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レディは恋泥棒【ハーレクイン文庫版】

レディは恋泥棒【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

 パリサは全身黒い服に身を包み、暗い部屋へ侵入した。結婚を控えた親友がたまたま撮られてしまったヌード写真。ここに住む悪党は、それをねたに親友を脅迫しているのだ。引き出しの中に目的の写真を見つけ、脱出しようと身を翻した瞬間、壁のように頑丈な体に行く手を阻まれて仰向けに組み敷かれた。見覚えのある漆黒の瞳に力強い顎。あれは10年前……まさか、ルク! あなたがゆすり屋だというの? 困惑するパリサに、彼は余裕の笑みを浮かべて言った。「警察に突き出されたくなかったら、取引をしようじゃないか」

 *本書は、初版ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「そうとも、|いとしい人《カーラ》」彼はパリサの動揺をすかさず読み取った。「黒ずくめの服装、ナイフでこじ開けられた引き出し。念のため札束をそのへんにほうり投げておけば、君は即刻、刑務所行きだ」
 悔しいが彼の言うとおりだ。パリサは途方に暮れた目でルクの冷ややかな目を見上げた。
「ただし交渉の余地はある。君の決断一つでこの写真を取り戻し、親友の秘密を完全に葬り去れる」
「交渉?」こんな男の話にはとてものれないが、むげに断るわけにもいかない。「どういうことかしら」話を引き延ばそうとして言った。
 ルクはマホガニー材のサイドボードの引き出しに写真をしまい、そばにあった銀のトレイからウイスキーのボトルを手に取った。「一杯やりながら話そう」彼は振り向いて言った。「君にはブランデーのほうがいいかな? 気付け薬が必要な顔だ」
 平静を取り戻すにはブランデーくらいでは足りないし、彼と仲良くグラスを傾け合う気にもなれない。「いいえ、遠慮するわ。あなた一人でどうぞ」
「なかなか辛抱強いね。強情っぱりと呼ぶべきかな」ルクは再び戻ってきてパリサの向かい側に座り、琥珀色の液体をすすりながら目を細めた。「よし」決心したようにうなずいた。「実に単純な話だ。ティナがさっき言ったように、来週の火曜日にイタリアで母の誕生日パーティーが開かれる。僕も出席しなければならない」
「あなたに血の通った家族がいたなんてね」
「ずいぶんときつい言い方だな」
「話の続きをどうぞ」
「母は七十歳だ。残念ながら健康とは言いがたく、息子の結婚を今か今かと待ち望んでいる。僕は身を固めるつもりはこれっぽっちもないが、親孝行のためなら嘘も方便だろう。そこで君の登場だ」
 なんだか雲行きが怪しいわ。パリサはいぶかしげに彼を見た。憎らしいほどのハンサムだ。軽くウェーブした黒髪、聡明そうな広い額、漆黒の瞳、りりしい口元。鼻筋の通った美しく野性的な鼻は、端整な顔立ちに男らしい魅力を添えている。
「どういうことかしら」
「一緒にイタリアへ来て、二日間だけ僕のフィアンセを演じてもらいたい。イギリスの貴婦人が義理の娘になると知れば、母も遠慮して当分は僕をせっつかないだろう」
 それでわかったわ。マーゴット・マイが彼にイタリアへ連れていけとせがんでいた理由が。それから彼がそれを断った理由も。パリサはレディの称号を使ったことは今まで一度もないが、その効力は当然知っていた。でもこんな男と二日間も一緒だなんてとても耐えられない。かといって、とらわれの身同然のこの状況でほかにどんな選択肢があるの?
「具体的にどうすればいいのかしら」パリサは時間稼ぎのつもりできいた。ルクはテーブルにグラスを置き、パリサの前に立った。不自然なほど近い距離で。パリサは不安に駆られて口を開いた。「パーティーに参加するだけでしょう?」
「そうだ。ただし僕と仲むつまじく見えるように」彼は皮肉めかした口調で言い、いきなりパリサを抱きしめた。
「私にはそんな演技力はないわ」彼の傲慢そうな顔をひっぱたきたいのをこらえ、両脇でこぶしを固めた。
「だったら僕がレッスンしてあげよう」
「いいえ、けっこうよ!」無理やり唇をふさがれた。パリサは必死にもがいたが、彼の獰猛な口づけになぜか怒りが引いていった。やめて! 内心の抗う声をよそに体の奥がじんと熱くなった。全身を興奮が駆けめぐっている。
 たくましい胸板の感触にいつの間にかパリサの胸の先が硬くなった。ぼんやりうめき声が聞こえた。ルク? それとも私? 熱い湿った唇がパリサの首筋に移り、舌が脈打つ血管をそっとなぞった。パリサがそのしびれるような感覚に酔った瞬間、ルクはいきなり体を引いた。
「これが手ほどきのレッスンだ」淡々とした声が言った。「演技力がないなんて謙遜だろう? 今の敏感な反応ぶりは大女優顔負けだよ」
 パリサが戸惑った目を向けると、ルクは何食わぬ顔でほほえんでいた。ひどいわ。こんな男に感じるなんて屈辱よ。イタリアへなんかなおさら行けない。だいいちこれは、そもそもモイアの問題よ。
「そんなに驚くことはない。今のような演技はそう何度も必要ないだろうからね」
「そう?」パリサは脚の震えを意識しながら平静をよそおった。大事なのはここをどう脱出するかだ。頭の中を思考が猛スピードで駆けめぐった。「私も少しお酒をいただくわ。詳細な打ち合わせに入りたいから。その前にバスルームをお借りできる?」
「話せるじゃないか。さすがは君だ。これは互いに利益のある話だからね」彼は上機嫌で笑った。
 パリサもぎこちなく笑みを返し、さっと身をひるがえした。そのまま迷わず歩き出しそうになり、慌てて振り返った。「あの、バスルームの場所を教えていただける?」
「廊下をはさんだ向かい側だ。案内しよう」彼はパリサの背中を押して廊下へ促し、バスルームのドアを指した。「交渉成立を祝ってシャンパンを用意しておくよ」彼は玄関の方向に立ちはだかった。
「まあ、楽しみだわ」今に見てらっしゃい。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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