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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ スペシャル

愛と罪の十字架

愛と罪の十字架


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

殺人の罪で逮捕された少女の身に、次々と過酷な運命が襲いかかる。カリフォルニア州のバーでウエイトレスとして働くマギーは、常連客とともにやってきた男性を見て、全身を凍りつかせた。彼女は平静を装い、いつものように嘘の身の上話をしながらも、この町に別れを告げるときが来たのかもしれないと思った。その男性、刑事のショーンとは十五年前に会ったことがある。彼女がまだ“本当のマギー”だったころ、母親の殺害現場で……。

抄録

「さて、マギー、今からきみの腕のネクタイを解くから、自由になったとたんに車のキーを盗んだりしないと約束してくれ。その代わり、ぼくがきみをここへ連れてきたのは心からきみの身を案じているからだと保証する、信じてほしい」
 自分の身を心から案じてくれる人がいると信じていたのは遠い昔のことなので、そんなふうに他人を信頼するのがどういう感じか、今のマギーには想像もつかなかった。それでも、両手を自由にしてもらえるならば、そのお礼に、必要なことはなんでも話すつもりだった。「おとなしくしているわ。逃げだしたりしないから」
 そんな口約束に意味はないと思ったに違いないが、ショーンはなにも言わずに受け入れてくれた。「はさみがないから、結び目をほどくのに少し時間がかかる」彼はマギーの後ろにまわって、ベッドに座った。「きみが少しでも動いたら、うっかりふれてしまうかもしれない。だとしても、頼むから、ぼくを殺したり股間を蹴ったりしないでくれよ」
 彼の態度が、ますますマギーに不安を抱かせた。彼女がこれまでに百万人くらい会った警察官は、どの人もユーモアのセンスのかけらもなかった。マギーは咳払いをした。「微動だにしないわ」
 その言葉どおりマギーは、彼が無言のまま三、四分かけて結び目をゆるめるまで、動かなかった。ショーンもまた約束を守り、彼女の手首以外にはどこにもふれなかった。
 いましめを解かれた瞬間、マギーは彼と距離を置きたくてベッドから跳ねおりた。ショーンはすかさず彼女に飛びかかり、スラックスのベルトをつかんで引きずり戻した。マギーにはまったく悪気がなかったので、彼の素早い反応に虚をつかれた。まさかタックルされるとは思っておらず、彼女はバランスを崩して、ふたりはベッドになだれこんだ。
「くそっ、マギー、せめてぼくの話が終わるまで、逃げだすのを待てないのか? 話を聞かなきゃ、ぼくがきみの力にならないかどうかもわからないだろう?」荒い息をつきながら、ショーンはマギーの上に覆いかぶさった。彼女を大の字にさせてマットレスに押さえつけたので、胸と胸がふれあって脚が絡まり、セックスのまねごとでもしているような格好になった。
「逃げようとなんかしてないでしょ!」マギーは身をくねらせてもがいたが、無駄だった。「早くおりてったら、このばか、まぬけ!」
 ショーンはマギーをつかまえたときよりも素早くベッドから飛びおりた。それでも、下腹部の変化は下にいた彼女に伝わってしまった。彼はマギーに背中を向けてテーブルのほうへ歩いていった。「逃げる気がなかったのなら、謝るよ」
「許すわ」なぜかマギーは、ほんの一瞬彼の高まりを感じたことについては、ふれようとしなかった。
 ショーンはよれよれになったネクタイをごみ箱へ捨てた。「手首の血流が戻るまで、二、三分はかかると思う。きみの準備ができたら話をしよう」
 彼はマギーに背を向けたままテーブルに着き、ブリーフケースからフォルダーとノートをとりだして、読みはじめた。
 マギーは物言わぬショーンの背中をにらみつけ、心のなかで怒りをかきたてた。彼が体を離した瞬間に感じた落胆の正体を分析するより、そのほうがはるかに簡単だったからだ。ショーンが振り向いてくれるのではないかと半分期待している自分に気づくと、マギーはくるりと向きを変え、手首をさすって血行を促しながら部屋のなかを行ったり来たりしはじめた。するとたちまち、あんなにきつく縛らなくてもよかったのに、なんて乱暴な人かしら、という激しい憤りがわいてきた。
「しばらく流水にあてるといいよ」ショーンが読み物から顔をあげずに言った。「お湯と水を交互に。そうすれば、ぴりぴりした痛みがやわらぐ」
「そういう態度、やめてくれない?」マギーは怒りを彼にぶつけた。「そんなことしても無駄よ」
「やめろって、なにを?」彼が穏やかにききかえす。
「わたしの体を気づかうふりをすることよ。刑事のくせに、普通の人みたいにふるまうこと!」
「刑事だって普通の人間だ。いい刑事もいれば、悪い刑事もいるし、その中間もいろいろいる」
「そうでしょうとも」マギーは言いかえした。「わたしは自分を哲学者だと思っている燃えつき症候群の刑事と一緒に、モーテルの部屋に閉じこめられているわけね。刑務所の独房のほうがまだましよ」
 ショーンが顔をあげた。そこにはなんの表情も浮かんでいない――燃えつき症候群の刑事と呼ばれたことへの、唯一の抵抗なのだろう。マギーはドンからもれ聞いた情報をだしにしてショーンをののしったことに罪悪感を感じたくなかったので、バスルームへ向かった。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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