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もう一度あなたと

もう一度あなたと


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

 離婚して5年、ようやく立ち直りかけたローレンのもとに、かつての義母から1本の電話がかかってきた。「アンドリアスが死にそうなの」18歳の彼女の愛を踏みにじったアンドリアス・ケラリデス――かぎりなく傲慢で、罪なほどセクシーなギリシア人億万長者。事故に遭った元夫は離婚の記憶を失い、“妻”を呼んでいるらしい。渋々ながら彼を見舞ったローレンは、昔のように愛をささやかれ、気づくと孤島での静養に付き添うことを承諾していた。ときおり彼に物憂げに見つめられていることを知らずに……。

抄録

 ローレンは静かにベッドの脇に立ち、身動きしないアンドリアスをじっと見おろした。まぶたを閉じているために黒く濃いまつげが白いシーツに際立って見え、痛々しい。色の失せた唇に目を落とした時、彼女は誘惑に抗しきれないというように身をかがめ、思わず自分の唇をふれていた。
 すぐにベッドから伸びた手はローレンの首にからみついた。目を上げたローレンは、まぶたの間から鳶色の目が現れるのを見た。
「ローレン。ぼくの恋人《エロス・ムー》。やっと来てくれたんだね。どこへ行ってた?」アンドリアスがささやいた。
「ずっとよくなったようね」頼りなげに言いながらローレンは相手を傷つけないように身を離そうとした。だが、アンドリアスの手にはびっくりするような力がこめられ、彼女は身がほどけなかった。
「もう一度キスして。ぼくは眠ってたんだ。さっきのはずるいよ。ぼくが起きてる時にキスしてほしいんだ」アンドリアスはかすれた声で言った。
 ローレンはアンドリアスに軽く接吻した。彼は手をうなじに強く押し当て、彼女を身動きできないようにした。そしてむさぼるように彼女の唇を求めた。
 こんなに激しく彼を求める気持が自分の中に再び起ころうとは、ローレンは思ってもみなかった。そのことにひどく傷ついた彼女は、アンドリアスの抱擁から身を引き離すと、両手をしっかりと組んでそこに立った。まるで走って来たかのように彼女の息づかいは激しかった。
「どうした?」落ち着きなく体をずらすアンドリアスの目に苦痛の影が差したのを、ローレンは見のがさなかった。
「じっと寝てなきゃいけないわ。気持を動揺させるのはよくないのよ」ローレンは言った。
「きみに冷たくされると、ひどく気が動転するんだ」今度はちょっとからかうような口調だったが、ローレンの全身に視線を走らせるアンドリアスの目は、官能をそそられたかのように光っていた。ローレンは椅子に座った。こうすれば、アンドリアスはわたしの変化に気がつくだろう。彼の記憶は十九歳の小娘のままで止まっているのだろうが、今のわたしは二十四歳の女性なのだ。
「長居できないの」ローレンはいらいらして言った。
「今、来たばかりじゃないか。なぜ、そんなによそよそしいの?」アンドリアスの目は怒っていた。
 ローレンは全身の勇気を奮い起こし、かがみこむようにして笑いかけた。「よそよそしく聞こえたのならごめんなさい。あんまり心配だったから」
 アンドリアスの顔はなごんだ。「そうだろ。かわいそうに! きみをみじめにさせて悪いと思ってるよ。きみは若すぎて、こんな重荷には耐えられないんだ。ぼくの恋人《エロス・ムー》、今度のことはきみにはつらかっただろう」もどかしげな目をして、アンドリアスは自由の利くほうの手を頭に持っていった。「どうしてあんなことになったのか、ぼくは何も覚えてないんだ。皆も車にぶつかったってこと以外はおしえてくれないし……」
 アンドリアスの話し方は弱々しかったが、死にかけている人のものではないとローレンは思った。頭もはっきりしているようだし、言うこともまともだった。
「トラックからこぼれ出た油で、あなたの車がスリップしたのよ」
 アンドリアスは眉をひそめた。「それはいつのこと? ぼくが最後に覚えてるのは、ニューヨークに一緒に旅行したことだ。ヒースローから車で帰るところまでは思い出せるんだ。きみも車に乗っただろう。衝突事故を起こしたのはその時じゃないね?」
 ローレンは喉に痛みを感じた。唾をのみこんで言った。「あなたが衝突事故を起こした時、わたしは一緒じゃなかったのよ」
 アンドリアスは探るような目で、じっとローレンの顔を見つめた。
「うん、おふくろもそう言ったよ。じゃあ、どうしてなかなか来なかったの? どこにいたんだ? きみのお父さんのところ? それとも、親友のフィリップのところかい?」彼の目が細くなってきた。
 ローレンが立ち上がりざまに引いた椅子が床にきしんだ。「もう寝たほうがよくってよ、アンドリアス。わたしは五分間しかここにいられないの」
「ローレン!」アンドリアスは手を伸ばして、ローレンのスカートをつかんだ。「まだ答えを聞いてない。フィリップと一緒だったのか?」
 彼女の目に衝撃と痛みが走った。「ちがうわよ。パリのマリー・クレールのところにいたの」ようやくそれだけのことが言えた。
 アンドリアスの顔はなごんだ。「ああ!」彼はため息をついた。「ごめん……」
「もうほんとに行かなくちゃ」
「キスしてほしい」アンドリアスはささやいた。
 断るわけにはいかなかった。それはまさに苦行だった。アンドリアスの指は、絹のような髪をかき分けてローレンのうなじをやさしく愛撫した。再び彼がむさぼるように唇を求めたので、彼女は身を震わせた。やがて横たわった彼は、ため息をついた。
 アンドリアスの憔悴しきった顔を見ていると、ローレンはやさしい気持になってきた。「さあ、もう眠るって、約束して」彼女は頼むように言った。
 アンドリアスは少し笑い顔になった。「約束するよ」やっと聞き取れるような声でつぶやいたかと思うと、もう深い眠りに落ちていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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