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伯爵家のシンデレラ【ハーレクイン文庫版】

伯爵家のシンデレラ【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

ケリーは、ハンサムなイタリア貴族ジャンニ・マルディーニに見初められ、誰もが羨む伯爵夫人の座についた。だが、上流社会に馴染めず、同居している義母や義姉からも陰湿ないじめを受け、心は徐々に蝕まれていくのだった。夫は、毎晩、ベッドの上では情熱的に愛してくれるが、義母や義姉と上手くいかないと訴えても聞きいれてはくれない。出産後、ますます孤独感が募るケリーは、ある日、未亡人の義姉とジャンニの抱き合う姿を見てしまう。打ちのめされて、彼女は赤ん坊をつれてジャンニの元を去った。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 タイヤ・レバーを振りかざし、ケリーはようやく泥棒の顔を目の当たりにした。豊かな黒い巻毛が広い額にかかり、完璧な弧を描く黒い眉が同色の目を縁取っている。かつてはまっすぐだったらしい鼻がかすかにゆがんでいるため、古典的な美男子顔ではないが、ハンサムなのは確かだ。男がゆっくりとセクシーな笑みを浮かべ、まぶしいほどに白い歯をのぞかせると、彼女は心の中で“とびきりのハンサムだわ”と訂正した。
 ケリーは思わずため息をもらしそうになった。人生で出会ったいちばんハンサムな男が泥棒だなんて、いったいなんの因果かしら? 自由を奪われていても、彼は第一級の男としての自信をオーラのように放っている。それでも泥棒は泥棒よ、と彼女は自分を戒めた。この雰囲気から察するに、泥棒としても相当な成功を収めているに違いない。
「いいこと、あなたがここへ盗みに入ろうとしているのはお見通しよ」
「なんだと?」ジャンフランコは叫んだ。不意をつかれて蹴り飛ばされただけでも屈辱を感じているのに、このうえ泥棒呼ばわりされてはぼくのプライドが許さない。このお返しは必ずさせてもらうぞ。彼は胸の内で誓った。
「とぼけないで……。わたしには通用しないわよ」ケリーは詰まりながらもきっぱりと言った。「でもチャンスを与えてもいいわ。未遂だし、二度としないと約束するなら許してあげる」
 ジャンフランコは驚いて首を横に振った。この娘、本気でぼくを泥棒と思っているなら、救いようのない単細胞だ。泥棒が、はいそうですか、とすんなり立ち去ると思っているのだろうか。
「ノーなの?」ケリーは詰め寄った。「だったら、このタイヤ・レバーで殴ってから警察を呼ぶわよ」
「ノーじゃなくてイエスだ」ジャンフランコは慌てて言った。彼女が手にタイヤ・レバーを持っているのに気づいたとたん、おもしろがっている場合ではないと悟ったのだ。この娘は頭がおかしいのかもしれない。目の前の景観に見とれている間に時間をかなり無駄にしてしまった。
 男を押さえこんで得意になっていたケリーは、あっという間に立場を逆転され、仰向けにひっくり返った。頭を打ち、目から火花が飛び散る。気づいたときには身動きがとれなくなっていた。両手は男の大きな手で頭上に固定され、体は男の上半身で、両脚は男の脚で押さえつけられていた。
「どいて! この野蛮人!」ケリーは叫んだ。もがこうにも体がほとんど動かない。男のほうが断然体が大きく、力も強かった。男は手首を握る手にいっそう力をこめると、空いたほうの手で彼女の顎を押さえ、目に怒りをみなぎらせて彼女を見つめた。
「なぜ、こんなことをしたと思う?」ジャンフランコはあざけるように尋ねた。「きみが想像したとおり、ぼくが本物の泥棒だとしたら、このままきみを自由にすると思うか?」
 ケリーは頭が混乱し、何も考えられなかった。男から取りあげたタイヤ・レバーはどこかへ行ってしまった。胸にのしかかる男の胸は鋼鉄のようだ。彼女は最後の抵抗を試みた。男を押しのけようと膝を上げ、助けを求めて口を開いた。
 だが、声を出そうとしたとたん、男の唇で口をふさがれた。喉まで出かかった叫びが喉に詰まる。強引なキスだった。もしもこのキスの目的がわたしを怖がらせることにあるとしたら、目的は完全に達成されたわ。彼女はぼうっとする頭で考えた。
 そのときキスが微妙に変わった。男の唇が彼女の唇を愛撫するように動き、ケリーは体の奥から欲望がわきあがるのを感じた。自然に唇が開く。
 顎をつかんでいた男の手が離れ、ケリーの胸を包むと同時に、時間が止まった。体の中を熱いものが駆け巡る。男の手の感触とキスの熱さとムスクの香りに、彼女はうっとりした。性的な興奮に身も心も翻弄されたのは生まれて初めてだった。
 キスが唐突に終わると、ケリーはなぜやめたのだろうととまどいつつ男を見あげた。男は胸を包んでいた手を離し、怒ったように彼女を見下ろしていた。そのとき、ケリーは男の下半身の高まりを腹部に感じ取り、はっとした。男のキスに応えたことで自分が何を引きおこしたかに気づいたのだ。
 ジャンフランコはかろうじて働いている頭で考えた。ぼくは何をしているのだろう。昼日中、友人の家の庭で頭のおかしいイギリス女と男女の行為にふけろうとしていたのか。より本能に忠実な体の一部が彼女の柔らかな体にすぐさま反応したことも、彼の怒りをあおっていた。今まで女性のことで我を忘れたことなどなかったのに。
「お願い、放して」ケリーは哀願した。いつの間にか彼女の腿の間には男の脚が入りこんでいた。男の体熱と重さは興奮をかきたてるどころか、恐怖を感じさせた。この男は泥棒よ。こんなふうに体を反応させるからにはレイプ犯かもしれない。「さあ、やめて」彼女は叫んだ。「レイプなんかしたら何年も刑務所暮らしよ」
「なんということを!」ジャンフランコは信じられないという表情を浮かべて彼女の顔を見下ろした。さんざん女性を泣かせてきたころはあらゆる罵詈雑言を浴びせかけられたものだ。だがレイプ犯と言われたことは一度もない。「きみは本当に頭がおかしいのか?」彼はかすれた声できいた。
「いいえ」キスでとろけそうになったのは幻覚だったのよ。ケリーは自分に言い聞かせた。今するべきことはただひとつ。これ以上刺激しないよう男に調子を合わせ、機を見て逃げだすことだ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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