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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム・エクストラ

さまよえる女神たち II

さまよえる女神たち II


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム・エクストラさまよえる女神たち
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・ガーベラ(Katherine Garbera)
 フロリダで育ったのち、イリノイに引っ越した。テーマパークで知り合った夫との間に二人の子供がいる。高校時代水泳チームの練習中に物語を作り始めた。ジョージア州ロマンス作家協会マギー賞を受賞後、作家デビュー。ウォールデンブックスのベストセラーリストにも登場している。

 メレディス・フレッチャー(Meredith Fletcher)
 海軍軍人の父に従い、アメリカ国内だけでなく世界各地を転々として育った。そのせいか、今も一箇所にとどまらない生活を続けている。どこへ行くにもトランクいっぱいの本が必需品で、コロラド州の山小屋やメイン州の海辺のコテージにも持っていくと語る。

解説

『アポロンの吐息』―なぜ彼がここに?テレビ局のリポーター、トーリーは驚いた。軍人の独占取材のため中央アメリカの病院に潜入したところ、友人の兄ベンにでくわしたのだ。ベンといえば、アメリカ有数の億万長者で社交界一のプレイボーイだ。だが、今は黒ずくめの姿で物騒な武器を構えている。次の瞬間、彼はいきなりトーリーを抱き寄せて唇をふさいだ。

『光と影のネメシス』―孤児として育ったサムはたぐいまれな語学の能力を買われてアテナ・アカデミーで学び、のちにCIA工作員となった。ところがある日二重スパイの嫌疑をかけられ、幽閉される。彼女がロシアの諜報機関と接触している、というのだ。わたしはやってない!サムはひそかに思いを寄せる同僚のライリーに訴えた。だが彼にむげに拒絶され、思わず……。

抄録

「別に何も」ベンは答えた。
「あるいは、知っていても言うつもりはない。そうなのね?」
「パットン、これはなかったことにしよう」ベンは部屋と自分を示して言った。
「ジャーナリストとして、わたしがこの事件をほうっておけるわけがないでしょう。ベン、わたしはここから出ていかないわ。キングがここにいて無事でいることを確かめるまでは」
「知らないほうが身のためだ」
「わたしはもう取材を始めているのよ。全貌を明らかにするまでは、どんなことがあっても途中でやめるわけにはいかないわ」トーリーはベンを通り越してドアに向かった。この階を調べてトマス・キングの居場所を突き止めるつもりでいた。
「そう言うんじゃないかと思ったよ。キングは今夜、別の場所に移される」ベンは彼女の腕に手をかけて引き止めた。
 その情報をベンがくれたことに、トーリーは驚いた。「どこに?」
「もっと安全な場所だ」
「ベン、あなたはここで何をしているの?」
「今は取りこみ中だ。話はあとにできないかな、パットン?」
「いいわ」
 ベンは銃を足首のホルスターにおさめ、二人で部屋を出た。廊下に人の行き来はなかった。ベンは左右に目をやってから、トーリーを階段の吹き抜けのほうへ促した。
「いやよ、わたしは――」
「信じてくれ、パットン」ベンは遮った。「こうなったからといって、きみの独占取材がつぶれたわけではない。だが今は、警備兵たちが戻ってくる前にここを出ることが先決だ」
 トーリーはうなずいた。こうして見ると、ベンは背が高くてハンサムなだけでなく、荒削りな魅力も備えている。新聞に出ていた写真とは別人かと思えるほどだ。顔の下半分は髭で覆われ、にやけた笑みも浮かべていなければ、目にもいつものようなうわついた感じはない。それどころか、高度な訓練を受けた軍人そのものに見える。
 夜会服のときは、少しもたくましく見えないのに、奇妙なものだ、とトーリーは思った。
「あなたは何年も前に軍隊をやめたものと思っていたわ」一緒に階段を下りながら、トーリーは話しかけた。
「やめていないと誰が言った?」
「わたしはただ、わかったことの断片をつなぎ合わせようとしているだけよ。でも、そのほとんどがうまくつながらないわ」
「だったら、無理やりつなげないことだ」ベンはトーリーの腰に腕をまわし、まるでこの病院のオーナーででもあるかのように、警備兵の目の前を悠然と通って病院の外へ出た。
 玄関から遠ざかるとすぐ、トーリーは体を放そうとしたが、ベンに阻まれた。彼女の体を自分の体に引きつけたまま建物の角を曲がっていく。
 トーリーの顔はベンの胸のあたりにあり、しばらくのあいだ、彼女はそこに頭をあずけていた。二人はカップルに見せかけて、病院から立ち去ろうとしているのだから。彼は清潔でいいにおいがする。一瞬、トーリーはこのまま、彼にもたれていたくなった。そうすれば、乱れ打っている鼓動もしずまるかもしれない。
 二枚舌の政治家だろうと、コカインをやってつかまった言い訳がましいハリウッドのスーパースターだろうと、これまでトーリーは動じることがなかった。だが、アメリカ人を嫌う警察に追われて逃げるとなるとまた別で、自分がもろく感じられる。そんなふうにはなるまいと、ずいぶん前に誓ったはずなのに。
 警備兵の目の届かないところまで来ると、トーリーはすばやくベンから体を離した。やれやれ、この人はアレックスの役立たずのお兄さんじゃないの、恐れる必要などないわ。トーリーは自分に言い聞かせた。
 彼女は立ち止まって振り返り、ベンをにらみつけた。「あなたがプエルトイスラで何をしているのか言って」
「何をしていると思う?」
「かわいいうさぎさんを追ってここまで来るのは、ちょっとばかり危険かもね。だから、よくわからないのよ」
 ベンが笑みを浮かべた。それだけでトーリーは息をのんだ。
「ぼくを相当なプレイボーイだと思っているみたいだな」
「あなたが気にしているとは知らなかったわ」
「いや、別に」
 そのとき、巡回中の二人の兵士が角をまわってきた。ベンは体をこわばらせ、悪態をついた。それからトーリーを壁に押しつけ、唇を重ねた。日ごろのベンから想像されるような、巧みで洗練されたキスではなかった。それだけにかえって生々しい情熱と、原始的な欲望が体の奥深くからこみあげ、トーリーは圧倒された。
 ベンが自分の脚のあいだに包みこむようにして彼女の腰を引き入れた。それから片方の脚をトーリーの腿のあいだに滑りこませる。危険が迫っているというのに、トーリーはいつしか彼の情熱的なしぐさに応えていた。
 トーリーが今されているようなキスをしたのは久しぶりだった。
「何をしているんだ?」一方の兵士がスペイン語でベンに問いかけた。
 ベンは顔を上げ、一度トーリーと唇をこすり合わせたあと、兵士のほうに目をやった。「見てのとおり、ちょっと楽しもうとしているんだ」ベンはにんまりして答え、またトーリーの唇を奪った。
 まあ頑張れ、と兵士はベンに言い、にやにやしながら巡回に戻った。
 男の姿が消えるまで、ベンはトーリーを抱き続けた。彼女はそのあいだずっと、体じゅうを駆け巡る熱い血に気づかないふりをしようと必死だった。
 まったく、ここには仕事で来ているのよ。トーリーは自分を戒めた。何ものにも……ましてベニントン・フォーサイスには、その邪魔をされたくなかった。


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