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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル

アラビアのプリンスと私

アラビアのプリンスと私


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガリート・ケイ(Marguerite Kaye)
 スコットランドに生まれ育つ。グラスゴー大学で法律を学んだが、卒業後は異分野に進み、仕事の傍ら通信制大学で歴史の造詣を深めた。9歳にして詩作コンテストで優勝した才能は、のちに大好きなヒストリカル小説の執筆に発揮され、ミルズ&ブーンからデビュー作が出版された。

解説

 二度と恋はしないと誓ったのに、尊大な砂漠のプリンスに惹かれている!

英国貴族の次女キャシーは姉が嫁いだアラビアの王国にやってきた。結婚式の直前、婚約者に捨てられて深く傷ついた心を癒やすために。ほどなく彼女は隣国のプリンス――シーク・ジャミル・アル・ナザリが、幼い娘の家庭教師として英国人の女性を探していることを知る。母を亡くした娘はわがまま放題に育ち、周囲の手を焼かせているという。こんな私でも、もし誰かの役に立てるなら……。ひそやかな願いを胸に、キャシーは職に応募して首尾よく採用された。灼熱の砂漠を渡って隣国のオアシスにようやく到着したとき、彼女は豪華なローブをまとう長身痩躯のジャミルに出迎えられた。その夜、野営のテントの中で熱いキスを浴びせられるとも知らず。

 ■ヒストリカル・シークの第一人者、マーガリート・ケイの新作をお届けします。PHS−116『ハーレムの無垢な薔薇』でヒロインの妹として顔を見せていたキャシーが、いよいよ主役を務めます。砂漠のプリンスと英国人女性の濃厚なロマンスをお見逃しなく!

抄録

「だめ? 何がだめなんですか?」
「きみを私の娘の家庭教師にするわけにはいかない」
 キャシーは即座に言い返した。「どうしてです? 私が何をしたというんですか?」
 ジャミルは彼女を追い払うように手を振った。「きみは学校の教師ではなく、ハーレムの女のように見える」
 キャシーはあわてて反論した。「そんなの、おかしいです! あなたは急に訪ねてきたんですよ」口を開く前によく考えろという姉のアドバイスはすっかり忘れていた。「私はあなたが来るなんて夢にも思わず、ベッドに入ろうとしていたんですから。一日じゅうあなたが来るのを待って、長椅子に横たわって爪を研いだり、甘いお菓子を食べたりしていたわけではありません」
 ジャミルは息をのんだ。彼女が裸同然の格好で長椅子に横たわる姿が頭に浮かんだからだ。もちろん目の前の彼女は裸同然ではない。イブニングドレスを着ているときのほうが肌の露出は多いだろう。けれども彼女はネグリジェの下には何も着ておらず、体の曲線がすっかりあらわになっていた。それだけではなかった。眠たそうな青い目、ふっくらした唇、体にまとったジャスミンの香り。それらが欲望を駆りたててやまないのだ。
「きみは典型的な家庭教師のようには見えない。家庭教師は、もっとしかつめらしい顔をしているのではないのか」
 緊迫した状況なのに、キャシーはなぜかおかしくなってきた。笑いをこらえて唇をかみしめたが、それでも口元が震えた。
「この状況の何がおかしいんだ?」ジャミルは彼女をにらみつけた。
「だったら私はどんな顔をしたらいいのか教えてください」キャシーはできるだけ真面目な声を出そうとした。「そのとおりの顔をするように努力しますから。それに私は慎み深いドレスを何枚も持っています」
「服の問題じゃない。問題なのは、きみなんだ」ジャミルはそう言うと、彼女の腕をすばやくつかみ、部屋の隅に立てかけてある鏡のほうに向かせた。
 キャシーは天蓋の天井につるされたランプの明かりのなかに浮かびあがる自分の姿を見つめた。くしゃくしゃの髪は肩に落ち、ネグリジェのレースの襟に引っかかっている。肌は上気していて、目はきらきらと輝いていた。確かに慎み深い格好とは言えず、少しばかりなまめかしく見えるかもしれない。どうしてこんなことになったのだろう?
 ジャミルがすぐ後ろまで歩いてきた。キャシーは彼のたくましい体が背中に触れるか触れないかのところにあるのがわかった。温かな男性の体温が伝わってくる。ジャミルはふいに手を伸ばし、彼女の顔にかかる髪を払った。触れられた瞬間、キャシーの体に震えが走った。少しも寒くはないというのに。
「見てみろ」ジャミルはそう言うと、鏡のなかのキャシーを見つめながら襟元のレースを引っ張った。そして肩に手を置いて彼女の腕をなで下ろし、袖を引っ張ってから、ほどけそうになっていたガウンの腰紐を締め直した。
 彼女が顔を上げると、鏡のなかでふたりの目が合った。金色の秋のまなざしと青い夏のまなざし。
 その瞬間、空気がはじけた。ふたりの視線が絡まり、キャシーの息は喉に詰まった。ジャミルは顔をうつむけ、肩に落ちた彼女の髪を手に取ってすくいあげた。キャシーは鏡を通してそれを見ていたが、まるで芝居を見ているかのようだった。鏡に映るなまめかしい女性が自分だとは思えなかった。
 でも鏡のなかの女性が自分ではないのなら、なぜ彼の唇がうなじに押しあてられたのを感じるのだろう。触れたのはほんの一瞬だったが、そこが火傷をしたようにかっと熱くなった。息も乱れ、胸の鼓動がふいに速くなる。彼にキスされると気づいたのは、そのときだった。
 儀礼上のキスではない。
 唇にキスしようとしている。
 ジャミルはキャシーを自分のほうに向かせると、顎に手をかけて顔を上げさせた。再びふたりの目が合った。彼の目は今や陰りを帯びた金色になっている。金色の張り詰めたまなざし。その目に見つめられたら、もはや抗うことはできない。ジャミルが身を乗りだすと、キャシーも彼の腕のなかに体を寄せた。ジャミルと彼女の唇が重なった。
 英国にいるころ、男性は誰もがキャシーにキスをしようとした。けれども彼女はなんのためらいもなく、それをきっぱり拒絶した。だが不思議なことに、プリンス・ジャミルを拒絶しようとはまったく思わなかった。
 オーガスタスにはキスを許したが、崇拝するような慎み深いキスだった。バイロン卿は“初めてのキスは心を激しく揺さぶられる”と言っていたが、そんな気持ちには少しもならなかった。キャシーはそうなることを願って胸をわくわくさせていたが、最初のキスも、二十回目のキスも心はさめたままだった。だがジャミルにキスされた瞬間、胸が爆発するのではないかと思うほど激しく高鳴った。彼のキスはこれまでのものとはまったくちがうので、自分がキスしたことがあるという事実さえ忘れそうになった。
 ジャミルはキャシーの顔を片手で包みこみ、さらに体を寄せるよう促した。キャシーはそれに従って寄り添い、自分のやわらかな体が彼の胸板に押しつけられると、うっとりと息をもらした。胸のふくらみが彼の胸に押しつぶされ、先端がつんと硬くなる。なぜだかもどかしくてしかたなくなり、体がぞくぞくしたが、少しも寒くはなかった。ジャミルはもう片方の手を彼女の腰にまわしてさらに引き寄せた。キャシーはとっさに唇を舐めた。からからに乾いていたからだ。するとジャミルは目を見開き、うめくような声を口からもらした。ふたりの唇が再び重なった。キャシーはその瞬間、バイロン卿が言ったことは正しかったのだと悟った。心が揺さぶられ、高みに押しあげられるような感覚が体を駆けめぐっている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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