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孤独な城主と誘惑の9カ月

孤独な城主と誘惑の9カ月


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

 純潔は奪うが、愛はほしくない。芽ばえた命など、絶対に認めない。

 理学療法士のダイアナは、謎めいた依頼を受けた。コーンウォールにあるペンリス城に隠遁する億万長者のもとに、住みこみの仕事があるという。報酬は破格だが、守秘義務は絶対厳守で、雇用期間は無期限。いったいなぜ、私にこんな依頼が? 気難しいご老人なのかしら? 訝しみながらもダイアナは引き受けると決め、すぐに旅立った。灰色の古城では、すでに城主エドワードが待ち構えていた。「きみで4人めだ。最初のは使えず、2人めは2日めにクビ……」薄暗い城内にようやく目が慣れたダイアナは、思わず固まった。氷河のような深青い目の若き城主が、彼女を睨みつけていた。

 ■“愛を信じない億万長者と貧しい無垢な娘”の純愛を描かせたら右に出る者なし! のジェニー・ルーカス最新作です。ダイアナの妊娠を知ってからのエドワードの変貌ぶりに、ぜひご注目ください。

抄録

 そのとき、エドワードの視線を感じた。「バージンだろうとは思ったが、本当になんの経験もないんだな」
「あるわ、たくさん」強がったものの、目と目が合うと、わたしは肩を落とした。「仕事の経験はね。男性経験は――まったく」
「ジェイソンとも?」疑わしげにエドワードは言った。「まったく、なにも?」
 わたしの頬はいまや燃えるようだった。彼の目を見ることができない。「キスはしたことがあるわ。一回か二回」
「二十八歳で!」
「余計なお世話よ」わたしはぴしゃりと言うと、きまり悪さをごまかすために横を向いてオイルをつかんだ。そして、思いこもうとした。禁欲中の男性の体に女の手が触れたらこうなるのは当然。純粋な身体的反応よ。彼がわたしを求めているわけじゃない。そんなこと、ありえない。
 ありえないだろうか?
 とっさに頭の中で彼と自分を比べていた。見事な体、男らしい容貌、社会的地位、財産。すべてを備えたエドワードと――このわたし。
“雲行きが怪しくなったなら、一刻も早く態勢を立て直すこと”ミセス・ウォレルディ・グリブリィの忠告を思いだした。わたしは咳払いをして、たしなめる口調で言った。「公私混同はやめましょう」
「そっちこそ」笑いを含んだ声で言うと、エドワードはふたたび目をつぶった。
 自分の愚かしさを呪いつつ、わたしはマッサージを再開した。胸、両腕、両肩。負傷の痕跡はすでに薄らいで、包帯の類も取れている。わたしの手と彼の肌を隔てるものはなにもない。エドワードの強靱な体は、事故をほぼ乗り越えた。でも心のほうはわからない。いまも傷口が開いているのだろうか。
 エドワードは目を閉じたままだが、口もとにうっすらと笑みを浮かべているように見える。
「なにを考えてるの?」しまったと思ったが、口にしてしまった言葉は引っこめられない。
 彼のまぶたが細く開いて青い瞳がわずかにのぞく。「危険な質問だな。知らないほうが身のためだ」
 事故のことを考えていたのだろうか? あの女性のこと? それとも、まったく別のこと?「おかしなことを言うのね」わたしはぎこちなく笑った。「なんだって、知らないよりは知ってるほうがいいでしょう」
「だったら教えるが……」彼の唇が皮肉っぽくゆがむ。「きみを誘惑してみようかと考えていた」
 体を震えが駆け抜ける。わたしは目を大きく見開いて、思わずマッサージ台からあとずさった。「わたしには――愛してる人がいます」弱々しく言う。
 いきなりエドワードが身を起こした。「いようがいまいが関係ない。だが……本当にそうなのか?」
「もちろん、本当よ」
「写真を見ただろう? 映画スターがふたり、いちゃつきながらレッドカーペットを歩いてる写真を。きみを裏切った男じゃないか。捨てられて何カ月にもなる。そもそも体の関係などなかった。なのに、まだ愛していると言うのか? ほかの男は目に入らないのか? なぜだ?」
 そう、なぜ? 自分への問いかけが体の内でこだました。「わからない」
「よく言うだろう? 誰かを忘れるには、ほかの誰かとつき合うのがいちばんだと。あれは真実だ」
 わたしはまっすぐ彼を見た。「じゃあ、あなたと寝た女性たちはみんな、あの人の面影を消してくれたの? あなたが命がけで一緒になろうとしたあの人の面影を」
 彼の喉の奥から低いうめきがもれた。「やめろ」
「愛はそう簡単には消えないのよ。あなたもわかっているはずよ」
「いや、消える。消えた」腰に巻いたタオルを片手で押さえてエドワードは立ちあがった。「どんな気分だ? 義妹だけがみんな持っているというのは。きみがつきたかった仕事も、きみが愛している男も。しかもその男は、たぶん最初から彼女を狙っていた。きみを利用して……」
「やめて!」
「こうしてきみが苦しんでいるあいだも、ふたりはどこかでよろしくやっているんだ」彼は鼻で笑った。「彼らにとって、きみなど取るに足りない存在だ。とっくに忘れている」
 わたしはふと気づいた。「わたしのことじゃないわね。あなたは自分のことを言ってるんだわ」
 ふたりのあいだの空気が急に冷たくなったのは、窓を震わせる木枯らしのせいではなかった。エドワードは唇をゆがめ、くるりと後ろを向いた。
「今日は終わりにしよう」
「いいえ」とっさに彼の腕をつかんだ。「あなたを回復させるのがわたしの仕事よ。傷の深さを知らないことには無理だわ」
「見ればわかるし、さんざんその手で触ったじゃないか」
「見ることも触ることもできない傷というのがあるのよ。あなたの力になりたいの、エドワード。わたしはどうすればいい?」
 北極海みたいに寒々とした目でこちらをじっと見たあと、彼はタオルを持っていないほうの手をわたしの頭の後ろに当てた。
「こうすればいいのさ」エドワードは荒々しくわたしを引き寄せて唇を重ねてきた。
 あらがう間もなかった。わたしの体は凍りつき、そのあと溶けていった。彼の唇はシルクのようになめらかで、炎のように熱かった。舌が入ってくる。裸に近いたくましい体が覆ってくる。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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