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大富豪の婚前契約書

大富豪の婚前契約書


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

君の時間は僕のもの――それは、甘くてあぶない契約。愛を知らない大富豪との、ちょっと切ないセクシーロマンス。

世界有数の資産を持つ実業家にして誰もが認めるプレイボーイ、アダム・ラクロワ――新しいクライアントとして事務所に現れた彼を前に、弁護士のマディは顔をしかめた。アダムはかつてある事件で関わった因縁の相手だ。そんな人の依頼を受けるなんて、とんでもない話。そもそもどうしてわたしを指名するの? だが妹を親代わりに育てているマディにとって、大口の仕事は必要だ。悩んだすえ、彼女はアダムの依頼を引き受けることにする。ただ、余裕たっぷりなアダムのほほ笑みに、なぜか胸のざわめきを抑えることができずにいた。

■前作『あなたが私を見つけるまで』で華麗に日本デビューを飾ったカーラ・コネリー。彼女の2作目を早くもお届けいたします! ヒロインは妹の学費を稼ぐため、検事補から弁護士になったマディ。経済的に苦しく嘆いているところにさっそうと登場するのが、超セレブで世界的なプレイボーイのアダムです。二人はかつて、ある事件で知り合い犬猿の仲でしたが、今回はアダムの依頼によって、マディが彼の代理人になることに。アダムの本宅のあるイタリア・ポルトフィーノに連れていかれ……。欧米のセレブたちはこのような遊びをしているのか! と、夢心地になるようなシーンの連続。日常を忘れさせてくれるような、切ないながらも甘くハッピーな物語に酔いしれてください。

抄録

 マディは頬の涙を拭った。度を超して爆笑するラクロワなんて、おかしいなんてものじゃなかった。
 タブロイド紙の記者がこの場にいないのが残念。いれば彼の評判を覆してやれたのに。無敵のアダム・ラクロワも、笑い転げる姿には威厳も何もあったものじゃなかった。
 危険な雰囲気などまるでなかった。ごく普通で……感じのいい人に見えたぐらい。
 まあ、その形容が実際の彼に当てはまる確信はないけれど、でも超がつくほどホットなことだけは認めるしかない。だってそう、彼がその口でカルボナーラを頬ばったときには、下着がじっとりと濡れたのだから。
 彼がパスタを喉に詰めてくれて助かった。それがなければ、ばかなことをしでかしていたかもしれない。たとえば体に感じた欲望を顔に出してしまうとか。
 どうあれ、その時間は終わり。彼も今ではすっかり自分を取り戻して、百八十五センチ超の長身からこっちを蟻の気分にさせている。
 マディは何かしら嫌味を言ってやろうとレパートリーを探った。けれど大笑いしたせいで幸福ホルモンが大量に放出したらしい。皮肉をいう気分にはなれなかった。それどころか、優しい気持ちにすらなっていた。
 気弱になったことに気づかれたのだろう。彼はそこにつけ入り、いつものマディなら決して許すはずのない行為をしてきた。手を取り、海よりも青い瞳で見つめ、低いエロティックな声で“ありがとう、マデリン”とつぶやいたかと思うと。
 キスをしたのだ。
 指の節に。それでも……わお。
 心の遠い片隅で、理性が甲高い声をあげた。これが彼の手口よ。この手口でスーパーモデルたちをヨットに連れ込むんだから。
 でも感性は自分もその尻軽女たちと変わらなかったようだ。火災警報を鳴らしもせず、まるでヘッドライトに照らされた鹿みたいに身動きもできず、ただ手を預けていたのだから。アダムの親指が指の節をさすって刻み込む。まるで灼熱のタトゥのように。
 またリムジンのときの繰り返し。いいえ、今度はそれ以上だわ。だって唇が関わったんだから。この温かくて魅惑的な唇。黒々と輝く髪がはらりとかかった、悪魔のごとく危険すぎる顔。そしてまるでオーガズムを与えるみたいな親指の動き。
 アダムは手を下げ、ぎゅっと握ってから放した。マディは自分の指の節を見つめた。以前と何も変わっていない。
 ふう。
 アダムがテーブルを離れた。突然明かりが消えた気がした。もしくは太陽が沈んだか。
 その感覚から覚める前にアダムが戻ってきて、今度はマディをソファへと導いた。マディは心的外傷を受けた被害者のごとくなすがままだった。
 アダムはマディをソファに座らせ、手にグラスを握らせた。「僕のは割れたからね。一緒に使うしかない」
 嘘。同じグラスを使う? それはやっぱり拒否しなくちゃだめよね。
 けれどそれを言葉にする前に、アダムが今度はボトルとパスタの大皿を持って戻ってきた。隣に腰を下ろし、フォークに巻きつけてそれをマディの口へと運ぶ。
 マディは無意識に口を結んでいた。
 するとアダムがほほ笑んだ。悔しいことに。しかもさっきその感触を手に抱いたせいで、その怪しい唇から目が離せなかった。マディは唇の動きを見つめた。
「マディ、これはただのパスタだ。どんな危険がある?」
 よい質問だわ。それに見合う答えもどこかにあるはず。
 アダムがまだ温かなカルボナーラでそっと下唇を刺激した。マディは自分を止めることができなかった。思わず口を開いて、受け入れていた。
 パスタは打ち立てでみずみずしく、それに軽やかながらたっぷりと絡むソース、パンチェッタの薄切り肉。この組み合わせは奇跡だわ。カルボナーラはこうあるべきって要素がすべて揃っている。いいえ、それ以上。
 まるでセックスみたい。
 マディは舌鼓を打って目を閉じた。鼻から長い至福の吐息をもらす。
 そして自らフォークをつかみ、もう一口絡め取った。その手をアダムがつかんで、自分のほうへと引き寄せる。
「よして! 自分のフォークを使って」
「君がそう出るなら」アダムは大皿を持って立ち上がりかけた。
「嫌! それは持っていかないで」
 アダムが片方の眉を吊り上げた。マディは目を細め、プロセッコを一口飲んだ。「いいわ、じゃあ一緒で」
 アダムがマディの手からグラスを取って飲み干し、そこにまた注ぐあいだに、マディは急いで二口頬ばった。
「それは僕のだ」アダムが三口目を見つめた。マディはフォークを手に持ったまま、それをアダムの口に運んでやった。「パンもまだ温かいんじゃないかな」
 マディは矢も盾もたまらず大急ぎでテーブルに行き、塊ごと手にして戻った。「ナイフを忘れたわ」
「問題ない」アダムが手で割って、マディに手渡す。
 マディはかぶりついて、喉の奥から吐息をついた。ぱりぱりとした外皮がTシャツに砕け散る。マディは濡らした指先でそれを拾い集め、プロセッコで流し込んだ。
 アダムにはすでに恥ずかしいものを見られている、あれもこれも全部。今更気にすることもない。
「パスタ」アダムのつぶやきを受けて、マディは一口分をフォークに巻きつけた。アダムはそれを唇で受け取りながら、ふと目を上げ、マディの視線をとらえて青い海へと沈めた。
 マディは目眩を感じながら、咀嚼する彼の目を見つめた。時の流れが遅くなった。フォークは宙に浮いたままだ。マディは酔っていた。でもワインに、ではない。
 アダムがマディの反対側の手からグラスを取った。指が触れ合い、目が吸い寄せられる。彼の手をことさら意識したのは初めてだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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