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「超」怖い話 A(アー)

「超」怖い話 A(アー)


発行: 竹書房
レーベル: 竹書房文庫 シリーズ: 「超」怖い話
価格:700pt
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 平山 夢明(ひらやま ゆめあき)
 1961〜
 神奈川県生まれ。映画、ビデオの批評・製作からCFの企画、インタビュー、ルポ、自動販売機の営業、コンビにの店長と、様々な職歴を重ね、現在は生理的に嫌な話を書かせたら日本で三指に入る小説家にして、日本で一番陽気な怪談コレクター。近著に『「超」怖い話A』等がある。血液型はB型。蠍座。

解説

 事実は小説より奇なり……とはよくいうが、げに現実より恐ろしいものはないのかもしれぬ。予想をあっさりと裏切られる心もとなさと衝撃。ここに集まった36篇にはそうした凄みと愉悦にも似た何かがある。まさに恐怖とは麻薬。91年に産声をあげ、20世紀の終焉とともに眠りについた伝説の実話怪談シリーズ“「超」怖い話”。オール新作にてここに復活。

目次

まえがき


腐り縁
電話
着信
グランドスラム
変なこと
占有
黒い筋
ワンルーム
停電
離れ
八木山橋
ネックレス
きれいな唄
猫憑き
わからないもの
バルコニー
慰謝
小鳥
友達
背中
タラコ
たいした話じゃないんです
ボート
驚いたこと

あの日のこと
眉剃り妊婦
ふたり乗り

楽屋
お守り
なんでも屋
ボッタクリ
厭な店
キャンプ
板女


あとがき

抄録

腐り縁


 ……ほとほと困り果てていた。
「私、本当に男運がなかったんです」
 綾川さんは、とても綺麗な女性だった。彼女には大学生の頃に付き合った彼氏がいたが、その彼と別れてから四年、およそロクな出会いがなかった。
「女癖が悪いとか、パチンコやら競馬やらで借金癖があるっていうなら……まだ普通だと思うんですけれど……」
 彼女が付き合う男性は何故か、
「みんな犯罪者だったり、犯罪者っぽい人になっちゃうんです」
 大抵、素知らぬ顔で生活を続けているのだという。
「もー、超ショックで……」
 その日、彼女は渋谷で彼と待ち合わせた後、デパートでショッピングを楽しみ、ふたりで映画館に入った。
「その人は二十代後半だったんですけれど、ネットオークションの管理運営をする会社を経営していたんです」
 いわば社長さんだったのだ。外国生活も経験しているというその彼は実に頼もしく、彼女に将来の夢を語り、またその夢の中には彼女との生活を仄めかすような言葉も含まれていた。彼女は結婚を予感していたという。
 映画を見ていると、背広姿の中年ふたり組がやってきて彼女と彼の両脇に座った。
「なんか途中から入ってきたし、変な感じがしたんですけれど」
 それでも、映画は続き、クライマックスを迎えた。
「そしたら、彼が突然、〈ちょっとゴメンね〉って席を立ったんです」
 彼が立ち上がるのに合わせ、ふたりの男も立ち上がり、三人は出ていった。
 反対側の男が何か小声で告げていたような気がした。
 やがて映画は終わり、彼女ひとりが座席に残された。
 メールが届いた。
〈ゴメン! 逮捕されちゃったm(_ _)m 〉
 とあった。
 彼女が出てくるのを待っていた婦警が説明した。
 彼はフリーターで、窃盗の常習犯。妻とふたりの子供がいた。

 またデートの最中に人を跳ね、そのまま逃げようとした銀行員もいた。
〈喋ったら! おまえを殺して俺も死ぬ〉と真顔で言われ、怖かった。
 事故を目撃したタクシーが無線連絡してくれたので、男は五分で緊急逮捕された。
 ストーカーと化した男もいた。毎日毎日、ドアに付いたポストから手を入れようとしてきた。ドアの隙間に剥がれた爪が挟まっていた。
 麻薬の売人、企業舎弟、詐欺師、強姦魔、横領犯と、偶然と呼ぶには無理があった。
「こういうのって友達にも親にも相談できないんですよ。あんたの男を見る目がないとか、だらしないとかスキがあるからだって叱られるばっかり……」
 話を聞くと、特別妙な出会いをしているわけでもない。学校の仲間や知り合いの紹介が主だし、ナンパで付いていったり出会い系サイトに手を出したことは一度もなかった。
 人間不信、恋愛恐怖症になりかけていた。そんなとき、出入りの配送業者の女性ドライバーと仲良くなった。四十がらみのその女性は、気さくなガンバリ母さんといった感じで、話していると気が晴れた。
「なんか……ツイてなくって」彼女は休憩室に顔を出したとき、ポツリと呟いた。
「それ。アヤちゃんのせいじゃないね」母さんはキッパリと言った。顔が本気だった。
 その日、母さんは彼女を居酒屋に誘った。仕事が終わるとふたりは合流し、母さんは彼女の悩みを真剣に聞いてくれた。
「とりあえず、部屋に行こうか」
 母さんは彼女のマンションが見たいと言った。
 ドアを開けるなり「あ〜ぁ」と母さんは溜息に近い声を上げた。
 リビングの真ん中に立つと今まで無言だった母さんが口を開いた。
「アヤちゃん、背の高い色黒の子、知ってる? 右耳に三つピアスしてる。もみあげと細い顎髭が繋がってるんだけど……」
 ピンときた。学生時代に付き合っていた彼だった。しかし、彼とは別れてから一度も会ったことはない。もしかしたら死んだのだろうか?
 綾川さんは背筋が寒くなった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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