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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛の棘

愛の棘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダニー・コリンズ(Dani Collins)
 カナダ出身の作家。高校生のころにロマンス小説と出会い、小説家という職業はなんてすばらしいのだろうと思ったという。以来、家族の反対や“普通の”仕事に追われながらも、さまざまなジャンルの執筆に挑戦し、ついに念願叶ってハーレクインからデビューすることになった。まるでロマンス小説さながらの、ハッピーエンドを生きている気分だと語る。

解説

 夫の訃報を聞いた夜、妻は許されない誘惑の罠に落ちた。

 ローレンは妊娠していた。おなかの子の父親は亡夫ではない。亡夫の親友パオロだ。3カ月前、夫が行方不明になり困りはてたローレンは、幅広い人脈をもつイタリア人銀行家のパオロを頼った。そして彼はすぐに突きとめてくれたのだ。夫が亡くなったことを。その夜、ふたりは涙を流しながら互いに慰め合い、気づけばベッドで体を重ね合わせていた。小さな命の芽生えは、ローレンに生きる希望を与えた。だがそれも、パオロにすべてを拒絶されるまでだった。「妊娠した? それはおめでとう。誰の子だい?」

 ■アン・メイザーさながらの、愛憎渦巻く怒濤ロマンスです。最後の最後まで目が離せません!

抄録

「いい子だから、ケベックへ帰るんだ」パオロはなだめるように言い、恩着せがましくほほえんだ。
 ローレンが大きく息を吸いこんだ。鼻孔が広がり、ドレスを胸に押しつけている手がきつく握りしめられる。「やめて」食いしばった歯の間から言った。「また大きな屋敷で一人寂しく暮らせなんて言わないで。何カ月もそうしてきて、もううんざりなんだから!」
「僕は自分のしたいようにする」パオロは静かに、そして無慈悲に言った。
「私もそうするわ! 祖母が亡くなったら、ライアンは私を呼び寄せてくれることになっていた。でも……」ローレンは言葉を切ると、パオロから視線をそらし、顔をゆがめた。口には出さない強烈な苦しみを必死に抑えこむように。
“彼は亡くなってしまった”そう言おうとしたのだろう。
 ローレンを懲らしめたいという思いは深い悲しみと自己嫌悪の中に消えた。彼女の苦しみを思うとつらい。もし彼女が泣き崩れたらどうすればいいのだろう? 抱きしめることも、触れることもできない。そんなことをしたら狂気の世界に足を踏み入れてしまうとわかっている。
「ローレン」パオロはそれしか言えなかった。懇願するように彼女の名前を口にした。取り乱さないでくれ。また君を抱かせないでくれ。そう願いながら。
 名前を呼ばれたローレンは、説得されると思ったらしい。
「いやよ」きっぱりと拒絶した。「カナダには戻らないわ。私が祖母と一緒に暮らしていたのはそうしたかったからで、みんなの言うように青春時代をあきらめたとは思ってはいないの。でも私には、赤ちゃんが生まれるまでの間しか自由な時間がないことはわかっている。その時間は完全に私のものだから、おおいに楽しむつもりよ。空港で私を足止めしようなんて思わないで。そんなことをしたら、あなたが喜ばないことを話すわよ」
 その脅しは驚くほど効果的で、パオロは軽く受け流すことはできなかった。「君は思ったより意地が悪いな」あからさまな軽蔑をこめて言った。
 ローレンはその非難に一瞬、ぎくりとしたが、ショックを振り払うようにかぶりを振った。「私だってそんなことはしたくないわ。あなたしだいよ。さっきも言ったけど、あなたには何も求めていないの。妊娠のことはできるだけ長く秘密にしておくわ。でも……」声をつまらせ、自分の体に腕をまわす。「あんな状況で身ごもった赤ちゃんだけれど、私はこの子を授かったことがうれしいの」
 あんな状況とはどんな状況だ? パオロのひねくれた一面はそう問いつめたがっていた。同時に、ローレンの言葉をあっさり信じないように気を引きしめた。赤ん坊の父親はいずれ明らかになるはずだ。ただ、今の時点では世間は僕が父親だと思うだろう。
 自分の子供だとはっきりわかるまでは、非難を浴びるのはごめんだ。
「ホックをとめて」再びパオロに背を向け、ローレンが促した。
「とめてしまったら、一人になってからどうやって脱ぐんだ?」パオロはタキシードのジャケットを脱ぎ、ローレンの肩にかけた。小さな背中が隠れると、彼女は耐えがたいほど幼く無垢に見えた。「僕が何を言おうと何をしようと、イタリアへ行く気なのか?」
「明日発つの。もう決めたのよ」
「コジ・シア」しかたない。パオロはつぶやいた。少なくともローレンはアメリカを離れるのだ。妊娠という、国民的英雄に対する裏切りを世界でいちばん憤慨する国を。
 パオロはローレンの肘をつかみ、エレベーターに向かった。すると彼女は体をこわばらせ、予想以上に体重をかけてきた。顔が真っ青だ。今夜のことで消耗したのだろう。赤ん坊にも体力を奪われているはずだ。心ならずも胸が締めつけられ、パオロは彼女の腕をつかむ手に力をこめた。
 同時にめまぐるしく頭を働かせた。このあとはまずイザベラ、ヴィットリオ、ヴィットリオの両親と飛行機に乗り、イタリアに着いたらすぐにイザベラを家に送り届けるつもりだった。だが、クリスマスの予定を考え直さなくてはならない。この先三カ月、いや、来年の予定も。おそらく人生全体を。
 まったく、君のせいだぞ、ローレン。
「ローマに着くのか?」パオロはぶっきらぼうに尋ねた。
 エレベーターに乗りこむと、ローレンが用心深く彼を見あげ、いぶかしげに言った。「ミラノよ。なぜ?」
「ミラノか」パオロは小声で繰り返した。少しはましだ。回転の速い頭がさっそくさまざまな可能性をさぐりはじめた。
 幸いにも、ローレンの部屋に続く廊下には誰もいなかった。パオロがカードキーを使ってドアを開けていると、ローレンがジャケットを返してきた。彼を見あげた顔は緊張に張りつめ、目は憂いに陰っている。どこか官能的で、しかし子供を守る女神のようにやさしげでもある。相反する二つのイメージに魅了され、パオロは彼女にキスしたくなった。
「あなたはライアンの葬儀のあとすぐにチャールストンを離れてしまった。だから言えなかったけれど……」
 パオロは胸が締めつけられた。「礼は言わなくていい。好きじゃないんだ」そう警告し、抱くべきではない感情、屈してはならない感情を封じこめた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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