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百合と薔薇〜オレ様王子と偽りの姫〜

百合と薔薇〜オレ様王子と偽りの姫〜


発行: アンジェリカ
シリーズ: アンジェリカ
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

人質王子ユゼフ(実は姫)は俺様皇太子に執着されて!?

■「ユゼフ、おまえ本当は女なんだろ」ニコラウスの言葉に、ユゼフの体が硬直した。男子の誕生を望む父王のために王子とて育てられたアルギスのユゼフは、強国ボルデンの要請で人質として赴く。そこで待っていたのは王子ニコラウス。ユゼフはコラウスに女性であると気づかれてしまう。一方、大国オースタンがアルギスに攻め入ろうとしていた。急ぎ国に戻ったユゼフを待っていたのは敵の指揮官。剣を向けられたユゼフの前に現れたのは──「黒衣の騎士参上」──私兵を引き連れたニコラウス!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「ユゼフ王子。部屋の住み心地はどうだ」
 午後、部屋の整理をしていると、突然ニコラウスが現れた。供もつれず、先触れもないいきなりの訪問に、ユゼフは驚いて一番手前の部屋にニコラウスを迎えた。
「ああ、おかまいなく」
 慌てて畏まった侍女にそう告げると、ニコラウスは親しげにユゼフの肩を抱き、居間への扉を勝手に開ける。
「どうしたのですか、王子」
「だから様子を見にきたのさ。ふうん、いい感じじゃないか」
 ニコラウスはユゼフの居間を見回し、検分している。
「ここは日当たりがいいんだ。俺が選んでやった」
「それは……ありがとうございます」
 上から目線の言い方に少しムッとする。
「寝室はどうだ。見せてみろ」
「いや、特には……」
「なんだ、不満があるのか?」
「不満など、とんでもないです。よくしていただいて感謝しております」
「ふふん。そうだろう」
 ニコラウスはさも当然だといわんばかりに顎を上に向け、数度うなずくと寝室に向かった。
「王子」
 ユゼフの抗議の声を無視し、彫刻が施された背の高い扉を大きく左右に開ける。
「まだ荷物を解いていないのか? ずいぶん殺風景だな」
 ニコラウスは部屋をぐるりと見て言った。
 寝室の中央には大きな天蓋つきベッドが置かれ、窓際にはテーブルと椅子が配置されている。ひきだしもあるが、それだけだ。
「荷物はすでに整理しました。寝るだけですので、特に必要なものはありません」
「寝るだけ。……顔に似合わず実用的なのだな」
「は?」
「では」
 ニコラウスが突然ユゼフの手を掴んだ。そのまま引き寄せられる。
「顔と性格は全然違うようだな。実用的な王子とお見受けした、こちらも実用的に参ろう。……ユゼフ王子はまるで歩く宝石のようで、本当に綺麗だ。美しいものにはキスをしたくなる」
「……は?」
 ニコラウスはユゼフの耳元に唇を寄せた。息を吹きかけるように囁く。
「俺は王子を初めて見たとき、運命を感じたのだ。必ず王子を手に入れる」
「……え?」
 ニコラウスはそっとユゼフの頬に唇をつけた。ユゼフは「ヒッ」と叫び、身をよじってニコラウスを引き剥がす。
「な、なにをするっ」
 今、ニコラウスは頬を舐めなかったか?
 ニコラウスは悪びれることなくユゼフを見つめた。
「まずはおまえをこの城に引き入れた。次は俺のものにする」
「引き入れた……ってどういうことですか。それに……」
「ボルデンからの書簡、あれは俺が国王を動かして書かせたのだ」
「えっ?」
 ユゼフはニコラウスの黒い瞳を凝視する。
「一国の王子であるおまえを手に入れるためには、まずはそばに置くのが早道だろう。だからあのとき、また会おうと言ったのだ」
 ユゼフは、ニコラウスがなにを言っているのかわからなかった。
「手に入れるって、意味がわかりません。会おうというなら、そんなことをしなくても会見を設定します」
「そんなつまらんこと。俺の望みはおまえと懇ろになることだ」
「え? ええっ? 懇ろ?」
 ここでユゼフは先ほどニコラウスから舐められたことを思い出した。思わず頬に手を当てる。まさか、懇ろというのは……。手に入れるという意味は……。
「私は男です!」
「もちろん知っている」
「ふ、不自然でしょう男同士で!」
 ニコラウスはこれ見よがしに目を丸くした。
「なんだ、ずいぶんつまらないことを言うんだな。男だって女だっていいじゃないか」
「……う……っ」
 あまりのことに声が出ない。
 ニコラウスが再びユゼフの手を取ろうとした。ユゼフは慌てて飛びすさる。あからさまに拒否されたというのに、ニコラウスはニヤリと笑った。
「恋愛というのは魂でするものだ。性別などなんの意味もない。俺はおまえに惹かれた。だからおまえも俺を好きになるのだ」
 い、いや、なんだかよくわからないがその理屈はヘンだろう。
 と答える間もなくニコラウスの顔が迫ってくる。
「うわあやめろおおおおっ」
 今度こそユゼフは部屋の隅まで逃げ出した。
 ニコラウスは腰に手を当て、背すじを伸ばす。
「どうやらユゼフ王子はつまらぬ常識に縛られているらしい。まあ、逃げる獲物ほど狩りの喜びは大きいものだ」
「か、か、狩りぃ?」
 ユゼフはニコラウスから一番遠い位置の壁に張りついた。なぜかそれを見てニコラウスは笑う。
「安心しろ。プライドにかけて、無理やり襲うようなことはしない。そんなことをしなくてもおまえは俺に夢中になる」
「ぜっっったいになりません!」
「なる。なぜなら俺たちの出会いは必然で、これは運命だからだ」
「変なこと言わないでください!」
 ニコラウスはやれやれ、というように肩を竦めた。
「王子はまるで生娘のようにウブなんだな。それも面白い」
「生娘じゃありませんっ!」
「当たり前だ、男だからな」
 ニコラウスはそう言うと、ニヤニヤしながら部屋の出口に向かう。
「いい退屈しのぎができた。やはり俺の勘は間違いない」
 私は退屈しのぎかっ!
 その言葉を告げる前に、扉はバタンと閉められた。


※こちらの作品にはイラストが収録されています。
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