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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ロマンス

恋は気まぐれ

恋は気まぐれ


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。  カーラ・キャシディ(Carla Cassidy)
 主にシルエット・シリーズで活躍している作家。数々の受賞歴を誇り、執筆作品数は五十五以上にものぼる。これまでにカンザス州のプロフットボールチームのチアリーダーを務めたほか、バンドの歌手兼ダンサーとしてアメリカ東海岸を巡業した経験もある。現代を舞台にしたロマンス小説を中心に、ヤングアダルト小説も手がける。彼女にとって何よりの喜びは、小説を執筆し、読者を幸せにすることだと語る。現在は、アメリカ中西部で夫とともに暮らす。

解説

●『ハリウッドに恋して』(キャンディス・キャンプ著)「あなたはわたしの命の恩人よ」無事に出産を終えたベスは、付き添っている男性に言った。路上で陣痛に襲われ苦しむ彼女を、彼が病院まで運んでくれたのだ。本当に親切な人ね。どこかで見覚えのある顔だけど。ベスは突然気づいた。あの有名な映画監督のプレスコットじゃない!

●『最後のプロポーズ』(カーラ・キャシディ著)セレナ王女と結婚した義兄に招待されたレベッカ。パーティ会場で王子に誘われるまま、ダンスに興じることに。ダンスが終わったとたん、レベッカに大きな喝采が贈られた。いったいどうしたの?次の瞬間、彼女は王子の言葉に耳を疑った。「僕らは婚約した。きみはエデンバーグ王国の次期王妃だ」
*本書に収録されている「ハリウッドに恋して」は、既に配信されている作品と同作品となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「ええ」ベスは疲れた顔を輝かせて、両手を差しだした。まじまじと赤ん坊を見つめ、小さな頬を人差し指でなぞり、自分の指をつかませて薄いスナップ式のシャツをまっすぐに直した。「いつも一から確認しないと気がすまないの」ベスははにかんだように言った。
「わかるよ」ジャクソンはベッドに身を寄せた。
「抱いてみる?」
「いいのかい?」
「決まっているじゃない。わたしはいくらだって抱けるもの。少なくとも一時間は迎えに来ないと思うわ。もうすぐミルクの時間だから」
「それなら」ジャクソンは満面の笑みで、両手を赤ん坊の下に滑りこませた。「ぼくはそそのかされやすいたちなんだ」
「そうみたいね」
 ベスが見守る中、ジャクソンは赤ん坊を胸に抱き寄せた。身をかがめ、今しがたベスがしていたように甘い言葉をささやきながら小さな顔をしげしげと見つめる。そして赤ん坊の手のひらに人差し指を差しこみ、小さな手が自分の指を握る感触を味わった。
 突如ジョーが顔をしかめ、体をくるむ薄い毛布の下で脚をばたつかせた。口のまわりにしわを寄せ、周囲を見まわしながらしきりに口を動かしている。
「何を考えているのかな?」ジャクソンが尋ねた。「自分を見てにやにやしているぼくたちを、ばかみたいだと思っているとか?」
 ベスがくすくす笑った。「そんなことを考えるのは十二、三歳になってからじゃない?」
「だけどその歳には、誰もにやにや笑いかけない」
 ベスは、ジャクソンが笑顔でジョセフに話しかけるのを眺めた。赤ちゃんが真剣な表情で見つめ返している。胸にぐっと迫るものがあった。
 こうしているのがこの子の父親ならどんなにいいか。ジョセフは父親を知らずに成長することになる。父親の役目は兄弟や父が果たしてくれるから同じだと思ってきたけれど、今はそうは思えない。この子に父親はいない。誕生に立ちあい、わたしと同じように誇りと畏敬と喜びを感じた父親はいないのだ。
 ベスはため息をついた。どうしようもないことを望んでも仕方がない。どのみちロバート・ウェアリングがこんな父親になれるわけがない。ずるくて薄汚い男。わたしは正しい決断をしたのだから。
 ジョセフがさらに激しく口を動かし始めた。腕と脚をばたつかせる。そして偶然自分のこぶしが唇に当たったとたん、それをちゅうちゅう吸い始めた。
「どうやら食事の時間らしい」ジャクソンはそう言うとベスに向き直り、赤ん坊を手渡した。「それじゃあ、そうだな、ぼくはこれで」
 彼女が母乳を与える。それを考えると、ジャクソンはいたたまれないほど体が熱くなるのを感じた。こんなことでどぎまぎするとは、おかしな話だ。映画のシーンで、女優の裸の胸など見慣れているはずなのに。なんだか、いつもと違う。
「わかったわ。今日は来てくれてありがとう」
「これからオースティンに戻るんだ」ジャクソンは去りがたいものを感じていた。「ロサンゼルスに戻る前に、あと二、三週間滞在して周辺でロケ地を探す。何かぼくにできることがあれば、いつでも連絡をしてくれ。フォーシーズンズホテルに泊まっているから」ペンを取りだし、自分が贈った花の小さなカードを取ると、数字を書きとめた。「これが部屋の番号だ。きみの名も電話取りつぎリストに入れておくから。もし何かの手違いでつなげないと言われたら、メッセージを残しておいてくれ。ぼくのほうからかけ直す。いいね?」
「ええ」ベスは笑いをこらえ、カードを受け取った。何もそこまでセキュリティを厳重にしなくても。
 ベスの目に浮かんだ笑いに気づき、ジャクソンがほほ笑んだ。「わかっている。笑いたければ笑うといい。だけどロケに出るたび、周辺の作家や役者からひっきりなしに電話がかかってくるんだよ。次回作はこうしろなんて自分の案を伝えてくるファンもいるしね」
「そんな人に車をとめてもらうなんて、わたしはずいぶん幸運だったのね」
「ぼくはおなかの張りだした女性に弱くてね」ジャクソンはごく自然に身をかがめ、ベスの額にキスをした。一瞬、二人の間に驚きが走った。
 ジャクソンは突如ばつの悪さに襲われ、あとずさった。ジョセフが大きな泣き声をあげる。
「よしよし。この子はもう食事を待てないようだ」ジャクソンは後ろ髪を引かれながらも背を向けた。ドアの手前で最後にもう一度振り返った。「忘れないで。ぼくにできることがあれば電話をすること」
 ベスはうなずいた。「さようなら。いろいろとありがとう」意外にも涙がこみあげそうになる。
 彼はほほ笑み、そして出ていった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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