和書>小説・ノンフィクション>ライトノベル>異世界ファンタジー
著者プロフィール
高殿 円(たかどの まどか)
バカの日生まれ、座右の銘は「はったり人生当たって砕けた」。最近、秋葉原に「メイド喫茶」なるものがたくさんできたと聞き及んでおります。そこではかわいらしいメイドさんたちがエプロンを付けて「いらっしゃいませ、ご主人様v」とやってくださるとか。そこで疑問なのですが。執事カフェはないもんですか? 出てくる給仕さんたちはみんなテールコートの執事姿。名札は全員「セバスチャン」。執事による執事好きのためだけのカフェ。その名も「セバスカフェ」。……あ、いりませんか。そうですか……。
バカの日生まれ、座右の銘は「はったり人生当たって砕けた」。最近、秋葉原に「メイド喫茶」なるものがたくさんできたと聞き及んでおります。そこではかわいらしいメイドさんたちがエプロンを付けて「いらっしゃいませ、ご主人様v」とやってくださるとか。そこで疑問なのですが。執事カフェはないもんですか? 出てくる給仕さんたちはみんなテールコートの執事姿。名札は全員「セバスチャン」。執事による執事好きのためだけのカフェ。その名も「セバスカフェ」。……あ、いりませんか。そうですか……。
解説
自国の民を救おうと、大国の王のもとへ嫁ぐ決心をしたアンブローシア。謎多き自らの過去と向かい合い、運命を切り開こうとするセドリック。穏やかな物腰の陰で、なにかを思い詰めた様子のエルウィング――。それぞれの想いを胸に秘め、謎の「銃姫」の行方を追う三人。道中、突如として彼らの行く手を阻んだのは、魔銃士の少年とその召し使い。ティモシーと名乗る少年は、セドリックの等級タグを狙って決闘を挑んできた。やがて吹き荒れる嵐から逃れ、一行がたどり着いた先に待っていたものとは!?
目次
プロローグ
第五話 まっすぐに歩いていく――前編――
エピローグ
あとがき
第五話 まっすぐに歩いていく――前編――
エピローグ
あとがき
抄録
エルウィングは、珍しいうす桃色の瞳をきょろりと動かしてセドリックを見上げた。
「わたし、これからもずっとずっとセドリックの側にいるわ。‘どんなことをしても’」
「エル……」
「だから、セドリックもこのままでいてね。裏切ったりしないでね、約束よ」
「う、裏切るって」
もう一度、エルウィングは言い直した。
「約束よ、ねえセドリック」
「う、うん……」
セドリックは、なんとなく迫力に負けて頷《うなず》いた。
彼は緊張していた。
エルウィングの顔がほんの目の前にある。いつものエルの顔だ。綺麗《きれい》な顔だと思うけれど、自分にとってはべつだん珍しいものでもなんでもない。
なのに、
(なんだか、この距離は変だ)
と、セドリックはいぶかしげに思った。今までとはなにかが違う。エルが自分を見てくる視線も、彼女がセドリックを呼ぶ声も、ねっとりとした話し方も、からみついてくるようなその抱きしめ方も――
「っっ」
体を離そうとして、セドリックはぎょっと体を固くした。
動けない。いつのまにかエルウィングの腕がセドリックの胸に回されていて、身動きができないのだ。エルウィングは右の手を彼の頭のうしろに、もう片方の手を背中にそわせて顔を胸に埋めていた。まるで体ごとぶつかってきているような抱きしめ方だ。……いいやこれは抱きしめているのではない。
捕らわれている。
「エ、エル、離し……」
少し強く言おうとした、そのときだった。
「〈百億万の母アルストロメリア、万物のゆりかご、そして墓標となる御方に申し上げるっ〉」
有名な〈決闘〉の詠唱《ゲール》が、突然セドリックたちの立っていた辺りに響き渡った。
「えっ……」
セドリックは驚いて振り返った。
いつからそこにいたのか、セドリックと同じくらいの歳の少年が、銃を携えて立っていた。
「セドリック=アリルシャー。この超高位魔銃士ティモシー=ボイドがオマエに決闘を申し込む。今すぐアルストロメリアにすべての審判をゆだねよ。そしてオレと戦え!」
「な――」
すると、地中からエメラルドグリーンの光がしみ出してきて、セドリックの足元をからめとろうとした。
「エル、だめだどいていてっ!」
とっさのことに、セドリックはエルウィングを魔法陣の外に突き飛ばした。
まるで砂の下から古代のレリーフが浮かび上がるように、地面の上に文字が現れた。その蛍光色の光は、あっというまに土の魔法陣を描いていく。
「グリザリエルの魔法陣……」
契約《フイラメント》を司る地霊であり、地母神アルストロメリアの眷属《けんぞく》であるグリザリエルが仲立ちをした五角形の魔法陣、それがこのグリザリエル魔法陣だった。五角の錬成陣は安定性もよく、魔銃士同士の決闘に使われることが多いので、魔法陣の中では最もポピュラーだといわれている。
シュウン……と魔法陣が描き終わると、円の中央にグリザリエルの文字が刻み込まれる。
「閉じられた……!?」
セドリックは嘆息した。これで、どちらかが天に向かって空砲を撃《う》つまでは、二人はここから出ることはできない。
少年が撃った空砲の薬莢《やっきょう》が、セドリックの足元にまでころころと転がってきた。あまりの強引さに、さすがのセドリックも険しい顔つきで相手を睨《にら》みつけた。
「だれだよおまえは、こんなことしていったい僕になんの用があるんだ!?」
少年が胸を張って言った。
「決まってるだろう。オマエが分不相応に手にしたその等級タグをもらいにきたんだ」
と、自信たっぷりに言い放つ。
(こいつ……!)
