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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ

風のむこうのあなた 嵐のごとく I

風のむこうのあなた 嵐のごとく I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ嵐のごとく
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 アン・メイジャー(Ann Major)
 USAトゥデイのベストセラーリストに載り、他の大人気作家たちからも賛辞を寄せられる。中でもサンドラ・ブラウンは“表紙に彼女の名前がある――すなわち、その本はいい読み物を意味する”と絶賛。生粋のテキサス人で、英文学とスペイン文学の修士号を持ち、二年間教師をしていたこともある。英語、スペイン語はもちろん、フランス語も堪能。作家としての輝かしいキャリアに加え、三十年続けてきたピアノのほうもプロ並みの腕前。旅行に行くのが好きで、趣味は夫とコロラド山中をハイキングすることだという。

解説

 七年前、エイミーとニックは恋人同士だった。だが妹からニックの子を身ごもったと聞かされ、エイミーは憎悪に駆られてニックと別れた。大人になりきれぬまま、出産した妹のためにエイミーはその子を自分の子と偽って育てる。人づてにエイミーが彼の子を産んだと聞いたニックは強引に結婚を迫り、ふたりは別居生活の夫婦になった。そして今、六歳になった息子が脳炎にかかったと知り、ニックが意を決したように彼女の元へかけつけてきた。「今度こそはっきりさせよう。なぜぼくを避ける?」「わたしはあなたを一生恨んでやるわ」「ぼくはきみに恨まれるようなことはしていない!」真剣なまなざしでそう言う彼にエイミーはたじろいだ。「愛しているんだよ。いったいなにがあったんだ?」ニックに優しく抱きすくめられながら、エイミーはふと彼の七年前の裏切りに疑問を抱いた。

抄録

 ニックは眉を上げた。「ダーリン、地球の裏側から飛んできたんだ。このまま帰れるわけがない」
“ダーリン”慣れ慣れしく呼んでほしくないと思いながらも、エイミーはそのやさしい響きに小さく胸をときめかした。
 ニックのような女たらしは甘い言葉で女心をくすぐるのよ! 気をつけなければ。すべては見せかけのやさしさなのだから。エイミーは自分を叱り、身構えて立ちあがった。不安定な岩の上に立っているような気がする。
「トリプルはどうしてる?」ニックは尋ねた。
 エイミーはニックから顔をそむけた。それでも、彼の存在をいやというほど肌に感じる。
「エイミー、いいかげんにしないか。トリプルは生きているのか死んだのか?」
 ニックのブルーの目が真上からエイミーを見おろした。それは、エイミーと同じ、苦悩と恐怖に満ちた目だった。彼の手が万力のようにエイミーの腕を締めつけてくる。
「生きています」エイミーはつぶやいた。「三時間前に会ったきりなの……そのときは意識がなかったわ」
 ニックはなにか言いかけてまた口を閉じ、エイミーの顔をまじまじと見た。「疲れているんだね?」声がやさしくなる。「きみのそんな顔、はじめて見た。倒れる一歩手前って感じだよ。ロリーはどうした? お父さんは?」
「父はここに詰められるような体じゃないわ」エイミーはぼそぼそとつぶやいた。
「ロリーは?」
 エイミーは唇をかみ、押し黙ったままニックをにらんだ。ロリーに会いたいというわけね? むらむらと妬ましさがわいてくる。
「知らないわ」エイミーはやっと答えた。
 ニックは眉をひそめた。エイミーは、不安と睡眠不足とで憔悴しきった自分の顔に容赦なく視線が注がれるのを感じた。彼女は、ニックのような華やかな男に好かれるタイプではない。魅力たっぷりの美人では決してない。教師のようにしかつめらしく、いつも小ぎれいにしてはいるが、きょうばかりは顔も身なりもすっかり乱れてみじめそのものだ。
「あなた、ひどい格好ね」あまりにじろじろ見られるので、エイミーは反対に言ってやった。
 ニックはエイミーの言葉には耳を貸さず、目にかかる黒髪をそっとかきあげてやった。「きみはほんとうに強がりだな」彼の指がエイミーの頬を愛撫する。「強がりの心理は、このぼくがいちばんよく知っているよ」
 こうしてすぐに手を触れて女心をとろかそうとする、これがニックのやり方よ。その昔、この指のぬくもりに胸ときめかし、彼を愛したこともあった。
「エイミー、トリプルはきっとよくなる」ニックがそっとささやいた。
 エイミーは無言で彼をにらみつづけた。
 やがてニックは手を下ろし、つぶやいた。「ごめん」
 この人もやっぱり疲れている、とエイミーは思った。コートはびしょ濡れだし、色鮮やかなズボンもしわくちゃだ。濡れた金髪がもつれて額に張りつき、派手で華やかないつもの雰囲気は影を潜めている。
 そういえば外は雨なんだわ……エイミーはぼんやりと思った。
「ひどい格好だろう?」ニックはレインコートを脱ぐと、ビニール張りの椅子の背にほうった。「オランダから着いたばかりで、ひどく頭痛がしてね。時差ぼけだし。実験室で新型ヨットのタンクテストの結果を調べていたら、セバスチャンから連絡があったんだ。そのまま空港にタクシーを飛ばして、着替えもなにもまだアムステルダムだ。飛行機のやつ、ひどく揺れたよ」
「飛行機は昔から苦手でしょう?」
「怖くてたまらないさ」ニックはうめいた。「この天気で無事着陸できたなんて奇跡だな」
「そうまでして来ることなかったのに。来てもしかたがないんだし」エイミーは無表情な声で言った。
 ニックはブルーの目で穴のあくほどエイミーを見つめた。言わなければよかった。エイミーはちょっぴり悔やんだ。
「エイミー、きみがどう思おうと、トリプルがよくなるまでぼくはここにいる。息子が入院してるのに心配しない父親がいるわけないだろう? きみは連絡さえくれなかった」
“来てほしくなかったからよ”とエイミーは心のなかで言い返した。
「ぼくはきみの夫だよ、エイミー。別居していたってそれなりの権利はある」ニックは片手をエイミーのほっそりとした首にあてがい、その顔を自分のほうへ上向けた。「エイミー……」怒りを含んだ目がエイミーを射すくめる。
 だが、あとの言葉は続かなかった。ニックはその手にエイミーのぬくもりを感じて怒りを忘れ、エイミーもまた、体のうずきを抑えることができなかった。ふたりはいつもこうだった。心はどうであれ、体は説明しがたい絆で結ばれている。
 エイミーはニックの手を振り払うこともできず、されるがまま立ち尽くしていた。彼の指が羽根のようにのどをくすぐる。
 夫としての権利があるとニックは言ったが、いつものエイミーなら反論しただろう。だが、いまは言葉が出てこない。
 ニックの腕が背中にまわって、エイミーは自分の体がすっぽりと包まれるのを感じた。ニックは指を黒髪に絡ませてエイミーの頭をのけぞらせた。燃えるようなブルーの瞳を間近に見て、エイミーの体はますますうずきはじめた。のどがからからに渇いている。くやしいけれど抱きしめてほしい……。
 エイミーは目を閉じた。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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