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ギリシア富豪と愛の結晶

ギリシア富豪と愛の結晶


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

期限つきの愛人――その成れの果ては、予期せぬ妊娠。

天涯孤独のメルは、小さなサンドイッチ屋で働いている。あるとき、珍しく身なりのいい男性客が店に入ってきたが、彼の横柄な態度に腹を立て、メルは無礼な応対をしてしまう。ところが彼は意外にもメルに詫びると、パーティに誘ってくれた。安物のドレスを着て、ニコス・パラキスに連れられたメルは、ギリシア名家の御曹司である彼の莫大な富を見せつけられ、帰り際には熱いキスをされ、めくるめくひとときを味わった。期限つきの愛人の身で妊娠することになろうとは、思いもせず。

■恵まれないヒロインの“下克上ロマンス”を描けば右に出る者はない、ジュリア・ジェイムズの久しぶりの新刊をお届けします。サンドイッチ屋の店員から、世界を飛びまわるジェットセッター富豪の愛人になってしまったヒロインの運命は?

抄録

「着いたわね」メルの声はいまにも消え入りそうだった。
 魅力的なあの力強いまなざしに打ち勝って、車を降りるのよ。サリーズ・サーニーズに戻りなさい。今夜に別れを告げて、ニコス・パラキスにさようならをしなければ。
 あまりにも明白な事実に、メルは衝撃を受けた。夜は間違いなく終わった。それは確かだ。ニコス・パラキスとのつかの間のデートは終わりを告げた。
 運転手が後部ドアを開け、メルはスカートを手で押さえながら車から降りた。夜気は凍えそうなほど冷たく、パーティの陽気な気分もたちまち凍りつくようだった。アルコールのせいで、特にそう感じられるのはわかっているけれど、わかっているからといってどうなるものでもなかった。
 ニコスはメルに続いて車を降りると、運転手にうなずいてみせた。運転手が車内に戻る。
 メルは明るい笑みを顔に張りつけた。「すばらしい夜をありがとう。こんなに楽しい経験は初めてよ。フィオナがあなたのメッセージを悟って、ノルウェーの電話会社の彼に標的を変更してくれるといいけれど」
 もうじき、今夜は本当に終わってしまう。ニコスが私におやすみを言ったら、私はサンドイッチショップの鍵をバッグから取りだし、中に入る。ニコスは車に戻り、彼の豪華なアパートメントに帰る。そして、タキシードや五つ星ホテルやシャンパンに彩られた華やかな生活を再び続けるのだろう。
 私はサンドイッチをつくる生活に戻り、間もなく格安航空券を手に入れて、スペインの海辺を目指す。
 メルはいつもの胸が震えるような期待感が湧き起こるのを待った。これからの人生を思うとき、常に感じるものを――けれど、そんな期待感は訪れなかった。それどころか、思いもかけない寒々とした気分に襲われ、沈みこんだ。数時間前には将来への希望に胸をふくらませていたのに、どうして? もう熱い希望を失ってしまったの?
 だって、数時間前にはニコス・パラキスとデートをした経験なんてなかったもの!
 自分がため息をついたのかどうかも、メルにはよくわからなかった。ただ、握手を求めるように手を伸ばしたことだけはわかった。この夜を握手で終え、私は自分の生活に戻る。
「ありがとう。それじゃ、おやすみなさい」
 彼を見つめるのはいますぐやめなさい!
 だが、彼女はやめられなかった。
 メルは差しだした手を彼が取るのを感じた。そっけない、短い握手を返すのよ。それがいちばん。ニコス・パラキスは恋人にはふさわしくない。今夜は筋書きどおりにお芝居を演じただけ――それだけのこと。私は依頼された役目を果たしたにすぎない。楽しい時間を過ごしたのだから、いまは手を引く潮時。
 なのになぜ、さっさと背を向ける気になれないの?
 血管を流れる血が騒いでいる。メルはニコスの男らしさや、すばらしく端整な容貌を痛いほど意識していた。午前二時、こうしてロンドンのさびしい歩道に立っていると、夜風がガラス片のように彼女の肺を刺す。メルは彼の彫りの深い顔や、濃い砂色の髪、アロマの香りがする肌を強く意識していた。彼の顎にはうっすらとひげが伸びかけている。
 ああ、いったいなぜ、ここに突っ立ったまま身じろぎもできずにいるの?
 メルの手は温かな力強い手に包みこまれていた。ニコスはもう一方の手を彼女の腰にまわし、いともたやすく少しだけ彼のほうに引き寄せた。長いまつげに覆われた瞳にじっと見下ろされると、メルはまたしても、なすすべもなく彼を見つめるほかなかった。
「おやすみ。そして、僕と一緒にパーティに出てくれてありがとう」
 彼のかすれた声は、なんの面白みもないその言葉にはそぐわない気がした。
 メルの手はまだニコスの手に包まれている。そしていま、彼女はさっきよりもずっと彼に近づいていた。近すぎて胸の先端が硬くとがるほどに。引き締まった筋肉質の体に自分の柔らかにしなる体をあずけて肌を触れ合わせたい。彼女はそう思った。顔を上げて彼と唇を重ねたかった。彼の首にしがみつき、顔を引き寄せたかった……。
 その性急で強烈な衝動に、メルは体を震わせた。彼女は自分の頭がそんな衝動から逃れる口実を探しているのを感じた。彼に手を伸ばし、キスをしたくなる気持ちから逃れる道を探そうとするけれど、頭の中ではスローモーション画像がまわっているようで、すべてが意のままにならずに、もどかしい……。
 最後に男性とキスをしたのはずいぶん前だ。性的な衝動を解き放ったのは、それよりもっと前になる。ジャックがアフリカに旅立ったのは何年も前だった。それ以来、デートをしたのは数回で、その後は祖父の介護にかかりきりになってしまった。
 そしていま、私はここで最高に魅力的な男性を見あげている。彼の腕に抱かれ、唇を重ねたい。メルの胸にはその思いしかなかった。
 彼女の気持ちを読んだかのように、ニコスが腰をかがめ、優しく唇を合わせた。上質のシルクを思わせる、柔らかで官能的な唇だ。
 メルはもう完全にとろけるようだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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