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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・36アワーズ

甘すぎた罠

甘すぎた罠


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・36アワーズ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アリシア・スコット(Alicia Scott)
 マネジメントコンサルタントをへて、フルタイムの作家となった。リサ・ガードナー名義でサスペンスも執筆。アメリカのニューハンプシャー州に夫と娘と暮らす。

解説

 敬愛していた上司オリビアの死後、悲しみをこらえて、ジョージーは災害被害の後始末に全力を傾けていた。ところが彼女がオリビアの死にかかわっているのではないかと、刑事ジャック・ストライカーは日夜彼女につきまとい、尋問を繰り返している。以前から彼に惹かれていたジョージーはやるせない怒りにとらわれつつも、仕方なく質問に答えていた。ある日イベントで出会った二人は、そのまま夜をともにしてしまう。これでジャックも信じてくれただろうと思ったのもつかのま、彼は厳しい顔でジョージーのもとを訪れた。
 ★突然急展開を見せる2006年9月のサーティシックス アワーズ。ジョージーの切なさが胸を打つ作品です。★

抄録

「こんなところでなにをしているの?」ドアを開けてジョージーが言った。
 彼女はまだ髪をアップにしていたが、真っ赤なシルクのガウンをはおっていた。顔を洗ったばかりらしく、濡《ぬ》れた髪がこめかみに張りついている。
 ジャックは彼女の上品な眉の曲線やブルーの瞳を見つめた。ジョージーの首や頬がほんのり赤く染まるのがわかった。
「ジャック?」
 彼はジョージーの唇に視線をあてた。
「やめておいたほうがいいわ」
「同感だ」ジャックは家のなかに入った。
 リビングルームには明かりはともっていなかったが、廊下にもれでている光で、ベッドルームの場所がうかがえた。ジャックはその光に背を向け、玄関ホールを歩き回りながら理性が戻ってくるのを待った。いったいぼくはなにをしているんだ? 彼の両手は震えていた。
 ジョージーは閉じられた玄関のドアの前に立ち、彼の様子をうかがった。「わたしのことをまだ容疑者だと思っているんでしょう?」
「ああ」彼女のほうへ、ジャックは足を踏みだした。
「わたしは信頼できる人間なのかどうか、まだ確信が持てないんでしょう?」
「ああ」もう一歩、ジャックは足を踏みだした。
「わたしに対して好意をいだいているのかどうかすらわからないんでしょう?」
「ああ、そうだ」ジャックはドアと自分の体のあいだに彼女を閉じこめた。「だけどきみが欲しいんだ、ジョージー」
 彼女は息をのんだ。そして口を開けようとしたが、言葉は出てこなかった。ジョージーの視線はジャックの顔に釘《くぎ》づけだった。やがてその視線はゆっくり唇へと下りていった。
「キスするべきではないのはわかっているんだ」ジャックはささやいた。「それでも、キスせずにはいられない」
 彼はジョージーの頭の両側のドアに手をつき、彼女の瞳をのぞきこんだ。彼女の後頭部へ手を伸ばしたジャックは、髪留めをはずした。絹糸を思わせる髪が滝のように静かに背中へと流れた。その髪はほの暗いなかで黄金色に輝いた。
「りんごと苺《いちご》の香りがする」ジャックはつぶやき、彼女の髪をひと房つかんでから放した。
「シャンプーの香りよ」ジョージーは小声で答え、懇願するように彼を見た。「あなたは本当はこんなことをしたくないはずよ、ジャック。軍人みたいなヘアスタイルに折り目のついたスラックスからも、あなたがどういう男性かわかるもの。わたしは朝起きてもベッドメイキングすらしないというのに」
「そうだと思ったよ」ジャックは彼女の頬を指先で撫《な》でおろし、親指と人差し指で水滴をこすった。肌に残る水滴の感触に魅了されていた。
「家のなかを見てちょうだい。わたしはもう何カ月も掃除をしていないのよ。観葉植物は枯れているし、シンクには汚れた食器がたまっているわ。どこもかしこもほこりだらけだし、洗濯だってクリーニング店にまかせっきりよ」
「ぼくは毎朝シャツにアイロンをかけるんだ」ジャックは告白して、彼女のガウンのあわせに手を置いた。「スプレー糊《のり》を吹きつけて」
「スプレー糊? それがなにを意味するのかすら、わたしにはわからないわ」
「このガウンの下になにを着ているんだい、ジョージー? スーツの下からレースがちらちらのぞいているのを見たときから、頭がおかしくなりそうだったんだ。どうして会計士があんな下着を身につけているんだ?」
「愚かだからよ! ああ、ジャック。とり返しのつかないことになる前に帰って」
 ジャックは帰れなかった。帰るべきだったが、できなかった。ジョージーに触れたくてたまらなかった。慎重にコントロールしてきた彼の人生は、胸のふくらみに手を押しあてて彼女が息をのんだ瞬間、崩れ去った。
 ジャックは彼女の唇に唇を押しつけた。ジョージーの唇は想像どおりの味がした。甘いのではなく、熱かった。ジョージー・レイノルズは壊れやすさとは無縁だった。
「ぼくを欲しいと言ってくれ」
「いいえ、あなたなんか欲しくないわ。刑事を求めたりしない!」
 ジャックは彼女の下唇を吸った。ジョージーはのけぞって彼の両肩をつかんだ。ジャックは飢えたようにキスをした。ジョージーはうめきながら彼の首に腕をからめ、体を押しあてた。
 唐突にキスをやめたジャックは、荒い息をつきながら言った。「きみはぼくを求めている」
「ほんの少しだけ求めているかもしれないわ」ジョージーはかすれた声で認めると、彼の頭を引きおろした。
 むさぼるようなキスが交わされた。ジャックはいつの間にか彼女を玄関のドアに押しあてていた。ジョージーは彼のシャツを引きちぎるように脱がせようとした。
 ジャックは彼女のガウンの結び目をほどき、ピーチ色のなめらかなサテンを発見した。「ああ……」
「ピーチ色は好き?」
「きみが迷彩服を着ていたとしても、ぼくは気にしないよ」ジャックは両手で彼女の上半身を撫でおろし、わき腹やウエストのくびれ、豊かに張った腰の曲線を指先で味わった。
「わたし、長いことしていなかったの」ジョージーは小声で言った。
「ぼくもだよ」ジャックは彼女を抱きあげ、明かりのともるベッドルームに向かった。なにも考えたくなかった。きまじめに生きてきた彼も、いまだけは本能の命じるままに行動したかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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