彼の手は、無意識のうちに唇に伸びている。たった今まで御園生と触れあっていた場所だ。
御園生とのキスは、頭に霞《かすみ》がかかるほど甘く幸せな一時だった。
だが、桃色の夢から覚めた今、彼の胸中をよぎるのは不安と罪悪感だった。
とぼとぼと歩き出した神楽の頭上に、絹糸のような霧雨がしとしとと降り出した。
*この続きは製品版でお楽しみください。
手を伸ばしたときのように、さんざん迷い……しかし、今度こそ口にした。
「風梨を悲しませたくないから」
「なんだって?」
「俺が謝ったのは、風梨にこんな顔をさせてしまったからだ。悔しい思いをさせてごめんなさい。悲しませてごめんなさい」
神楽は、告げる。ただただ御園生のためだったのだと。
『他人にならなにを言われてもかまわない』
と言いつつも、そのことが原因で御園生が悔しい思いをするのは嫌だという。
御園生が腹を立てて噛みつけば、自分が御園生を怒らせたことを後悔する。
神楽が謝るのも悲しむのも、すべては御園生のためである。御園生が原因だと、彼は言うのである。
それは御園生にとって、喉元《のどもと》に言葉のナイフを突きつけられたのと同じだった。
「!」
ただでさえ、赤みを帯びていた御園生の顔が、今度こそ真っ赤になった。
まなじりを吊りあげた双眸は、激昂《げっこう》のあまり潤みさえしていた。
予想もしなかった返答だ。
これまでは、てっきり叱《しか》られるのを嫌がって、そんな弱さから逃げるために、ただ謝っているだけだと思っていた。
だが、神楽は違うと言う。
神楽は、嘘を言う男ではない。
そして、御園生のためだと言う。
ずっと神楽を守っているつもりだった。
それなのに、神楽は神楽なりの思いもかけないやり方で、御園生を守って……そうでなくとも傷つけまいとしていたというのだ。
驚きもしたが、そんな気を遣わせながらも、気づきもしなかった自分にもむかついた。
急速に激昂する感情を、自分でも抑えることができなかった。
「そんな気なんか遣ってもらいたくないよっ」
思いきり左右の頬に平手を食らわせる。
だが、その直後、手首を掴まれた。
たんなる腕力や握力のみなら、同年代で神楽にかなう者はいない。
御園生もそうで、そのまま引き寄せられても、振り払うことはできなかった。
いったいなにを考えているのか。神楽は、いきなり御園生に覆いかぶさった。長い腕と広い胸で抱きしめたのだ。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」
ほっそりとした御園生の身体を抱きしめる目許には、光るものが浮かんでいた。
それだけではない。いきなり唇を押しつけたのだ。他でもない御園生の唇に。
「!」
生々しい感触が、御園生の唇を包みこむ。
ぶちまけた話、神楽だけでなく他のだれとも、キスをするのは初めてだった。
御園生のあまりにも浮き世ばなれした美貌のためだろう。個人的な『交際』どころか『おつきあい』しようなどと目論《もくろ》む人間などいなかったからだ。
まさに、遅かりしファーストキスだった。しかも、神楽と!
呆然と固まること、十数秒……やっとわれに返って、抱きつく身体を突き飛ばす。
「なにすんだよ、なんのつもりだよ」
御園生の声音は完全に裏返っていた。
慰めているはずだった。なじりつつも激励しているつもりだった。
それなのに、思い描いていたものとは、まったく逆の立場が、彼を激しく動揺させた。じりじりと後ずさりをする顔に浮かんでいるのは、一種の恐怖だ。
「もう、おまえなんて、勝手にしろ」
ついに、たたきつけて駆け去ってしまう。
神楽が、呼びとめるすきもない。
「風梨……」
御園生を見送った神楽の眉間に、きゅっとシワが刻まれる。
立ち去る御園生の目許に浮かんでいた涙が、くっきりと網膜に刻みこまれている。
(風梨を泣かせてしまった……)
彼の手は、無意識のうちに唇に伸びている。たった今まで御園生と触れあっていた場所だ。
御園生とのキスは、頭に霞《かすみ》がかかるほど甘く幸せな一時だった。
だが、桃色の夢から覚めた今、彼の胸中をよぎるのは不安と罪悪感だった。
とぼとぼと歩き出した神楽の頭上に、絹糸のような霧雨がしとしとと降り出した。
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