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大富豪の甘美な罠【ハーレクイン・セレクト版】

大富豪の甘美な罠【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 イヴォンヌ・リンゼイ(Yvonne Lindsay)
 ニュージーランドに生まれ、十三歳の頃からロマンス小説を愛読するようになった。ブラインド・デートで出会った男性と結婚し、二人の子供がいる。読書を通じて人々のさまざまな愛の力を追体験していると言う。

解説

 長いこと不妊治療に苦しんでいたラナは、結局子どもを産めなかった。夫が交通事故で亡くなったからだ。車には、あろうことか夫の愛人が同乗していたという。瀕死の重傷を負ったその愛人は、なんと臨月間近の妊婦だった。私が子どもを産めないから、夫は愛人に走ったのだ――打ちのめされたラナに、さらなる衝撃の事実がもたらされる。愛人のおなかの子の後見人に、ラナが指名されているというのだ。このわたしに、夫の愛人の子を育てろと……?呆然自失のラナの前に現れたのは、イタリア人大富豪ラファエル。夫の愛人の兄だという彼は、ラナに深い憎しみを抱いていた。

■ラファエルは、強欲なラナが夫との離婚に応じないせいで、自分の妹は恋人と結婚できないのだと思い込んでいました。こんな状況で出会ったふたりが、やがて狂おしいまでに愛し合うようになるとは……そんなロマンスが読めるのは、ハーレクインだけです。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ラナは立ち上がってバッグを手に取ると、ふらふらとドアに向かった。じかに銀行と話さないと。きっと支店長ならなんとかしてくれる。寝室のドアが開く音すら聞こえないほど、激しく耳鳴りがしていた。目の前に黒い斑点が点々と現れ、スイートの豪華な装飾が突如傾く。
 がっしりとした腕にウエストを支えられた。誰かの腕にすがりたい気持ちはやまやまだったが、それでもこの腕だけは振りほどかなければならない。
「放して。わたしなら大丈夫」だめ、声が弱々しい。ラナは脚が萎え、黒い斑点が寄り集まって一枚の黒い毛布のようになってもまだ、彼に抗い続けた。遠くから悪態のような声が聞こえた。そして次の瞬間、たくましい腕に抱きかかえられていた。
 ラファエルは気絶したラナを抱きかかえ、その体重の軽さよりも、開いた唇の魅惑的な形と胸をかすかに隆起させる浅い息づかいを痛いほど意識しながら部屋の奥へと運んだ。
 居間の長いソファを避け、ドアを開けたままの寝室に向かい、体をビロードの上掛けの上に横たえる。クールブロンドの髪が完璧な髪型からほつれ、青白い頬にかかっていた。その髪に触れたくて指がうずいたが、その思いを振り払うようにベッドサイドにあるミネラルウォーターのカラフェを手に取り、たっぷりとグラスに注いだ。
 ラナはすぐに意識を取り戻した。青みがかったまぶたが一、二度震えてからはっと見開き、その顔に不安に彩られた表情が少しずつ広がる。
「さあ、これを飲んで」ラファエルは片手でラナの背中を支えて起き上がらせると、グラスを唇に近づけた。
「ひとりで平気です」ラナはラファエルの腕から身を離しながら、こわばった声で言った。
 これでは夫に見放されたのも無理はない。男というのは相手の自立心は容認できても、自分が必要とされない状況には耐えがたいものだ。体裁を気にしたところで、ついさっきはこの腕に抱かれていたじゃないか。ぐったりと。ラナが唇からグラスを離し、そのふくよかな唇に舌の先を這わせると、ラファエルは腹部に熱いものが広がるのを感じた。
「大丈夫?」喉から短い言葉を絞りだす。
「ええ、だいぶ。わたしったら、いったいどうしたのかしら。ずいぶんご迷惑をおかけしたみたい」パンツの生地が腰と太腿でよじれていた。ラナは足を床に下ろして背筋を伸ばした。
 まだひどく青白い顔だとラファエルは思った。男女の営みとなれば、この顔も紅潮するのだろうか? それともそういうときでも、大理石の彫刻のように顔色ひとつ変えずに横たわっているのだろうか?
「手を貸そう」ラファエルはラナが反動をつけて立ち上がれるように、その華奢な手を支えた。指の細さはなるべく意識しないようにした。自分の手ならその指など、やすやすと折ってしまえることも。
「わたしは行かないと」
「行くってどこへ? アパートメント? それなら車を呼びましょう」
「いいの!」ラナの顔にくっきりと動揺が浮かんだ。
「だったらどこへ?」精いっぱい寛容に尋ねる。
「いろいろと感謝しています。でももう大丈夫ですから」
「本当にそうかな?」ラファエルはラナの体を、ベッドの向かいの壁にかけられた姿見へと向けた。「顔は亡霊みたいに真っ青だし、体も秋風に揺れる枯葉さながらにふらついている。それなのに大丈夫と? いったいいつから食事をしていないんです?」
「いいんです。わたしにはやることがありますから。お願い、行かせてください」
「そうはいきません。こんな状態のあなたをひとりで外に出すなんてとんでもない。カイルに申し訳が立たない。せめて何か食べてからにしてください。そのあと、ぼくが車を手配しましょう」亡くなった夫の名に反応して彼女の両頬が赤く燃え上がるのを、ラファエルは目を狭めて見つめた。
「わたしの前で夫の名を口にしないで」驚いたことに、ラナがさらに体を引き離した。
「口にしないと約束したら、残って一緒に食事をとってもらえますか?」
「交換条件を出すから、あなたと食事をしろと? おかしなまねはなさらないで」
「そうじゃない、シニョーラ。ぼくは良識に従って言っているだけです。あなたは何か食べるべきだ。一緒に食事をしましょう」
「約束がおありになるんでしょう?」
「予定は変えられます。それで、いつから食事をなさっていないんです?」
 ラナはあらためて考えてみた。最後に食事をしたのは、カイルが帰宅予定だった日の昼だ。夫が出張から戻った日は、ふたりで食事に出るのが習慣だった。だから帰宅する日は、いつも前もって知らせてくれていた。それが三日前。それから大量のコーヒー以外、何も口にしていない。でも食べ物のことなど今は後まわしだ。経済状態のほうが気になる。しかもこの人は債権者のひとり。昨夜聞かされた融資額が事実なら、主立った債権者のひとりということになる。喉が締めつけられるようだった。今は何も喉を通らない。たとえ食べたくても、この人と一緒なんてとうてい無理。
「ご心配いただいてありがとう」ラナはなんとか声に出した。「でも今は何も必要ありませんから」
「今は何も? それともぼくからは何も?」
 ラナは怒りの熱気が首筋を這い上がるのを感じた。そんなに見え透いていた? 「気に障ったならごめんなさい」ぎこちなく言葉を返す。
 ラファエルは指でそっと柔らかな頬をなでた。「気に障る? まさか。気に障ってなどいない」
 ぬくもりが肌をかすめ、それを追うように凍てつく冷気が全身に広がった。ラナは両手を強く握りしめた。わたしは何か誤解していた? ひょっとして彼は別の形で借金の返済を求めるつもりなの?


*この続きは製品版でお楽しみください。

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