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ハーレクイン・ロマンスセット 21

ハーレクイン・ロマンスセット 21


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・デジタルセットハーレクイン・ロマンスセット
価格:2,280pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

 リン・レイ・ハリス(Lynn Raye Harris)
 祖母がガレージセールで買ってきたハーレクインのロマンス小説を初めて読み、将来はシークかプリンスと絶対に結婚すると心に誓う。その後軍人と結婚。クレムリンを訪問したり、地球の反対側にある火山を探索するといった世界中を飛び回る生活を送ることになる。有望なロマンス小説に贈られるアメリカ・ゴールデン・ハート賞で2008年度、最終選考まで残った。

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

 ★お得なセット価格★ハーレクイン・ロマンス4作品収録

 『その日まで愛を知らずに』―ホリーのワイナリーにフランコ・チャッツフィールドが乗り込んできて、強引に契約を迫った。彼女は必死に抗うが、不埒な御曹司の誘惑に翻弄され……。

 『スペイン公爵の嘆き』―貧しいレナは公爵アレハンドロと奇跡的なひと夏を過ごした。だがその直後、彼は一人でスペインへ帰国。再会したとき、すでにレナは彼の子を産み育てていた。

 『砂漠の王と千一夜』―姉の代理で人工授精を受けたシェリダン。手違いで、あろうことか砂漠の国のラシード王の子供を身ごもったと知らされた直後、彼にさらわれる。

 『青ざめた蘭』―妊娠した妹の相手がジェイソンの義弟とは悲しい偶然だった。捨てられ自殺を図ろうとした妹を救うため、ローラはかつての愛人で元上司の彼を頼るしかなかった。

抄録

 ホリーの足元の板がきしみ、フィッシュ・アンド・チップスでいっぱいの胃がひっくり返る。桟橋の先端に着くと、胃は元に戻った。そこにはしがみつける手すりがあり、ホリーは数回深呼吸をして心を落ち着かせた。
 フランコは釣り糸を垂れている地元の人に何か釣れたかと話しかけ、彼らが誇らしげに見せた魚をのぞきこんでいた。
 ホリーは風に顔を向け、潮の香りを胸に吸いこんだ。手すりにつかまっているあいだは安全だ。ホリーは目を閉じ、皺の寄った眉間を風に打たせながら、鴎の鳴き声を聞いて、まだ生きていると感じた。

 ホリーから緊張感が伝わってきた。フランコは彼女がずっと黙りこんでいるのは、先ほどの議論に関してまだ不快感を覚えているからだと思っていた。しかし、関節が白くなるほど手すりにしがみついている姿はいかにも具合が悪そうだった。
 フランコはホリーの肩に触れた。「大丈夫か?」
 彼女が驚いて目を開けた。青い目には恐怖の色が浮かんでいる。「大丈夫よ」
「本当か?」
 一瞬のためらいのあと、ホリーはピンクの舌で唇をなめ、弱々しい笑みを浮かべた。「もちろんよ」
「そうは見えない」
 ホリーの目が泳いだ。「それはたぶん、私が桟橋の熱烈な愛好者じゃないからよ」
「なんだって?」
「私は隙間が苦手なの。なぜみんなが平然としていられるのかわからない。もし何かを落としたら沖にさらわれて、二度と見られない気がするわ」ホリーは言葉を切り、息を止めた。ターコイズブルーの目が彼の理解を求めている。
「きみは泳げないのか? だから怖いのか?」
「泳げるわ! 私が苦手なのは、このきしむ音や、揺れているような感覚なの」
「もう引き返したいか?」
 ホリーの目が恐怖にきらめいた。片手を手すりから離し、慌ててまたつかむ。「いいえ! 今はまだだめ。もう少し待って。そうすれば大丈夫だから」
 フランコは防波堤に視線を向けた。誰がこの事態を予測できただろう? 葡萄の木と話ができる僕の強敵が、闘犬のように自分の貴重なワインを守っている女性が、桟橋のような単純なものを恐れているとは。「なぜここに来ることに同意したんだ? なぜ反対しなかった?」
「あなたに知られたくなかったからよ」
「どうして?」
「あなたに、あきれられたくなかったの」
「僕はあきれたりしない」
「ええ、そうよね。立派な大人が浜辺の建造物を怖がるのは全然変じゃないわ。少しもおかしくない」
「僕は笑っていないよ、ホリー」
 ホリーは彼の目を探るように見て笑いのかけらを見いだそうとした。だが、すぐに気がすんだらしく不意に海へと視線を戻した。彼女が口を開く気になるまで丸一分かかった。「私が小さいころ、祖父と祖母がここに連れてきてくれたわ。私はお気に入りの熊のぬいぐるみを持っていた。熊の手を持ってぶらぶら振っていたの――祖父がよく私の手をつかんで振っていたように。そうしたら急に風が吹いてきて、熊は私の手を離れ、板の上で弾んで海に落ちた。私は熊が波にさらわれるのを見つめながら、なぜ大人たちは海に飛びこんで熊を助けないのかと憤慨していたわ」
「それ以来、桟橋が嫌いになったのか?」
「いいえ、その前から好きじゃなかった。板のあいだの隙間も、真下に海があることも」ホリーは身震いした。「でもあの日、私の警戒心は正しいと証明されたの」
 フランコは話題を変えたほうがいいと思い、またほかに知りたいこともあったので、その質問をした。「いつからガスと暮らしているんだ?」
 ホリーは海を見つめたまま肩をすくめた。「三歳からよ。両親が自動車事故で亡くなったの」
 一瞬の間があった。「ご両親の不在を疑問に思っていたが、きみに直接きくのははばかられた」
「別に秘密じゃないわ。祖父母が私を引き取ったの。数年後に祖母も亡くなったけれど。最悪なのは、私に両親の記憶がないこと。写真を見ても、父が働いていた廃墟と化した病院を見ても。病院って、来る途中で立ち寄った湖の向こうにあった建物だけれど……」ホリーはフランコを見て、彼がうなずくのを待って続けた。「その男女が両親だとはわかるけれど、ほとんど抽象的な概念なの。わかる? それでいて熊のぬいぐるみが海に流されたことは最大の悲しみのように覚えているのよ」ホリーは体ごと彼のほうを向いた。「おかしいでしょう?」
 ホリーは目で彼に訴えていた。紅潮した唇はうっすらと開かれ、髪は風にそよいでいる。フランコは自分にできるただひとつのことをした。
 かがみこんで彼女にキスをしたのだ。唇と唇がそっと触れただけの羽のように軽いキスだった。
 しかし、少し塩からくて女らしい味だということを知るには充分だった。フランコは、人魚の唇はこんな味なのかもしれないと思った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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