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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・アシュトンズ

最後の逢瀬

最後の逢瀬


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・アシュトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 バーバラ・マコーリィ(Barbara McCauley)
 これまでにシルエット・シリーズから二十冊以上の作品を出し、そのすべてがウォールデン・ロマンス・ベストセラーリストに載っている。2005年十月に日本でも刊行された「シンデレラの逃避行」でRITA賞を受賞。ロマンスの魔法を信じさせてくれ、それを小説に書かせてくれるハンサムな夫と南カリフォルニアに住む。根っからの本好きで、現在でも暇さえあれば読書をしてロマンス小説への愛を養っている。

解説

 レベッカは五年前、トレース・アシュトンとつきあっていたが、彼の父スペンサーに手切れ金をつきつけられ脅されて別れ、写真家としてのキャリアを積むことに専念してきた。今別のワイナリーの仕事でナパ・バレーへ戻ると、トレースがふたたび近づいてきた。彼は私を憎んでいるはずなのにどうして? トレースはレベッカに再会してからというもの、仕事が手につかずにいた。これは単なる欲望に違いない。もう一度思いを遂げれば忘れられるだろう。彼はレベッカの誘惑を決意した。
 ★RITA賞作家バーバラ・マコーリィが描く感動の作品です。スペンサーによって傷ついた人々に立ち直る日は訪れるのでしょうか?★

抄録

「あんなところでいったい何をしていたんだい?」トレースが静かに尋ねる。
「あなたを待っていたの」
 トレースの手がとまった。“あなたを待っていたの”という言葉の残響が二人の間に漂う。
「レストランであなたを見かけたの」レベッカはぎこちなく言った。お互いにわかりきっていることをわざわざ口にするのはばかげているとわかっていても、それしか思いつかない。
「ぼくもきみを見たよ。いや、ぼくだけじゃない。レストランにいた男性はみんなきみを見ていたんじゃないかな」トレースはタオルを置き、人さし指でそっと彼女の頬をなぞった。「でも、まだぼくの質問に答えていないね」
 頬をなぞる指の感触がさざ波のように全身に広がり、レベッカは思わず身を震わせた。嘘《うそ》をつくのよ、と頭の中で理性が叫んでいる。なんでもいい、何か適当な言い訳でごまかせば、少なくとも最後に残ったプライドのかけらだけは失わずに、ここから出ていけるだろう。
 でも、もう嘘でごまかすのはいや! もう一人の自分が声をあげる。レベッカはゆっくりと顔を上げ、トレースの目を真っすぐに見つめた。「わたしがここに来た理由はあなたにもわかっているはずよ」
 グリーンの目がたちまち濃さを増し、夜の森のように深くなった。ぎゅっと結んだ彼の口元に緊張が漂っている。その緊張はまるで生き物のようにレベッカの体に巻きつき、彼女を締めつけ、燃え上がらせた。
「リードはどうしたんだ?」
 レベッカは目を閉じ、意を決したように肩で大きく息をすると、静かに言った。「彼には悪かったと思っているわ。彼と一緒にいるのに、わたしはあなたのことを考えていたんですもの」
 トレースが彼女のぬれた髪を耳の後ろにかけ、その手をゆっくり首筋に這《は》わせながら、かすれた声でささやいた。「レベッカ、目を開けて」
 言われたとおり目を開け、じっと自分を見つめるトレースの目を見たとたん、レベッカはどきりとした。その目にも彼女と同じ欲望が燃えている。自分でも怖くなるくらい激しい欲望が。レベッカはゆっくりと手を上げ、震える指先でそっとトレースの温かい頬に触れた。
 彼が欲しくてたまらない。この人を求め、愛を交わすことを想像しただけで耐えられないほど狂おしい気持ちになる。
 指先で頬をなぞると、ひげのちくちくした感触が心地よい刺激となって全身に広がっていく。レベッカは指を頬から顎へ滑らせ、唇に触れた。トレースが顔をこわばらせ、彼女の手首をつかんだ。
「トレース……」
 ささやくように名前を呼ばれ、褐色の目に燃える欲望を見て、トレースの心臓は一瞬動きをとめた。たちまち体の奥でくすぶっていた彼自身の欲望の炎が燃え広がり、まるで生き物のように全身をなめ尽くす。長い間閉じ込めてきた荒々しい本能が息を吹き返したのだ。
 だが、今夜はだめだ。
 今ここでそうするわけにはいかない。
 レベッカの目は情熱にきらめき、かすかに開いた唇はキスを待っている。トレースは彼女を抱き寄せ、甘い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。雨のにおいとフローラルなコロンの香りに彼女自身のにおいがまじっている。
 トレースはぬれた髪に手を差し入れてレベッカの頭を軽くのけぞらせ、褐色の目をじっと見つめたまま唇を近づけていった。レベッカも両手を厚い胸板に滑らせ、そのまま首にまわしてくる。
 軽く唇を重ねると、トレースは喉の奥から低いうめき声をもらし、次の瞬間荒々しく唇を押しつけ、むさぼるようにキスをした。レベッカも滑り込んできた舌を迎え入れ、彼のリズムに合わせて舌を絡ませながら、すすり泣くような声をもらす。
 トレースは唇を離し、体を引いてレベッカの顔を見つめた。頬が上気し、激しいキスのせいで唇がぬれ、ふっくらしている。
 ああ、なんて美しいんだ!
 レベッカがこの嵐《あらし》を巻き起こしたのだ。この家の中にも、ぼくの体にも、ぼくの血にも、荒々しくたたきつけるような情熱の嵐を。この五年間ずっと封じ込めてきた怒りが一気に噴き出し、その勢いはもうとめようとしてもとめられない。
 レベッカ、きみはぼくのものだ! トレースは心の中で叫んだ。たとえそれが今夜だけ、この瞬間だけの真実だとしても、彼女はぼくのものだ。
「キスして、トレース」レベッカの吐息が首筋にかかる。「お願い、キスして……」
 それ以上言う必要はなかった。トレースは喉の奥から低いうめき声をもらしながら、奪うように唇を重ねた。レベッカもシャツの胸元にしがみつき、熱いキスを返してくる。とてもなつかしく、とても自然に思えるこの感覚。押しつけられる胸のふくらみが全身の血を燃え立たせ、鼓動を高鳴らせる。トレースは押し寄せる欲望に圧倒された。今すぐ、この場で――廊下の床に押し倒してでも、壁によりかかってでもいい、熱く脈打つ体を彼女の奥深く沈めたくてたまらない。
 それでもトレースはなんとか自分を抑え、レベッカを腕に抱いたまま寝室までたどり着いた。廊下の明かりがベッドにさし込んでいる。彼はそのままベッドに倒れ込みたい衝動を抑え、ゆっくりと彼女の体を滑らせて床に下ろした。向かい合った二人の体がぴったり寄り添うと、レベッカは下腹部に触れる彼の欲望のあかしに初めて気づいたのか、驚いたように目を見開いて顔を上げた。
 レベッカの目にためらいの色が浮かんでいる。だが、トレースはあえて彼女の気持ちを確かめようとはしなかった。ここで、本当にいいのかと尋ねたら、レベッカはおじけづいてしまうだろう。今は何も考えてほしくない。彼女に逃げる機会を与えたくなかった。もう二度と。
 トレースは彼女の唇をとらえ、気が遠くなるほど長く激しいキスをした。やがて彼女の足がふらつき、胸によりかかってくると、トレースは背中に手を伸ばしてファスナーを下ろし、ぬれたドレスの下に両手を滑り込ませて肩からはずした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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