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スペイン公爵の嘆き

スペイン公爵の嘆き


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

 愛を打ち明けたとたん公爵は去った。呆然とする彼女に、一瞥もくれずに。

 スペイン屈指の富豪で、公爵の称号を持つアレハンドロが、裕福で美人のいとこではなく、貧しく平凡な私を選ぶなんて。喜びに酔いしれたレナはひと夏を彼に捧げるが、愛を告げたとたん、アレハンドロは無情にも去っていった。失意のまま、レナは彼の目を逃れるようにメキシコへ渡り、そこでひそかに息子を産んだ。だが慎ましくも平和な母子の生活は、ある日突然終わりを告げる。「その子は本当に僕の子か?」アレハンドロ!? なぜここがわかったの? どうしよう。もし息子が彼の子だと知られたら奪われてしまう……。

 ■23歳のレナの前に現れた、美貌のスペイン人公爵アレハンドロ。彼の手練手管に翻弄されるレナの運命は……? ジェニー・ルーカスの手腕が光る、ドラマチックなロマンスをお楽しみください。

抄録

「聞いたとおりだ」アレハンドロが告げた。「出ていけ。さもないと警備員が放りだす」
「用心棒を呼ぶというのか?」エドワードはあざけった。「自分でやったらどうだ」
「ご要望とあらば喜んで」アレハンドロは袖をまくり、両の拳を構えた。
「だめ!」わたしは彼の腕をつかんだ。筋肉質の腕は太く、指をまわすこともできない。「お願い、アレハンドロ。彼がいなかったら、わたしもミゲルもやっていけなかった。お願いだからやめて、わたしのために」
 アレハンドロは静かに拳を下ろした。「きみのために」エドワードのほうを向き、冷たい声で言い放つ。「感謝する。ぼくの愛する者を守ってくれて」
 愛する? 一瞬、アレハンドロを見つめ、それからミゲルのことを言っているのだと気づいた。
 エドワードはアレハンドロをにらみつけた。「くそっ」ドア口で振り向き、捨てぜりふを吐く。「きみのために戻ってくるよ、レナ」
 エドワードは立ち去った。とはいえ、ほっとしたのはつかの間だった。
「どうりで、彼はきみに家を貸し、きみを守ったわけだ。彼はきみを自分のものだと思っている。なぜだ?」
 わたしは振り返り、アレハンドロと向き合った。彼の瞳には激しい怒りが浮かんでいたが、苦痛の色も見えた。「先週、彼はわたしにキスをしようとしたわ。わたしが驚き、笑ってやりすごすと、去っていった。彼が何を望んでいたにしろ、彼は友人にすぎなかったのよ」
「友人だと?」アレハンドロはあざけるように応じた。「彼が何を望んでいたか、きみは知っていた」
 わたしは首を左右に激しく振って否定した。「先週まで、少しも知らなかったわ」
「きみはあえて知るまいとしてきたんだ。彼はきみを愛している」
「それは違う」わたしは身震いした。「わたしを本当に愛していたら、ミゲルも愛したはずよ。だけど、彼はいつも赤ん坊にいらだっていた。ミゲルを養子に出すべきだとも言ったわ」
「それでもやつを友人と呼ぶのか? 息子に近づけさせるのか?」
 アレハンドロに言い返したかった。ほかに方法がなかったのだ、と。けれど言葉にならず、低い声で肝心なことだけ言うしかなかった。「ごめんなさい。わたしが間違っていたわ」
 彼はさらに非難を重ねようと口を開けていたが、出鼻をくじかれたようで、長いあいだわたしを見つめていた。廊下の向こうから音楽や人々の笑い声が聞こえてくる。彼は目をそらし、髪を乱暴にかきあげた。
「けっこう《ビエン》。ぼくも完璧ではない」アレハンドロはわたしに向き直った。「だが、二度とあの男に会うな。ミゲルに近づけさせるな」
「わかったわ」
「いいのか?」
「息子のことを“そいつ”と呼んだときから、友人ではなくなったから」
「ということは」アレハンドロはさりげない口調を装った。「彼にキスをさせたのか?」
 わたしは憤然として彼の顔を見た。「いい加減にして!」絨毯を踏み鳴らす。「同じことを二度言うつもりはないわ」
「きみたちはここで話していた……」
「あなたがダンスフロアで美人女優と話しているのを見たわ。でも、あなたを非難しなかった。先週、エドワードに言い寄られ、わたしは断った。それだけのことよ」
「ぼくたちが結婚したら……」
 頬がかっと熱くなった。「結婚!」驚きの目で見返す。「誰が結婚するわけ?」
 今度はアレハンドロが驚いた。「結婚を申しこんだじゃないか!」
「申しこんだ?」つい口調が辛辣になる。「あなたが申しこんだとき、わたしは断ったわ。今夜はあなたが勝手に公表しただけよ! あなたは申しこんだかもしれないけれど、わたしはイエスと言った覚えはないわ」
「ぼくたちは結婚する。受け入れるんだ」
「契約は受け入れるわ」わたしは言い返した。「愛する息子のため、同じ町に、たぶん同じ家に住むかもしれない。人前では本当の夫婦のように振る舞う。それでも、あなたと本当に結婚することはないわ。わたしがまた体を、あるいは心を、あなたに与えると思っているの?」
「言っただろう。心は求めていない」
「だったら、ほかのものもあきらめて。あなたのことはミゲルの父親として敬うわ。だけどそれだけ」歯を食いしばって続ける。「わたしはあなたのものじゃない。エドワードのものでもないのと同じよ」
「ぼくは‘やつ’とは違う。きみの子供の父親だ」彼はわたしの手首をつかんだ。「きみはぼくと結婚する。心はいらない。だが、体はぼくのものだ」
「違う!」怒りを覚えながらも、彼がつかんでいる手首から体の奥へと熱い衝撃が走った。彼はわたしをクロークのコートに押しつけ、見下ろした。
「やっと見つけたきみをぼくが手放すと、本気で思ったのか? なすべきことを果たすため、一度はきみをあきらめた。ところが、運命は再びきみをぼくの腕の中に戻してくれた。きみは永遠にぼくのものだ」
 アレハンドロは顔を寄せ、激しく唇を奪った。彼の唇は熱く、こわばっていた。
 やがて、冷たい灰に埋もれていた残り火が燃えあがるように、体の奥底から炎が舞いあがった。彼の荒々しい抱擁にわたしはどうしようもなく全身を震わせ、彼の体に腕を絡ませた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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