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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

シンデレラになった家政婦

シンデレラになった家政婦


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリオン・レノックス(Marion Lennox)
 オーストラリアの農場で育ち、ロマンスを夢見る少女だった。医師との結婚後、病院を舞台にしたロマンス小説を書くことからスタート。現在はハーレクインの常連作家として、作品の舞台も多様になり、テンポのよい作風で多くの読者を得ている。トリシャ・デイヴィッド名義でも作品を発表していた。

解説

伯爵の怒りと蔑みにさらされながら、家政婦はシンデレラになった……。

伯爵家の家政婦ジーニーの人生は苦労の連続だった。亡き夫が遺した借金の返済のため、義理の両親が営む店の掃除や弁護士事務所のパートタイム、伯爵未亡人の臨時秘書を務め、希望もなく働きどおしの毎日を送ってきた。その後、伯爵未亡人の城の家政婦として雇われ平穏な暮らしを得たが、雇い主が亡くなった今、思いもよらない遺言が明らかになった。現伯爵アラスデアと結婚しなければ、城が他人の手に渡るというのだ。さらに代々一族が支配してきた金融帝国も城と同じ運命にあると知り、怒りに打ち震えた伯爵は彼女に向かって蔑みもあらわに言い放った。「きみは家政婦以外の何者でもない。ぼくには近寄らないでくれ!」

■脅迫じみた祖母の遺言によって結婚を迫られた独身主義者のアラスデア。以前から疎ましく思っていた家政婦のジーニーを一度は拒絶しますが、のちに一転、一族の財産を守るために1年間名ばかりの夫婦になることを提案します。傲慢な伯爵の心の変化にご注目! 

抄録

「わたしだって飛びたいのよ」小さくつぶやいた。「空を飛べたらいいのに。でも夢見ているだけ」
「ぼくも同じことを考えているよ」
 ジーニーは飛びあがらんばかりに驚き、さっと後ろを振りむいた。ドア口にアラスデアが立っていた。
 いつから見られていたの? どのへんから聞かれていた? 彼女にはわからなかった。どうでもいいことだと自分に言いきかせた。必死に平静さを装い、ごみ箱にスコーン生地を放りこむと、ボウルに小麦粉を入れた。マクブライド家の男たちって……。
 でもこの人はアランではない。ちっとも似ていない。従兄弟同士だというのに、アランが社交家で楽しいことが好きだったのとは対照的に、アラスデアは石みたいに固い心の持ち主だ。いつも他人を批判してばかりいる。“とげとげしい”とか“批判がましい”という表現がぴったりだ。それなのに、ドア口に立った彼を見つめながら、書斎で感じたのと同じ奇妙な胸のざわめきを感じている。
 惹かれている? ありえない。
 相手はここの城主さまなのよ。わたしは平民の娘。平民が貴族に会ったら――逃げるのよ! 
 でも今のわたしは城の料理人だ。この場にとどまらざるをえないし、話を聞かないわけにはいかない。
「ジーニー、祖母はぼくらにひどい仕打ちをした」彼の声には和解を匂わせる響きがあった。「きみが何を期待していたのかはわからないが、こんなことではなかったはずだ」
 ジーニーはあっけに取られた。さっき彼が書斎で見せた怒りはすっかり消え、理性を働かせつつ言葉を選んでいるのが伝わってくる。どう話を進めようか迷っているみたいだ。
 それはジーニーとて同じだった。
「ひどい仕打ちなんて受けていません」軽い口調で言ったが、その言葉にいつわりはなかった。「あなたのお祖母さまには、本当に、本当によくしていただきましたから」そう言いながらバターを切り、すでにボウルに入れた小麦粉と混ぜる。「お城の暮らしも仕事も大好きだけど、いつまでも勤められるわけではありません。わたしにはここにいる資格なんて、少しもないんですから」
「アランと結婚していたんだろう。きみだって……家族の一員だ」
 無理して言っているみたいだわ。自分をよく見せようとしているのかしら? 
「結婚生活はほんの少しのあいだだけでしたし、悲惨なものでした」彼女はそっけなく言った。「もうあなたの家族じゃありません――お祖母さまに雇われていた元家政婦です。城が売却されるまでは喜んで働きますけど、そのあとは……気持ちよく出ていきますね」嘘つき、嘘つき。ジーニーは心の中でつぶやいた。この城を出るなんて、胸が張り裂けてしまうかもしれない。城が競売にかけられて人手に渡ってしまうなんて、身を切られるようだ。でも、この人に心の内を明かすのだけは絶対にだめ。
 今の彼は、ジーニーにとってほとんど恐怖の対象でしかなかった。ドアの側柱にもたれてこちらを見ている姿はさながら戦士のようだ。偉大なダンケーン一族の荒々しく非情な戦士。勇名をはせた代々の城主に勝るとも劣らない勇者。
「だがぼくらが結婚すれば、きみはこの城を自分のものにできる」
 ジーニーの手が止まった。身動き一つせず、彼女は立ちつくしていた。
「ひょっとすると、それが理にかなっているのかもしれない。せめてもの賢い選択肢だとは思わないか?」アラスデアは上着を脱いで袖をまくり、腕組みをした。堂々としてたくましい腕。単なる金融街のビジネスマンを装ったところで隠しきれるはずがない。キルト姿の彼に、戦士のイメージが重なる。「そうすれば、お互い望むものを手に入れられる」彼が用心深く言った。「一人では、せっかく今まで頑張ってきたすべてを失うことになる。遺言は悪夢のようだが、必ずしも大きな災難とは限らない。そこは、うまく協力しないとね」
「結婚……することで?」
「きみが城を手に入れる唯一の方法だ」
「城なんてほしくありません」
 アラスデアが口をつぐんだ。どう話を進めたらいいかわからないと言いたげに、その表情が硬くなる。
「お祖母さまがどんな遺言を残していようと、城はわたしに遺されるべきではないんです」ジーニーは声が震えないよう精いっぱい努力した。「城はわたしにとっての仕事場だけど、それだけのことです。あなたはダンケーン伯爵で、ここは先祖代々の館でしょう。お祖母さまは善意でこんな提案をされたのでしょうけど、あまりにも常軌を逸しているので、検討するまでもないと思います」
「話し合う必要はある」
「いいえ。こんな状況に追いこまれてしまったのはお気の毒ですけど、これを仕切り直すのはあなたの役目でしょう。こんなめちゃくちゃな話をまじめに考えてくださったことには感謝しています。作りかけのスコーンがあるので仕事に戻りますね。弁護士に出ていくよう言われるまではいるつもりです。そのあとは二度とお目にかかることもないでしょう」
 アラスデアにとっては予想外の展開だった。話し合いすらできないまま、にべもなく断られるなんて。

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