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今だけはこのままで 情熱を知った日 I【ハーレクイン・セレクト版】

今だけはこのままで 情熱を知った日 I【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト情熱を知った日
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

キャスはかつて“天才少女”“癒やしのピアニスト”と讃えられた。けれど対人恐怖症のせいで聴衆の面前に出ることができなくなり、以来、ずっと家に閉じこもったまま――。人と接するのは、年に1度、慈善事業のために請け負うプライベート・レッスンだけ。今年のチャリティ・オークションで彼女のレッスン権を獲得したのは、意外なことに、不動産業を経営するギリシア人大富豪だという。世界的な実業家が、なぜピアノなんて……。キャスの戸惑いは、訪ねてきたネオを迎えた瞬間、息が止まりそうな驚きに変わった。戸口に立ちふさがる、見たこともないほど長身で魅力的な男性は、引きこもりの地味なピアノ教師を、苦笑いを浮かべて見下ろしていた。

■ルーシー・モンローの2部作〈情熱を知った日〉は、ともに育ちともに財を成したギリシア人大富豪、ネオとゼフィールの物語。ネオはキャスの清廉さに魅了されますが、世慣れしすぎている彼と無垢な少女のような彼女では、つりあうはずもなく……。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「一つ教えておくが、カッサンドラ、僕も男だ」
「そんなことはわかっているわ」なにを怒っているのか知らないが、今はその理由を突きとめることにエネルギーを費やしてなどいられない。彼といると体の反応を隠すのに精いっぱいだ。「知らない人だったら、ぜったいにドアを開けなかったわ。ガウン姿だろうとなんだろうと」
「マネージャーが来てもガウン姿で開けるのか?」
 どこからそんなことを思いついたのだろう?「そんなわけないでしょう。ボブはいつも前もって電話してくるから、着替えないうちに押しかけられることなんかないもの」
「それを聞いて安心した」
 キャスはあきれた。「そう。それなら、しばらく静かにコーヒーを飲んで、私に目を覚ます時間をちょうだい。あなたとの話し合いに備えなくちゃ」
「なにを話し合うんだ?」
「どうしても私の家を変えたいんでしょう?」
「ああ」
 彼が少なくとも正直であることは認めよう。
 キャスはドアに向かった。「落ち着いてコーヒーを飲むのは無理みたいだから、シャワーを浴びて着替えるわ。まともに話ができるようになったら戻ってくるわね」
「急いでくれよ。三十分後には一緒にオフィスに出かけるんだから」
「さっさとどこにでも出かけてちょうだい。私はシャワーや朝の身支度を急ぐ気はないわ」
「僕も、君が人前に出られる姿になるまで三時間もここでぼんやりしている気はない」
「あなたのまわりの女性は、朝の支度にそんなにかかるの?」どうりでいらいらしているはずだ。幸い、キャスはそういうことにむだな時間をかけるのは嫌いだった。
「君は違うのか?」
「メイクはマスカラと色つきのリップクリームだけ。なにを想像していたの?」服装には凝るほうだが、Tシャツとジーンズを身につけるのと時間はさほど変わらない。それに、急いでいるときは、髪が濡れたままでも編みこんでまとめればいい。
「ぐずぐずしているうちに五分むだにした」
「あなたのオフィスには行かないわ」
「八時半には工事の連中がくる。家にいて見張りたいならそれでもいい。いやなら僕と来ることだ」
 キャスはカウンターに寄りかかっているネオに近づき、彼の胸を押した。絞め殺してやりたいくらいなのに、なぜか食べてしまいたいほどいとおしさを感じた。もちろん、言葉のあやだけれど。
「家をめちゃくちゃにされるのはいやよ。そんなことはさせない。工事の人がライラックの茂みを刈ろうとしたら、警察を呼ぶわ」それからマネージャーを呼んで、大騒ぎになった責任を取って辞めてもらい、家の中から作業員を追い出そう。そして、二度と慈善オークションにピアノの個人レッスンを出品したりしない。
 気がつくと、そんなことをぶつぶつ小声でつぶやいていたらしい。かっかとしていたネオが愉快そうな目を向けた。
「このことは落ち着いて話し合おう」彼はキャスの手を取った。そのとたん、キャスはなにも考えられなくなった。「あとで」
「なんのあと?」
「君がシャワーを浴びて着替えたあと」ネオは辛抱強く説明した。怒って当然なのに。
 キャスは怒っていた。
 しかし、ネオは冷静そのもので、鷹揚で、どこかおもしろがっているような表情を浮かべている。
 その尊大さを非難しようとすると、口の中がからからで、唇が動かなかった。そして、はっと気づいた。自分の唇が求めているのはキスだということに。私はどうかしてしまったの?
 自問したところで答えが出るわけではなかった。ネオにキスされたがっている自分にとまどうばかりだった。どうしたらいいのかわからない。こんなに強い欲望がどこにひそんでいたのか、自分でも見当もつかない。
 彼がすぐそばにいる。もっと近づきたい。唇と唇はわずかに離れているだけだ。どれくらいだろう?
「二十五センチ」キャスは思わず声に出してしまった。
「なにが?」
「距離よ」気づいたときには答えていた。舌を噛みたくなったが、それより、これ以上妙なことを口走らないようにするのが先決だった。
「なんの距離だ?」ネオが尋ねた。きょとんとしているものの、なんとなく察しがついたようだ。
「なんでもないわ」キャスは目をそらそうとしたが、できなかった。
 これまで天涯孤独の身を嘆いたり、子供が持てそうにないのを悲しんだりしたことはあるけれど、だれかにキスされたいと思ったことはなかった。そういうこととは無縁なのだと割り切ってきた。
 こんなふうに思うのは、今までそれだけの男性と出会わなかったからだろうか? ネオのような大きな存在に。
「二十五センチって?」ネオが促した。
 そして、なぜかキャスはごまかせなかった。「私たちの唇の間の距離よ」
 ネオはそれがどうしたとも言わなければ、笑ったり、変人を見るような目を向けたりもしなかった。黙って顔を近づけ、スローモーションのような動きでその二十五センチを縮めた。そして、唇を重ねた。
 衝撃のあまり、キャスはその場に凍りついた。ネオ・スタモスが私にキスしている。すばらしい。いえ、それどころか、気が遠くなりそうなくらいすてき。
 これが私のファーストキス。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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