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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

狼の住む場所

狼の住む場所


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・オーウィグ(Sara Orwig)
 大学で出会った元空挺部隊員と結婚し、オクラホマに住む。彼女の作品は二十三カ国語で翻訳され、全世界で千六百万部以上の驚異的な売り上げを誇る。USAトゥデイのベストセラーリストに登場しただけでなく、ロマンティックタイムズ誌の各賞を受賞するなど業界からも高い評価を得ている。

解説

 わかってはいても、この思いは止められない。

 ■「ベン・ファルコンをさがさなくては……」爆発寸前の車から運転席の女性を助け出したベンは、彼女がつぶやいたその言葉を聞いて、確信した。性懲りもなく、また父親が差し向けた女だ。ベンは実業家の父親に支配される生活を嫌い、人里離れた牧場で、苦労は多いが自由気ままな生活を送っている。父は息子をダラスに――自分の会社に連れ戻すためなら、手段を選ばなかった。警察や探偵ばかりか、彼を籠絡すべく、何人もの美しい女を送り込んだ。ところが、その女性がベンの牧場の家で意識を取り戻したとき、彼女は自分の名前も、ここに来た理由も思い出せなかった。持ち物からわかったのは、ジェニファーという名前だけ。父親のさしがねと知りながら、ベンは彼女を拒絶できなかった。彼女の無防備な魅力に惹かれ、強烈な欲望を覚えていた。

抄録

 ベンはジェニファーの病室に戻った。ちょうど彼女はトイレのドアを開けて、片足飛びで出ようとしているところだった。
「起きていられるように、読む物を持ってきたよ」ベンはそう言って、無造作にジェニファーを抱きあげる。ベンはジェニファーの視線を避けて、ベッドの方に目をやったが、彼女はグリーンの大きな目を見開いて、興味津々に彼を見ているので、その目を見つめ返さずにはいられなかった。
「お父様とどうしてうまくいかなかったのかしらね。あなたはこんなに協力的なのに。それに、お父様のほうがそういう人でないのなら、私だって、お父様のために働く気はしないはずだわ」
「君の記憶が戻ったら、その答えもわかるよ」ベンは不機嫌に言ったが、自分がなにをしゃべっているのか、ろくに意識していなかった。ただ意識にあるのは、腕に触れる女性のやわらかいぬくもり、間近に迫った赤い唇、ほとんどなにも身につけてないように思えるほど薄い、病院用の寝巻きだった。しげしげと相手を見ていると、ジェニファーはまばたきをした。まじめな顔で、唇をわずかに開いている。僕の体はこんなに反応しているのに、彼女は僕の半分ぐらいは感じているのだろうか?
 ベンは体を傾けてジェニファーをベッドに下ろし、彼女は枕に寄りかかった。ベンは自分もいっしょに横たわって、全身で彼女のぬくもりを感じたくなった。ピンクのレースのテディ、とび色のカールした三角形の茂みが思い出されて、彼の体は硬くなった。ジェニファーの深いグリーンの瞳が彼の官能を呼び覚まそうとしているような気がする。必死になって、ベンは身を起こし、上から彼女を見おろした。視線をそらすことができない。二人の間のもやもやした、たがいを引き寄せようとする力が電流のように体をしばり、ベンはがんじがらめになっていた。
「ベン」ジェニファーはかすかにささやいた。ベンは心臓をどきどきさせて、ベッドに腰を下ろした。二人の腰が触れる。ベンは身を乗り出し、彼女の両わきに手をついて、体を近づけた。ジェニファーは催眠術に誘いこむような目を向けて、やがて黒いまつげを伏せた。
 ベンはジェニファーの唇にかすかに唇を触れさせた。その感触のやわらかさに、体がふるえた。彼女の体にきつく腕をまわして、体を重ね、激しくキスをしたい。どうしてそんなふうに感じるのか、ベンは自分でも不思議だった。明日になれば、僕に立ち向かってくるはずのこの女に? そう思いながら、ジェニファーの唇が開くと、ベンの頭の中は真っ白になった。彼女のしっとりした下唇の上に舌をすべらせ、ビロードのように温かい口に差し入れた。
 ベンのキスを受けて、ジェニファーはかすかにうめいた。彼の舌はだんだん深く入ってきて、彼女の舌をとらえる。ジェニファーは心臓を激しく高鳴らせて、思わず奔放にキスを返してしまい、愕然とした。下腹部がたまらなく熱くなり、それが体中に広がって、動物的な感覚が呼び覚まされた。すぐそばに男性の肉体がある。そのことを意識して、頭はいっぱいだった。
 ベンが顔を上げ、ジェニファーは目を開けた。きびしい顔で見おろすベンの底知れぬ瞳を、彼女はのぞきこんだ。瞳の奥がきらりと光る。それが怒りの表情だとわかって、ジェニファーは衝撃を受けた。
「私が来たのは、あなたのお父様に差し向けられたからだと考えているのね」
「二人の間にある厳然とした現実だ」ベンは立ちあがって答えた。
「あなたの考えは間違っているかもしれないわ。あるいは、あなたのことを知って、私が仕事を降りるとしたら?」
 にわかにベンの表情がなごんだ。「過去に起こったことを根拠に君を責めることはないな。すぐ戻ってくるから」
 ベンは病室を出ていった。ジェニファーは彼を見送り、ベッドに背をもたせかけた。
 三十分後、ベンがドアを押し開けて、ジェニファーは雑誌を置いた。ベッドに近づいてくるベンはたくましく、力強く、頼もしい存在だった。ジェニファーの心臓は高鳴り、脈拍は速くなった。カウボーイハットの広いつばや彼の広い肩に雪がとけて、水滴がきらめいている。ベンは紙袋を下に置いた。マスタードや玉ねぎのにおいが食欲を刺激する。
「病院の自動販売機で、君の櫛や歯ブラシなどを買ってきた。明日、店が開くよりも前に発つからね」
「ありがとう」ジェニファーは櫛の袋をとり、中を開け、ベッドわきの棚に置いた。
 やがて二人はハンバーガーやオニオンリングに舌鼓を打ち、冷たい缶のコーラで喉をうるおした。ジェニファーは食べ物を噛みながら目を閉じた。「とってもおいしいわ。ありがとう」
「ハンバーガーは二つずつだよ」
 ジェニファーは笑った。その声はひばりの鳴き声のように明るい。ベンの心臓は脈打った。そして彼女のきらめくグリーンの瞳はことのほか美しく、ベンは息をのむ思いだった。
「君のためにハンバーガーを三個買ってくればよかった。そうすれば、もっと笑顔が見られたから」
「こんな特大のハンバーガーでは、たぶん、二個だって食べきれないわ」
 ベンはにっこりして肩をすくめた。「君はおなかがすいていると言っていたじゃないか。僕は腹ぺこだから、二個食べるよ」
「あなたの場合は筋肉になるからいいけれど、私の場合は贅肉になってしまうわ」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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