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大富豪と愛を語る花

大富豪と愛を語る花


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
 アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

 わたしが窮地から救われるか否か、すべては傲慢な大富豪の一存で……。

香水会社のCEOだった亡き祖父の遺志を叶えるため、ジャスミンは南フランス最大手の銀行を訪れることにした。祖父が亡くなってから傾きつづけている経営を立て直すには、長年取り引きのあるその銀行の援助がどうしても必要なのだ。頭取のリュック・シャリエールとは面識がないけれど、この交渉を成功させなければ、あとがない。緊張感に包まれながら案内されたオフィスに足を踏み入れると、そこにいたのは、2カ月前に旅先で声をかけてきた不埒な男だった!あのときは警戒心が働き、失礼な態度でつっぱねてしまった。いま目の前に傲然と立つ彼の瞳は、明らかに謝罪を要求していて……。

■1982年の創刊より心温まる優しいロマンスをお届けしてきたHQイマージュが、おかげさまで2400号を迎えました。記念号を飾るのは、大きな愛で読む者の心を潤す大御所作家R・ウインターズ。ちょっぴり感傷的な筆致で描かれる、繊細で抒情的な珠玉作です。

抄録

「お酒はとうにやめたと聞いているわ」彼の心を読んだかのようにジャスミンが言った。「今は息子と同居しているの。お嫁さんと孫もいっしょよ」
 リュックはかぶりを振った。彼女の要求どおりの融資を認めることは、巨大なリスクを負うに等しい。引き受けるのは無理だ。銀行の取締役会にかけたとしても、奇跡でも起こらないかぎり了承は得られまい。リュック個人としても、明らかな理由から、やはり反対の立場は揺るがなかった。
 ジャスミンは唐突に立ち上がった。「必要なら、フェリエの家屋敷を担保にしてもいいわ」
 まったく。担保に個人的な資産を差し出そうとするなど、彼女は何を考えているんだ? とはいえ、道義のためならどんな犠牲もいとわないその姿勢には、はっきり言って敬服する。彼女はポールの実の息子を助けたい一心なのだ。
「あなたの考えていることはわかる。追加融資はリスクが大きいと思っているのよね。でも、ことわざにもあるわ。“リスクのない勝利に栄光はない”あなたはすばらしい仕事をすることになるのよ。ひとつ覚えておいて。私は最初にここへ来た。あなたが断れば、私はほかを当たって引き受けてくれる銀行を必ず見つけ出す。脅迫じゃないわ。私は事実を話しているだけ。そして私には時間がないの」
 ジャスミンが再び椅子から立ち上がった。帰ろうとする彼女の腕を、リュックはあわててつかみ、驚いた顔に語りかけた。「そっちじゃない。誰にも見られないよう、個人用の出入り口を使ってくれ」
 彼女はミッドナイト・ブルーの瞳をきらめかせ、つかまれた腕を静かに引いた。「わかったわ。あなたには大きなお願いをしたばかりだものね」
 それを言うなら不可能なお願いだ。「すまない。正直に言うが、今の話から判断して、銀行の取締役会が進んで君に協力したがるとは思えない」
「要するに、引き受けられないということね」
「申しわけないが。ああ、だがせめて、銀行の外までは僕に送らせてほしい」
 遠慮する彼女にかまわず、個人用の出口に向かった。裏口から外に出て、横手に止めてあるというアウディまで彼女につき添う。彼女が車に乗ると、服の裾が腿にずり上がったせいで、一瞬だが美しい脚が視界に入った。
 運転席の窓が下げられると、リュックは片手を車の屋根に置いて窓に顔を近づけた。「ちょっといいかな」声をかけられて、彼女が動きを止めた。「ひとつききたいんだが、今つけているのはなんの香りだ? 甘くて、さわやかで、春っぽいというか」
「まだ名前はないの」
「つまり、君が楽しみながら調合した、できたてほやほやの香りというわけか」テレビで語られた話を思い出して、からかってみる。
 彼女の片頬がかすかにゆるんだ。リュックはもはや完全に心を乱されていた。「ええ、まあ」
 唇からなかなか視線を外せない。「機嫌をとろうというんじゃない。そこは信じてほしいんだが、いい香りだよ。女性の香水ではいちばんだ」
 彼女の唇に笑みが広がった。「信じます。同僚にかぎらず、会う男性のほとんどがそういう反応なのよ。もう一年くらい使っているわ。これは純粋なパルマすみれの香りなの」
「すみれ? そうか、ぴんとこなかったな」
「消滅したも同然の品種だから」
 リュックは眉根を寄せた。「消滅?」
「十九世紀のグラース周辺では、香水産業で用いる植物が数多く栽培されていたの。だけど一八九〇年代に入ってすみれの合成香料が出たでしょう。それがたちまち安く大量生産されるようになって、天然の精油は作られなくなったの。そのパルマすみれを、レミーがイタリアからグラースにもう一度持ってきたのよ。ここ数年、栽培にとり組んでいて、香りの違う変種もいくつか完成させているわ。彼の最高傑作がその変種のひとつで、これがとても育てやすいの。栽培面積を増やせれば、弊社の香水市場に、利益が見込めるまったく新しい分野が開拓できるでしょうね」
「それはどういう?」リュックはたずねた。これほどいろいろと驚かせてくれる女性は初めてだ。
「男性が女性に求める香り。女性って、だいたい自分で香りを選ぶものだから」
 男が女に求める香りか……。
 まさしくそうだ。自分は確かに惹かれた。
 斬新な戦略はリュックを興奮させ、彼女の知識にも驚かされた。頭が下がるとしか言いようがない。
「ポール・フェリエはレミーの才能に気づかなかったの。ただの穀つぶしだと思っていた。だけどレミーはジャン=ルイの協力もあって、〈フェリエ〉の収支を黒字に戻す秘密兵器を完成させた。あなたには断られたし、別の出資者を探すことにします。あとで聞かなかったとは言わないでね」ジャスミンはサングラスをかけた。「先週はいきなり押しかけたのに、あなたは追い払ったりしなかった。今は今で喜ばせてもらったし、祖父が長年あなたの銀行と取り引きを続けてきた理由がよくわかったわ」それだけ言うと、彼女はエンジンをかけた。駐車場を出る前に手を振って言い添える。「イェロニソスでは早々に誤解されたのに、レミー・フェリエに関しては違うだろうと思うなんて、私も考えが甘いわよね。でも、話を聞いてもらって感謝しているわ。はっきり断ってくれたことも。おかげで時間を無駄にせずにすんだから。|さよなら《オ・ルヴオワール》、ムッシュー」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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