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罪色のウエディングドレス

罪色のウエディングドレス


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ケイトリン・クルーズ(Caitlin Crews)
 ニューヨーク市近郊で育つ。12歳のときに読んだ、海賊が主人公の物語がきっかけでロマンス小説に傾倒しはじめた。10代で初めて訪れたロンドンにたちまち恋をし、その後は世界各地を旅して回った。プラハやアテネ、ローマ、ハワイなど、エキゾチックな地を舞台に描きたいと語る。

解説

「結婚してくれ」そう言うと、彼はお金で私を買った。

 ついに恐れていた日がやってきた。マティーは久しぶりに会った兄の言葉に愕然とする。亡き父の会社を守るために、ニコデムスと結婚しろというのだ。彼から初めてプロポーズされたとき、マティーはまだ18歳だった。それから10年間逃げつづけたのに、とうとうつかまるなんて。“君は僕のもので、ふたりが結ばれるのは運命で決まっているんだよ”高笑いをするギリシア人大富豪ニコデムスの顔が、目に浮かぶようだ。しかし、経営に苦しむ兄を救いたいなら、ほかに方法はない。彼女にできるせめてもの抵抗といえば、ニコデムスとの結婚式に、灰色のウエディングドレスを着ることくらいだった……。

 ■資産家令嬢マティーは、さんざん冷たくあしらってきたギリシア人富豪ニコデムスとの政略結婚を強いられたあげく、一糸まとわぬ姿で、彼に命じられるまま屈辱の行為を強要されてしまいます……。実力派C・クルーズが贈る熱く激しいラブストーリーです!

抄録

「チェスなんて大嫌い」
「それならもっとましな比喩を使うんだな」
「私はひとりの人間よ」マティーの言葉を刃のように鋭くしているのは怒りだろうか? 目に情熱と恐怖をたたえていても声は冷ややかな彼女が欲しくてたまらない自分に、ニコデムスは自己嫌悪と悔しさを感じた。アリスタと別れたあとは、そんな感情など捨てて大人になったと思っていたのに。「あなたがどう思おうと、今は中世じゃない――」
「なら、なぜここへ来た?」彼は厳しい非難を隠そうともしなかった。「君の言うとおり、結婚する必要はない。僕は銃を突きつけて迫っているわけではないんだ」
「合併すればお互いの会社のためになるし、兄は最高経営責任者《CEO》としての立場を固められるわ」しばらくしてマティーは言った。その視線は抜け目がないと同時に悲しそうだ。「少なくとも、取締役会の役員や株主たちの態度は変わると思うの。もちろん、最高執行責任者《COO》はあなただけど。会社を経営し、大金を手に入れる手腕があるもの。でも、そのために私と結婚する必要はないはずだわ」
「そうだな」ニコデムスは肩をすくめた。「だが結婚に対して異議を唱え、説明を求めたのは君だ」
「私がイエスと言わなければ、兄とは契約しない気なんでしょう?」マティーの目が暗くなった。「無理強いをしているのはどっちなのか、はっきりさせておきたいの」
「僕にははっきりわかっている」怒りをあらわにしたマティーをあざけるかのように、ニコデムスの声は明るかった。「君の大好きなゲームの続きだよ、マティー。君が結婚を選ぶのは、出会ったときからわかっていたことだ」彼女がその発言を苦々しく思っていることは、美しい顔が物語っている。それでも、事実は変わらない。今も昔もだ。
「まだ終わってない」マティーは静かに言った。「取らぬ狸の皮算用はしないことね」
 ニコデムスは笑った。「夫に対するふるまいを君に教えるのは楽しくなりそうだ、マティー」彼はマティーがくゆらせていたタバコを取り、その顔を見つめながら暖炉に放りこんだ。「僕はずっと君が欲しかった。だがそれ以上に合併を成立させ、お父さんの会社とのつながりを強化したい。結婚はウィテカー家の一員となり、僕の立場を確固たるものにするためだ。だから子供も欲しい。離婚には反対だから、君とは末永く一緒に暮らす。隠しごとはなしでね」
 秘密を持つことは許さない。ニコデムスは嘘と苦しみに彩られたいやな過去を頭の隅に押しやった。
 マティーは目をうるませ、長い間ニコデムスを見つめていた。聞こえるのは窓にたたきつける雨音と、暖炉の薪がはぜる音だけだ。速く不規則な呼吸も聞こえた気がしたが、彼女は人に弱みを見せる女性ではないと彼は考え直した。甘い想像は捨てなければ。
「結局、私はポーンなのね」マティーの声は冷静だった。「素直に言えば? 周知の事実なんだから」
 にらみつけられて、ニコデムスは薄く笑みを浮かべた。「君が結婚する理由はなんだ? 聖人か生け贄の花嫁を演じるためか? 他人の野望にひれ伏したいという願望があるのか?」
「家族としての義務よ」彼女は取りすました口調で答えた。「あなたには理解できないでしょうね」
「当然だ」ニコデムスはもう笑っていなかった。「僕は父に期待されてこなかったからね」それどころか、父は僕のじゃまをした。何度も繰り返された嘘が古傷のように体の奥でうずく。「母には家政婦か工場での仕事しかなかった。両親に与えられた命以上のものは、すべて働いて手に入れたんだ」
 そして、アリスタのような金に貪欲な寄生虫に取りつかれようと、なにひとつ手放さなかった。
「誰もあなたのすぐれた手腕は疑っていないわ、ニコデムス」マティーは言った。「でも、それがなに? 私を追いかけつづけているけど、実は興味を持った理由すら覚えていないんじゃない?」
「いいや、マティー」ニコデムスはやさしく言った。やさしすぎるのがいけないのだろうか? 彼女を腫れ物のように扱っても、鋭い刃で切りつけられるばかりだ。そろそろ学習してもいいころだろう。
 主導権を握るのは僕だ。
 ずっと求めてきたマティーの緋色に染まった頬も唇も、目の前にある。ニコデムスを見あげる瞳はおびえ、完璧な胸はやわらかな服の中で上下している。ニコデムスは思わず彼女の頬を手で包みこみ、唇を親指の腹でなぞった。
 マティーの顔がさらに赤くなると体が反応して、初めて会ったときに感じた、稲妻のような感覚に襲われた。目もくらむ光と熱の中にいるみたいな気分だ。
 あの瞬間、ふたりの運命は決まった。そして、結ばれることは避けられなくなったのだ。
 僕はずっとその直感を信じてきた。
「君を求める理由は変わらない」ニコデムスは言った。これ以上、真実に近い言葉はないだろう。口にされなかった残りの言葉が白熱した空気を漂い、ふたりを欲求の渦へとのみこむ。濃いブルーの目を輝かせ、彼女は僕を欲している。僕も同じ気持ちだ。ニコデムスは笑った。「混乱しているのは君のほうだ。だが、もうすぐはっきりわかるだろう」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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