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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

秘書という名の愛人

秘書という名の愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャシー・ウィリアムズ(Cathy Williams)
 トリニダード・トバゴの出身で、トリニダード島とトバゴ島、二つの島で育つ。奨学金を得てイギリスに渡り、一九七五年エクスター大学に入学して語学と文学を学んだ。大学で夫のリチャードと出会い、結婚後はイングランドに暮らす。テムズ・バレーに住んでいたが、現在は中部地方在住。夫との間に三人の娘がいる。

解説

 憧れのボスとの1週間の出張旅行。そこに潜むのは99%の不安と1%の好奇心。

ケイトは真面目だけが取り柄の財務担当の会社員。まるで制服のように毎日地味なスーツを着て、金曜の夜も一人残業する。だがそんな彼女にも唯一の弱点があった──社長のアレッサンドロだ。セクシーな彼が視界に入ってくるだけで、そわそわ落ち着かなくなる。しかも突然、その彼から出張に同行するよう命じられてしまった。二人きりで海外出張?でも大丈夫。私なんか彼の眼中にないもの。恋人を数カ月ごとに替える彼の好みは、遊びを心得た派手な美女。堅物の私とは大違い。胸のざわめきをケイトは必死に抑えたが、知る由もないアレッサンドロは告げた。予約したのは1部屋だけだと。彼の目に獲物をいたぶる獣の輝きがあるのを、ケイトは気づかなかった。

■奔放で恋多き母に反発して育ったケイトは、地味なスーツをまとい、恋人も友人もなく、仕事だけに打ち込んできました。でも社長のアレッサンドロだけは、彼女の隠された魅力に気づいていて……。

抄録

「君はもう帰るところだったと言っていたな?」
「ええ」
「だったら」アレッサンドロは立ちあがり、ゆっくりと歩きだした。ドアの前まで行ってそこに寄りかかり、再びケイトを見る。「車で送ろう。君はどこに住んでいるんだ?」
 ケイトはそわそわと舌で唇を湿らせてから、礼儀正しくほほえんだ。それから腰を上げ、散らかってもいないデスクの上を片づけはじめた。
 グレーの膝下丈のスカート、実用的なローヒールのパンプス、そしてタイツ。あの取りすました外見の下にはどんな体が隠れているのだろう? アレッサンドロはふとそう思った。太っても痩せてもおらず、背が高いということ以外は何もわからない。堅苦しいシャツとスカートがすべてをおおい隠している。
 なのに、どうしてこんなに熱心に彼女を見ているんだ?
 ケイトがノートパソコンを革のブリーフケースにしまい、椅子の背にかかっていたグレーのジャケットを手に取った。「家まで送ると言ってくださってありがとうございます。でも、途中で買いたいものがあるので、地下鉄で帰ります」
「何を買うんだ?」
「食料品とか、こまごましたものです。近所の店に寄っていかなくては」
 ケイトは穏やかに答えたが、アレッサンドロはその言葉の裏にいらだちを聞き取り、とまどった。堅苦しい服の下にどんな体が隠れているのか興味をそそられた自分にとまどったのと同じように。女性にこんな態度をとられることには慣れていないのだ。
「問題ない」アレッサンドロはケイトの抗議をあっさり受け流した。「運転手はもう帰らせたから、僕が運転する。買ったものを抱えて帰るより、車に積んで運んだほうが楽だろう」
「食料品を抱えて帰るのには慣れていますから」
 アレッサンドロは鋭く目を細めてケイトを見た。どういうわけか彼女は怖がっているように見える。家に送るというのを、なぜ必死に断るんだ? 「ジョージ・ケイプの問題にどう対応するか話し合うには、ちょうどいい機会だと思うが」
「もし彼が本当にお金を使いこんでいたらの話です。それに、あなたはもうどんな対応を取るか決めていらっしゃるみたい。彼を牢屋に入れてその鍵を捨ててしまおうとお考えなのでは?」
「僕が間違っていることを祈ろう。もし間違っていれば、彼は実刑を免れる」アレッサンドロは脇にどいてケイトを先に通した。それから部屋の照明を消し、彼女と一緒に歩きだした。「君はもう半年ほどこのオフィスにいるはずなのに、個人的なものを一つも置いていないんだな。今夜初めて気づいたが」
 ケイトは顔を赤らめ、彼の視線を避けた。「ここは仕事をする場所です。私室ではありません」
「私室か。すてきな言葉だ。思い出の品はどこにしまってあるんだい? 私室かい?」
 その言葉には愉快そうな響きがあり、ケイトはいらだちを覚えて振り返った。落ち着きなさい。厳しく自分に言い聞かせる。彼に動揺させられてはだめ。ぎらつくグリーンの瞳が漆黒の瞳とぶつかった。彼の瞳に引きこまれそうになり、ケイトはなんとか自分を現実に引き戻した。
 アレッサンドロ・プレダは女たらしで有名だ。新聞や雑誌にはしじゅうそういう記事が載っている。
 彼は女性を利用する。写真の中で、女性はいつも彼の腕にもたれ、うっとり彼を見あげている。彼がつき合うモデルたちの中には母のような女性もいるのだろうか? すばらしい容姿に恵まれていながら、せっかく持って生まれた資質の使い方がわからない分別のない女性や、男性にすがりついて、与えてもらえるものより多くを望んでしまう女性が。
「ファイルを調べてわかったことを、メールでお知らせしましょうか?」慎重に礼儀正しい口調を装い、ケイトは言った。そして、エレベーターを呼ぶボタンを押してからアレッサンドロのほうを見た。まるで板切れのように硬く体をこわばらせて。
 アレッサンドロは生まれてこのかたケイトほど堅苦しい女性は見たことがなかった。
 これは自制心が強いなんてものではない。冷静という言葉ではとても足りない。
 彼女はどういう女性なのだろう? まわりに立てた“立入禁止”の標識はかえって僕のような男の心をそそることを知らないのだろうか?
 これまで三十四年間、女性を手に入れるために必死になったことは一度もない。女性たちが自ら進んで自分を差し出してくれるからだ。
 だが、ミズ・ケイト・ワトソンは僕に抵抗している。つまり、これは僕にとって一つの挑戦だということだ。そして、僕はいつだって挑戦を受けて立ってきた。
 アレッサンドロは言った。「いや、それはやめたほうがいいだろう」エレベーターのドアが開くと一歩後ろに下がり、ケイトを先に乗せた。「メールは他人に読まれる可能性がある」
「まるでスパイ活動みたいですね」ケイトは階数表示ボタンが並ぶパネルに向かって言ったが、隣に立つアレッサンドロを強く意識していた。彼から漂ってくる危ういまでの熱気に包みこまれ、それを振り払いたくなった。今まで彼のせいでこんな気分になった記憶はない。だが、ふだんはほかの人が一緒にいる。こんなふうにエレベーターの中で二人きりになったのは初めてだ。
 アレッサンドロはケイトの青白い横顔を見つめた。彼女は美しい。ふいにそう気づいて驚いた。すぐにはわからない。彼女が必死に自分の美しさを目立たせまいとしているから。しかし、こうしてじっくり見てみると、顔立ちは完璧だ。鼻は小さくまっすぐで、唇はふっくらとしてセクシー、頬骨は高く突き出ている。そんな繊細な顔立ちを、地味な髪型がいっそう強調しているようだ。
 髪はどれくらい長いのだろう? まとめているからよくわからない。
 そのときケイトがぱっとこちらを向き、アレッサンドロは背筋を伸ばした。こっそり彼女を観察していた現場を押さえられ、後ろめたさに頬がほてった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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