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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・コルトンズ

週末だけの恋人

週末だけの恋人


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・コルトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルース・ランガン(Ruth Langan)
 米ミシガン州在住。高校時代は学生新聞の記事を執筆し、卒業アルバムの編集に携わったという。ヨーロッパ及びアメリカの歴史ロマンス、現代もののロマンスのほか、脚本子供向けの本も書く。幼なじみのボーイフレンドと結婚し、五人の子供たちを育てあげた。ゴルフ、スキー、水泳などを楽しみ、毎日数キロのジョギングを欠かさないスポーツ愛好家でもある。

解説

 蝶のように昼食会やパーティに飛び回る生活に辟易し、令嬢ヘザーは父の親友ジョー・コルトンの雑務を手伝うため、コルトン家にしばらく滞在しようとやってきた。到着したとたん、一人の男性に紹介された。サッド・ロウ――ジョーの狙撃事件を担当している刑事だ。荒削りでセクシーな容貌にヘザーはときめいたが、サッドのほうはろくに彼女を見ようともしない。私に関心はないのね。彼と親しくなることをあきらめたある日、サッドはヘザーを捕らえると、熱い口づけで彼女の唇をふさいだ。

抄録

 ヘザーは笑顔で振り向いた。「ありがとう、ジョー……」彼女の笑みは凍りついた。「サッド」
「すまない。今度もびっくりさせるつもりはなかったんだ」驚いて見開かれた彼女の淡いブルーの瞳から、サッドは目をそらすことができないような気がした。男ならいとも簡単に溺れてもおかしくない。助けを求めて手をあげることもなく、喜んでそのなかに沈んでもいいと思うような瞳だった。
 サッドは本をおろしたが、脇へはどかなかった。動こうと思ってもできなかった。すでにヘザーの香水に魅せられていたのだ。その香りは彼の肺を満たし、頭をぼんやりとさせていた。
 今にもばかなまねをしてしまいそうだとわかっていたが、してもかまわない気もした。この瞬間、こうしてここにいて、ヘザーの香りを吸いこみ、あの唇のことを思って誘惑に身をゆだねること以外はどうでもよかった。
 ヘザーは一歩も動けなかった。逃げ場はどこにもない。背中はすでに本棚にしっかりと押しつけられている。それに、本当に逃げだしたいのか、自分でもよくわからなかった。ふたりのあいだに電気のようなものが流れて光を放ち、ぼうっとなってしまった。激しい夏の嵐の前の静けさのようだった。
 ヘザーは顔を少し上向けた。「ジョーなら、一分もすれば戻ってくるわ」
「そうかい。今ぼくが考えていることを実行するには、一分もあれば充分だ」一時間ならなおいいが。ヘザーのほうへ顔を近づけながら、一時間あればずっといいのにとサッドは思った。
 サッドの顔が近づいてくるのに気づいても、ヘザーにはとめようがなかった。キスをされても動転しないだけの心構えはできていたが、キスのあとになにが起こるかはまったく予想できなかった。
 サッドが空いているほうの手でヘザーの頭を後ろから支え、熱く貪るようなキスで彼女の口をふさぐと、ヘザーは衝撃で足もとがふらついた。サッドのキスは、ためらいがちに軽く唇をふれあわせ、ゆっくり味わい、次第に深めていくようなものではなかった。まるで炎と稲妻と雷鳴が一緒くたになったようなキスだった。ふたりのあいだに閃光が走り、至るところで稲妻が光ると、ヘザーは嵐のまっただなかに投げこまれた。
 サッドはヘザーをぎゅっと抱きしめ、さらにじっくりとキスをした。筋肉質のかたい体が彼女の体に刻印を押そうとしているのをヘザーは感じとった。サッドの味わい、サッドの感触をその身に焼きつけられるのを。
 サッドはヘザーをわがものにしようとするかのようなキスをした。ヘザーはすでにサッドのものになったかのようにキスを返した。
 ヘザーは自分の反応にショックを受けた。もしほかの男性にこんなふうに好き勝手に扱われたら、手厳しいひとことで相手をやりこめ、息の根をとめるような鋭い視線を浴びせて、顔に平手打ちをくらわしただろう。でも、サッドに息もつけないほどのキスをされると、胸を高鳴らせながら立っているのが精いっぱいだった。呼吸は乱れ、体は肉も血も耐えられないほど熱くなり、まるで身がとろけていくように感じられた。骨は溶け、血は血管のなかを音を立てて駆けめぐっているようだ。耳もとでは鼓動が狂ったように鳴り響いていた。
 個人的にも、また警官としても一線を越えてしまったことは、サッドにもわかっていた。それでも、やめることはできそうになかった。どうしても、あとひと口だけヘザーを味わい、もう一度だけ彼女にふれたかった。サッドは、名残を惜しむようにいつまでもヘザーの唇から自分の唇を離すことができず、今この場で彼女を自分のものにしたいというあらがいがたいほどの欲望と闘った。
 ヘザーを求めながらも、そんなことは理性を失った愚か者の欲望だとして、頭から振り払おうとした。サッドはゆっくりと頭をあげて、必死で落ち着きをとり戻そうとしているヘザーを見つめた。
 彼女はぱっと目を開けた。やわらかく完璧な形をした唇は湿り気を帯び、キスのためにはれあがり、まだサッドの唇の跡が残っているようだった。どうしてだかわからなかったが、そんなヘザーの様子を見て、サッドはなんだかうれしかった。
「すまなかったと言いたいところだが」サッドは喉がからからに渇いていることに気づいて驚いた。「でも、そう言えば嘘になる」
「わかったわ。あなたもわたしもせっかく正直でいるわけだから言わせてもらうけど、こんなことをするあなたって嫌いよ」ヘザーは喉がしめつけられているように感じ、やっとのことで言葉を発した。心臓はまだ激しく鼓動を打ち、頭はいまだにぼうっとしている。「でも、あなたと同様、わたしにも非があるわね」
「そうかい、それなら」サッドがてのひらをヘザーの頬にあてると、彼女はまたもや目を見開いた。サッドの顔に非常にゆっくりと笑みが広がり、ひとたび笑顔になると彼の顔つきはがらりと変わった。「次はきみからキスをさせてあげよう。それでおあいこというわけだ」
「まあ、それはどうもご親切に」しかし、ヘザーの口調に怒りは感じられなかった。おもしろがっているような響きがあるだけだった。
 サッドの表情のあまりの変わりように、ヘザーは自分の目を疑った。あの冷ややかなブルーの目は、思いやりに満ちたあたたかいまなざしに変わった。常にかたく引き結ばれている口もとは驚くほどやわらかそうに見える。そして、今まで気づかなかったが、彼の顎にはくぼみがあった。
「どういたしまして」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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