手にしている銃をチラリと盗み見る。
(こいつも昔のギースみたいに、決闘をふっかけにきたのか!)
驚いたことに、セドリックにいきなり決闘を申し込んだのは、彼とそう歳の変わらない少年だった。くすんだくせのある金髪にキャラメル色の瞳はあまり珍しい取り合わせではなかったが、鼻がしらの辺りにそばかすがあって、体も全体的にすこしずっくりとしている。
要するに太っているのだ。
「まさかセドリック=アリルシャーがこんなガキだったなんて驚いたよ。あの“赤いたてがみ”のギース=バシリスから等級を食ったっていうから、どんないかつい魔銃士かと思っていたのに」
わざとらしく肩をすくめて、少年は言った。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「わたし、これからもずっとずっとセドリックの側にいるわ。‘どんなことをしても’」
「エル……」
「だから、セドリックもこのままでいてね。裏切ったりしないでね、約束よ」
「う、裏切るって」
もう一度、エルウィングは言い直した。
「約束よ、ねえセドリック」
「う、うん……」
セドリックは、なんとなく迫力に負けて頷《うなず》いた。
彼は緊張していた。
エルウィングの顔がほんの目の前にある。いつものエルの顔だ。綺麗《きれい》な顔だと思うけれど、自分にとってはべつだん珍しいものでもなんでもない。
なのに、
(なんだか、この距離は変だ)
と、セドリックはいぶかしげに思った。今までとはなにかが違う。エルが自分を見てくる視線も、彼女がセドリックを呼ぶ声も、ねっとりとした話し方も、からみついてくるようなその抱きしめ方も――
「っっ」
体を離そうとして、セドリックはぎょっと体を固くした。
動けない。いつのまにかエルウィングの腕がセドリックの胸に回されていて、身動きができないのだ。エルウィングは右の手を彼の頭のうしろに、もう片方の手を背中にそわせて顔を胸に埋めていた。まるで体ごとぶつかってきているような抱きしめ方だ。……いいやこれは抱きしめているのではない。
捕らわれている。
「エ、エル、離し……」
少し強く言おうとした、そのときだった。
「〈百億万の母アルストロメリア、万物のゆりかご、そして墓標となる御方に申し上げるっ〉」
有名な〈決闘〉の詠唱《ゲール》が、突然セドリックたちの立っていた辺りに響き渡った。
「えっ……」
セドリックは驚いて振り返った。
いつからそこにいたのか、セドリックと同じくらいの歳の少年が、銃を携えて立っていた。
「セドリック=アリルシャー。この超高位魔銃士ティモシー=ボイドがオマエに決闘を申し込む。今すぐアルストロメリアにすべての審判をゆだねよ。そしてオレと戦え!」
「な――」
すると、地中からエメラルドグリーンの光がしみ出してきて、セドリックの足元をからめとろうとした。
「エル、だめだどいていてっ!」
とっさのことに、セドリックはエルウィングを魔法陣の外に突き飛ばした。
まるで砂の下から古代のレリーフが浮かび上がるように、地面の上に文字が現れた。その蛍光色の光は、あっというまに土の魔法陣を描いていく。
「グリザリエルの魔法陣……」
契約《フイラメント》を司る地霊であり、地母神アルストロメリアの眷属《けんぞく》であるグリザリエルが仲立ちをした五角形の魔法陣、それがこのグリザリエル魔法陣だった。五角の錬成陣は安定性もよく、魔銃士同士の決闘に使われることが多いので、魔法陣の中では最もポピュラーだといわれている。
シュウン……と魔法陣が描き終わると、円の中央にグリザリエルの文字が刻み込まれる。
「閉じられた……!?」
セドリックは嘆息した。これで、どちらかが天に向かって空砲を撃《う》つまでは、二人はここから出ることはできない。
少年が撃った空砲の薬莢《やっきょう》が、セドリックの足元にまでころころと転がってきた。あまりの強引さに、さすがのセドリックも険しい顔つきで相手を睨《にら》みつけた。
「だれだよおまえは、こんなことしていったい僕になんの用があるんだ!?」
少年が胸を張って言った。
「決まってるだろう。オマエが分不相応に手にしたその等級タグをもらいにきたんだ」
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要するに太っているのだ。
「まさかセドリック=アリルシャーがこんなガキだったなんて驚いたよ。あの“赤いたてがみ”のギース=バシリスから等級を食ったっていうから、どんないかつい魔銃士かと思っていたのに」
わざとらしく肩をすくめて、少年は言った。
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