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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ

魅惑のダンス

魅惑のダンス


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジョーン・ホール(Joan Hohl)
 シルエット・ディザイアの代表作家。アメリカロマンス作家協会のゴールデン・メダリオンを初めとし、数々の賞を受けている。彼女は現代的なロマンス小説に限らず、ヒストリカルやタイムトラベルものなどでも、その才能を発揮している。現在、夫と家族とともにペンシルベニアの東部に住む。

解説

 ある朝、ティナはバスに一瞬の差で乗り遅れ、通りかかったエリックという男性のバイクに乗せてもらう。いくら彼がギリシア神話の神のようにゴージャスだからって、見ず知らずの男性の誘いに乗るなんて……。後悔に襲われはじめたティナは、次の瞬間、エリックの言葉を聞いて凍りついた。「君のことは知っているよ」

抄録

 バスがタイヤをきしらせ、うめくような音をたててとまった。ティナはほっと息をついた。次が自分の降りるバス停だ。でもそれより……すがすがしい秋の空気の中を歩いて少し運動すれば、睡眠と鎮痛剤に負けないくらい、頭痛に効きめがあるかもしれない。
「待って! 降ります!」運転手に叫びながら席を立つと、ティナは閉まったドアに向かい、一直線に突き進んだ。
 運転手は「また寝すごしかよ」と不満げにつぶやきながらも、降車ドアをもう一度開けてくれた。ティナはバックミラーに映った運転手に愛想よく礼を言い、降車口を出た。そして歩道にぴょんと飛びおりると同時に、ふたたびドアが閉まった。
 ティナは息をとめて、走り去るバスの排気ガスが消えるのを待った。それから思いきり、夕方の新鮮な空気を吸いこんだ。

 ティナがそのブロックの中ほどまで来たときに、エリックは彼女が近づいてくるのに気づいた。いつも彼女が降りるバス停の、通りをはさんだ反対側にバイクをとめ、それにまたがったまま、かれこれ二十分以上も彼女を待っていたのだ。今朝は一時間近く兄のキャメロンと電話で話し、しかもその半分近くが質問責めだった。その後、エリックは一日中窓辺に座って、筋向かいの家の監視をした。しかし、なんの成果もなかった。そんなあとでティナ・クラナスの姿を見るのは、萎えた心にも疲れた目にも、すばらしい喜びだった。
 もちろん、ティナの愛らしい顔と魅力的な姿態を見れば、近ごろふたたび活発になった性欲がいやがうえにも刺激されたことは言うまでもない。
 足で蹴ってバイクのエンジンをかけ、通りの彼女の反対側まで走らせてから、エリックはUターンをしてティナのわきに並び、縁石沿いにゆっくり走らせた。
「やあ、お嬢さん、乗っていかないか?」力強いバイクのうなりに負けない大声で叫ぶ。
 ティナはちらっと目を向けたものの、すぐにまっすぐ前方を見た。「いいえ、けっこうよ」やはりバイクに負けない大声を張りあげて答える。「今は歩きたい気分なの」
「レストランまでずっと?」その質問はエリックのねらいどおりの効果をあげた。ティナの注意を引いたのだ。
 彼女はふいに足をとめ、振り返ってエリックをけげんそうに見た。「レストラン? いったいなんの話?」
 エリックはまずバイクのエンジンを切り、それから質問に答えた。「植民地時代《コロニアル》風の名前と雰囲気をもった街道沿いのレストランだよ。〈コンチネンタル・コングレス・イン〉っていう」
「でも、なぜ私がそこまで歩いていくの?」ティナはますますけげんそうに眉をひそめた。
「僕と食事するためだろう?」エリックの顔は無邪気そのものだ。
「食事?」
 思わずエリックは口元をほころばせた。面くらったティナの表情のキュートなことといったら。「ああ、わかるだろ、おいしい料理に飲み物、そして気のおけない会話のことさ」
 ティナはため息をついて片手を上げ、ずきずきするこめかみをさすった。「私、頭が痛いの」
 エリックはにやっとしたいのをこらえ、まじめな顔で言った。「別にベッドをともにしてくれと言ったわけじゃない。夕食に誘っただけだよ」
 ティナはいかにもつらそうな顔で、首をゆっくり左右に振った。「ほんとうに私……」
 そこでエリックがさえぎった。「腹はすいていないのかい?」
「それは、すいているけど――」
「じゃあ、行こう」なだめるような口調で、エリックはまた口をはさんだ。「もう予約してあるんだ」
 ティナはしばらく彼を見つめていたが、やがて負けたというように、ふたたびため息をついた。「わかったわ。実はお昼抜きで、おなかがぺこぺこなの」
 不承不承の同意でも、エリックは有頂天だった。ティナの気が変わらないうちに、いち早くバイクを起こし、前かがみになって彼女が座れるように席をあけた。「さあ、乗って」そう言いながら、腕時計をちらっと見る。「予約は七時だから、もう五分前だ」

 エリックの甘い言葉に乗ったり、魅力に負けまいと心に誓っていたのに。ティナは苦々しい思いで肩をすくめながら、手渡されたヘルメットをかぶり、黒と銀色の怪物に用心深くまたがった。
 驚いたことに、冷たい風を顔に受けてバイクで疾走するうちに、頭痛は悪化するどころか、しだいにおさまってきた。そしてレストランの駐車場でバイクを降りたときには、頭はすっきりと冴え、こめかみの痛みは鈍いものに変わっていた。
 しかし冷気に触れて頭痛はやわらいでも、エリック・ウルフへの異常な反応に心乱れるティナの動揺はおさまらなかった。だって、おさまるはずがない。またしても彼の力強い肉体のぬくもりに触れ、腿がむずむずしているのだから。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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