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王冠の行方 I

王冠の行方 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ王冠の行方
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ローリー・ペイジ(Laurie Paige)
 高校卒業後すぐに結婚。娘を育てながら数学の学位を取得し、NASA(アメリカ航空宇宙局)から表彰されたこともある。結婚をためらう人に贈りたい言葉は、“恋に落ちるのには理由がある。それが心配や責任に押しつぶされていることもあるが、未来は必ず訪れる”。

解説

 『王女のスキャンダル』――“尼僧”とあだ名されるほど生真面目なメガンは、ある夜、情熱にかられて敵国ドロエダの伯爵ジャン=ポールに純潔を捧げた。その後何の連絡もなかったのに、彼の子を宿していると聞いたとたん、彼はメガンにプロポーズした。結婚を政治的に利用するつもりなのだ。メガンはジャン=ポールのプロポーズを断固として拒絶した。

 『罪深き公爵』――メレディス王女は、幼いころからプレスコット公爵に憧れていた。妹の結婚式で彼とキスを交わしたとき、その憧れがおとなの情熱的な恋に成長していたことをはっきりと感じた。メレディスは意を決して公爵に思いを伝えるが、拒絶されてしまう。公爵には、彼女の知らない深い事情があったのだった。

抄録

 メガンは風に向かって立ち、自分の心にくもの巣のようにかかる憧れの気持ちを強い風に吹き飛ばさせた。わたしは決して結婚はしない。その可能性はゼロだわ。
「海が荒れてきた」ジャン=ポールがメガンに声をかけた。「こっちに来て、ロッカーにあるライフジャケットを着けるんだ」
 メガンは気が進まないながらも言われるとおりにし、操舵席のジャン=ポールのそばに戻った。ジャン=ポールはタキシードのジャケットと靴と靴下を脱いでシャツの前を開け、邪魔にならないように袖もまくっている。
 メガンに座るよう手で示すと、ジャン=ポールは彼女にレインコートを着せ、イヴニングドレスが濡れないように前を合わせた。彼の視線で自分がシルバーのサンダルをはいていることを思い出したメガンはサンダルを脱ぎ、ハッチの奥の船倉へ放り投げた。
 ジャン=ポールは歯を見せて笑い、近づくスコールに備えてハッチをしっかりと閉めた。「いい場所がある」彼はメガンを安心させるように言った。
 メガンはうなずいた。
 雨が降り始め、最初の高い波が船首に砕けるころ、ジャン=ポールは長い防波堤の方へヨットの向きを変え、防波堤の端をすばやく回って安全な入り江に入った。
 不意にあたりが静かになり、メガンは自分の激しい鼓動が聞こえるような気がした。口の中がからからになる。どうやらこの入り江でこのまま一晩を過ごすことになりそうだわ。それがうれしいのか怖いのか、メガンは自分でもわからなかった。
 彼の誘惑を待っているの? この奇妙な冒険へと自分を駆り立てた無意識の願望を満足させるために? メガンは自分の心に正直に答えようとしたが、とうてい無理だとすぐにあきらめた。
 ヨットを停泊させたあと、ジャン=ポールはハッチを開け、お先にどうぞとメガンを促した。メガンは梯子段を下りて足を止めた。ジャン=ポールは彼女の頭からレインコートを脱がせてフックにかけ、自分もシャツを脱いでやはりフックにかけた。戸棚からタオルを二枚出し、一枚をメガンに放ってよこす。ふたりはタオルで濡れた髪をぬぐった。
 船倉の調理室はふたりには狭すぎた。お互いのひじがぶつかり、ジャン=ポールがタオルをフックにかけてガス台に移動するとき、ふたりのヒップが触れ合った。
「コーヒーは?」そうたずねながらジャン=ポールはもう用意を始めている。
「ええ、いただくわ」メガンはうなずき、“お願い”と言い添えた。
 ジャン=ポールはポットで水を量りながら、息が止まるような一瞬、メガンを見つめた。再びコーヒーの準備を続けながら、彼は温かい笑みを浮かべ、いたずらっぽい口調でつぶやいた。「いい気分だな、女性に“お願い”されるのは」
「やめて」メガンが言った。「おふざけは嫌いよ」
 ジャン=ポールはポットを火にかけるとカウンターにもたれてメガンをしげしげと眺めた。メガンは懸命に髪をなでつけた。
「ぼくもそうだよ、ときにはね。後ろを向いて」そう言うとジャン=ポールは引き出しからブラシを取り出した。
 メガンの両肩に手をかけて後ろを向かせ、もつれた髪がさらさらになるまでブラシをかける。その後自分の髪も二、三回適当にとかすと、彼はブラシをまた引き出しに放り込んだ。
「きれいだ」まるで独り言のようにそう言うと、ジャン=ポールはメガンの頭頂部から髪の先まで指を走らせ、そのまま手を彼女の背中へとすべらせた。メガンの両腕に鳥肌が立った。もう一度彼の方へ向き直らせようとする手の動きに、メガンは素直に従った。
 ふたりの視線がからみ合った。ジャン=ポールの目は鮮やかなブルーで傲慢とも言えるほどの自信に満ち、メガンの目はグリーンで、彼女の心そのままに不安の色をたたえている。これからどうなるの。彼女の心はそう問いかけているが、メガンは答えを避けた。本当は自分でもよくわからないのだ。
 ジャン=ポールがかすかにかぶりを振った。彼もやはり同じ疑問を抱えているのだ。なぜふたりがこうして一緒にいるのか、なぜこんな嵐の中ふたりきりで船の中にいるのか、なぜ今夜は特別に思えるのか。ジャン=ポールにもメガンにも、答えは見つからなかった。
 やがて、彼の体の熱がじわじわとメガンに伝わってきた。ふたりの胸はわずか数センチしか離れていない。ジャン=ポールがメガンの鎖骨のくぼみを親指でそっとなぞる。燃えるような、それでいてすばらしい感触。
 息を吸うのさえ苦しい。メガンはやっとの思いで両手を上げ、彼の胸に押し当てた。指の下で筋肉が緊張する。彼女の指はそのたくましい胸を落ち着きなくまさぐった。
 決して筋骨隆々ではなく、細身の体ながら、上半身や肩、腕などはたくましい筋肉におおわれている。仕事にも遊びにも決して手を抜かない人だ。
 ひょっとして本気なのかしら?
 そんなばかばかしい疑問に、メガンは自分でもあきれてかぶりを振った。別に永遠の愛などを求めているわけじゃないわ。だったら、いったい何を期待しているというの?
「どうした?」そんな彼女の乱れる心を見透かしたかのように、ジャン=ポールが目を細めてたずねた。
「何でもないわ」
「キスするよ」そう言ったと思うと、ジャン=ポールは温かい唇を重ねてきた。
 メガンは口を開いたが、抗議の言葉は出てこなかった。彼のキスはいっそう深まり、舌がゆっくり彼女の甘い唇を味わったあと、さらに奥へと入ってきた。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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