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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス・エクストラ

恋はラテン風に

恋はラテン風に


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス・エクストラ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。  ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

●『スペインから来たドクター』(メラニー・ミルバーン著)夫の手ひどい裏切りにあい、離婚を決意したハリエット。深く傷ついた彼女を支えてくれたのは同僚の医師シーロだった。ふたりは強く引かれ合うようになるが、ある日ハリエットは彼が自分に嘘をついていたことを偶然知ってしまう。打ちのめされた彼女はシーロに別れを切りだす。

●『誘惑のローマ』(ルーシー・モンロー著)情熱のないお堅い女。元夫に与えられた汚名を返上しようと、ベサニーは冒険を求めてローマへの一人旅を敢行した。現地で彼女はアンドレという気さくな男性と知り合い、急速に関係を深めていく。だが将来のことも考え始めた矢先、彼はなんの説明もなくベサニーの前から姿を消した。

*本書に収録されている『スペインから来たドクター』は、既に配信されている作品と同作品となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 幸い、少し歩くと顔の赤みが消えた。今まで男性のことでは、これに近い反応さえしたことがない。今感じているものがなんであれ、指にはめた指輪を見るまでもなく、不適切であることは自覚している。
「なんのこともなさそうだろう」シーロは時間を無駄にせず要点に入った。「僕が勤務に就く前にアリッサは診察を受け、傷は縫合された。神経徴候等はなかったが、診察した医師の提案で、二、三時間様子を見ることにしたんだ。その結果、異常がなかったため、母親は娘を家に連れて帰りたがっている」
「でも?」そう続くのは明らかだ。
「彼女が健康とは思えない。僕は帰したくないが、本人は診察のために服を脱ぐのをいやがっている」
「十五歳ならいやがる子は多いわ」ハリエットは思いきって言った。「ことに……」声が小さくなったが、彼女は患者の治療のために咳払いして大胆に続けた。「あなたがハンサムな若い男性で――」
「それも考えに入れた」ハリエットの個人的な意見に当惑した様子もなく、シーロは口をはさんだ。「彼女はレッグウォーマーをつけ、カーディガンを羽織っている。袖をまくり上げさせて血圧を測り、反射神経を調べるときに足首をちらりと見るのがやっとだった。それだけでも、彼女はただのやせすぎではないとわかった。僕なら、拒食症でひどい栄養失調と診る。足首が腫れて浮腫ができているのは深刻な栄養失調の徴候だし、腕もきわめて細い。通常ならここで親の力を借り、心配しないようにと子どもを励まし、相手は医者で、診察はどうしても必要だと説得してもらうところだ。だがこの母親は、服を脱ぎたがらない娘に同調し、これ以上診察は不要だと言いはり、娘を家に連れて帰りたがっている」
「困ったわね」ハリエットは重大な状況に陥りかねないと気づいて下唇を噛み、熱心に耳を傾けた。
「脈拍を五分間計測したところ、彼女には不整脈があった。心電図検査と血液検査をしようと言ったが、これも母親にことわられた。明日娘を主治医のところに連れていくと言ってね。娘が極度の体重不足で、きちんと検査をされたら入院になるとわかっていて、それを避けようとしているんだと思う」
「アリッサとふたりだけで話はできたの?」
「いや」シーロはかすかに肩をすくめた。「シスター……」
「ハリエットよ」彼女は機械的に訂正した。
「ハリエット、僕は過剰反応をしない主義だ」シーロはじっと見つめた。「何もないのに問題を作ったりしない。アリッサをもう一度きちんと診るために、こうやって当番の最上級看護師である君に一緒に来てくれるように頼んでいる。それでもまだ母親が拒むようなら、僕は……」彼はまた言いよどんだ。今度も正しい言葉を探しているのだろう。ただ、今回はハリエットが彼の手助けをしようとした。
「厳しい対応をする?」彼の少し困惑した表情を見ると、それは探していた言葉ではないらしい。
「もし母親が応じなければ、やさしい提案と、親しみのあるおしゃべりは終わりだ。母親を応接室に呼び、今夜娘が診察ときちんとした治療を受けなければ、僕は小児科医だけでなく家族地域省にも相談するつもりだと話す。そうは見えないかもしれないが、アリッサは危険な状態である可能性が高いんだ」
「大ごとね」ハリエットは笑みを浮かべた。
「まったく!」彼も微笑を返したがすぐに消し、やや緊迫した声で言った。「これはまずい状況だ」
 彼女はシーロを信じた。
 患者に接している彼を観察したこともなく、つい先ほど彼を知ったばかりでも、ハリエットは看護師として、これは経験が語る声であり、彼の直感には従う価値があると悟った。いつの日か、今度は彼女が、書類上ではなんの問題もない患者が心配でならないとき、そして、それがいつにしろ直感に従うべき一瞬が訪れたとき、彼女はシーロを振り向いて相談することができるのだ。
 彼は耳を傾けてくれるだろう。
「さあ、ミセス・ハリソンと話をして、アリッサに検査を受けさせましょう」
「君は大丈夫かい?」彼は眉をひそめた。「なんだか……顔が上気しているけど」
 ハリエットは少し顔が熱いように感じていた。たださっきと違い、原因は、外国から来た身長百九十三センチはあるセクシーな男性ではなく腹痛だ。湯たんぽを当てて鎮痛剤をのんでもいまだに痛みが消えていないが、それをシーロに話すつもりはない。
「私は元気よ」ハリエットはそっけなく頭を振った。腹痛を無視して患者のいる診察室のほうへきびきびと歩きながら、厄介な仕事に向けて心の準備をする。
 だがシーロの話はまだ終わっていなかった。腕をつかまれて向き直った彼女を、観察力の鋭い目がじっと見つめ、紅潮した頬と青ざめた唇、痛みにしかめられた顔を見て取った。「君は具合が悪い」シーロは彼女の目をのぞき込むようにして断言した。
 ハリエットはとにかく彼の注意をそらしたくて、気の利いた返事を急いで考えた。もし夜勤を最後までやり通すつもりなら、今は同情など欲しくもないし必要でもない。彼女はプライドをのみ込み、このよく知らない彼に頼みごとをすることにした。「少し吐き気がするの。マクサロンの処方を書いてもらえないかしら?」彼の目が細められる。「誰にでもきいてもらえれば、私がいつもはこんな頼みごとをしないのがわかるわ。吐き気さえなくなれば……」
「いいよ」彼が微笑するとハリエットは安堵の笑みを浮かべた。「あとで君の診察をしてからね」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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