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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

今ふたたびの愛

今ふたたびの愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

 アニーが初めてその電話を受けたのは、ある深夜のことだった。「覚えているかい?」深みのある男らしい声。いったい誰? だが相手はそれ以上何も話さず、電話は切れた。奇妙な電話はその日からやむことなく続き、アニーは不安にかられた。彼女は11歳で最愛の父を亡くしたあと、継父から邪険に扱われ、実母からも疎まれて、ずっと孤独な人生を送ってきた。今ようやく努力が実り、夢の第一歩を踏みだしたばかりなのに……。そして、ついに恐れていた事態が起きる。電話の主マルクがアニーを連れ去り、人里離れた屋敷に軟禁したのだ。マルクは驚くほど魅力的な唇から、信じがたい話を語り始めた。

 ■時代を超えて繰り返される男女の不思議な縁を、シャーロット・ラムが情感たっぷりに描きます。

抄録

「どうした?」マルクが素早く駆け寄ってきた。床に膝をつき、顔にかかったアニーの黒髪を後ろへ払いのけると、心配そうにのぞきこんだ。
 生暖かいものが頬を伝う。涙かと思い、手で拭ったが、その指先を見たとたんアニーはぎょっとした。血がついている。
「なぜ切ったんだ?」アニーの体に腕を回し、立ち上がらせながらマルクが問いつめた。
「わからないわ」無愛想にアニーは答えた。不意に心細さがこみ上げてくる。
 マルクはアニーの荷物を見下ろし、いまいましげに舌打ちした。「これだ! 一番上のスーツケースの縁にある金属板が何かのはずみではずれたんだ。ナイフみたいに端がぎざぎざになっている。転んだ拍子にこれで額を切ったんだな。あとで直してみるよ」
 マルクはアニーを部屋の奥へ導き、ベッドの端に座らせた。
「傷口を洗わないと。水を持ってくるから、ここでじっとしているんだ」そう言うと、マルクは部屋を出ていった。命令口調の態度は気に入らないが、言われたとおりにするしかない。頭がくらくらする。アニーは固く目を閉じた。
 傷口がずきずきしてきた。おそるおそる、指で触れてみる。熱を帯び、固くなった傷口がこぶのように盛り上がっている。
「触ってはだめだ!」水の入った洗面器、スポンジとタオルを手にマルクが戻ってきた。アニーの横に膝をつき、額の血をスポンジで優しく拭き取ると、傷口をのぞきこんだ。「ふうむ。うん、たいしたことはない。傷は浅いし、出血も止まっている。だけど、跡は残るな。傷が治ったら前髪で隠さないと」マルクはタオルでぽんぽんとアニーの額を拭った。「今夜ひと晩は絆創膏を貼っておいてもいいが」
 めまいが治らないまま、アニーは新たな胸騒ぎを感じていた。すぐそばにひざまずき、顔を寄せて傷の具合を見ているマルクに、胸が激しく高鳴る。こんなふうに他人を意識したのは初めてだ。体が自然に反応してしまう。マルクが寄り添い、顔を近づけ、膝に触れた体を動かすたびに、乳房が張りつめて頂がきゅっと固くなる。
「絆創膏はどうする?」
 息が詰まり、声が出ない。だが、アニーは動揺を悟らせまいと必死で平静を装った。
「治るまでそのままにしておくわ。絆創膏を貼ると傷がむれるから」
 マルクがうなずいた。「そうだな」額にかかったアニーのしなやかな黒髪をそっとかき上げる。アニーは目を伏せ、胸の高鳴りを懸命にこらえていた。「具合はどうだい? ほかにどこか痛いところがあったら、先生に言ってごらん」冗談めかしたマルクの問いに、アニーは弱々しい微笑を返した。
「いいえ、別に」
「そうか」
 マルクが濃いまつげを伏せ、下を向いて手を拭っている隙に、アニーは彼の顔をそっと盗み見た。優しく思いやりあふれる態度は、今までの彼からは想像もつかないものだ。無理やりこんな場所へ連れこみ、わけのわからないことを口走っておきながら、見るからに冷酷そうな彼が、まるで女性のように、こまやかで優しい思いやりを示すなんて。
 目をそらす暇もなく、マルクがふっと目を上げた。激しい息づかいが聞こえる。瞳にさっと暗い陰が走った。それでいて、きらきらとした輝きを放っている。今にも吸いこまれ、溺れてしまいそうな瞳にアニーは釘づけになっていた。
「アニー」囁きとともに、マルクの手がアニーの頬に触れ、優しく愛撫した。
 戦慄が駆け抜ける。だが、体はすくんだように動かない。
 マルクの顔がゆっくり近づいてくる。息を殺し、アニーは迫ってくる彼の唇をじっと見つめていた。
 唇が触れた瞬間、アニーは思わず目を閉じ、低い声をもらした。温かい感触が体じゅうに広がっていく。なんて心地よい感触。この瞬間を、わたしは望んでいたのだろうか。だめ、一度でも唇を許したらどんなことになるかわからない。不意に恐ろしくなり、アニーはぱっと身を引いた。
 気がつくと、マルクも目を閉じていた。少したってから、マルクは低いうめき声とともに目を開けた。底知れない黒い瞳が、きらきら輝いている。
 立ち上がると、マルクはアニーの肩をしっかり支え、彼女を立ち上がらせようとした。
「やめて」マルクの表情にたじろぎ、アニーは大声で叫んだ。だめよ、こんな人の欲望に負けてはいけない。
 だがマルクは聞き入れない。頭を下げ、骨が砕けるほど強くアニーを抱きしめ、激しく唇を求めてきた。
 身をよじって抵抗したが、ついに唇を奪われてしまった。さらに強く抱きしめられ、彼の片手が背中を這う。もう一方の手が首筋から腰へと、微妙なタッチで滑っていった。アニーの体を激しい嵐が吹き荒れた。体の奥にひそむ官能を、生まれて初めて呼び覚まされたようだ。肌が焼けるように熱い。全身が燃え上がり、骨までとろけてしまいそうだ。
 マルクのシャツをしっかりとつかみ、アニーは倒れそうになる体をかろうじて支えていた。
 こんなキスは生まれて初めてだ。キスと呼ぶにはあまりにも激しい、身も心も吸い取られてしまいそうな口づけだった。アニーは固く目を閉じ、無我夢中でマルクにしがみついていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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