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暁の魔術師は月に酔う

暁の魔術師は月に酔う


発行: アンジェリカ
シリーズ: アンジェリカ
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

「治療方法は、私の血を飲むか、せ○×……」絶対無理!

■治療方法は“粘膜摂取による譲渡”――!? 当代一の実力者、クールなイケメン魔術師・ヴィルジールの弟子であるルネ。ある自身の強すぎる魔力によって体調不良に陥ってしまう。師匠の心が通わない治療行為を重ねるうちに、彼への想いも快楽も強まっていく。だけど、自分の恋心は迷惑に違いないと胸に秘めることに。一方、彼女を抱くヴィルジールの本音とは? 更には、魔獣の出現や、王室を取り巻く陰謀が勃発。ルネは身体が回復していない状況下で戦う大ピンチ!!

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「あれ……?」
 次の瞬間、クラリと目の前が回った。足元がおぼつかず、ルネの身体はうしろに傾ぐ。
(あ、倒れる!)
 倒れることがわかっていても、異様に身体が重く、身構えることもできない。痛みを覚悟して目を瞑ったが、いつまでたっても衝撃は訪れない。くらくらと回る目をなんとか開いてみれば、ヴィルジールの寝室の天井が映った。やはり目を開けているのがつらくて、ルネはすぐに目を閉じた。
「ルネ、大丈夫か?」
 どうやら背中からヴィルジールに抱き込まれているようだ。たいした衝撃もなかったのは寝台の上に倒れ込んだかららしい。
 耳元に吐息を感じて、不可解な熱がルネの背筋を駆け上がっていく。
「あ、の、……めまいが……して」
「ああ、そのようだ。寝台の上に身体を移すぞ」
 ヴィルジールはゆっくりとルネの身体を起こしつつ、寝台の上に横たえさせた。
「すこし身体に触れる。動くなよ」
 冷静なヴィルジールの声がして、なにをするのだろうと疑問が湧く。けれど、やはり目を開けることができなくて、かすかにうなずいて応える。
 ヴィルジールの指が喉元で動く気配がして、ローブがすこしはだけさせられた。ひんやりと冷たい指先が首筋に触れ、ルネは身体をびくりと震わせた。
 しばらくルネの首筋に手を当てていたヴィルジールは、舌打ちと共に手を離した。
「ヴィ師匠、……あの」
「そなた、最近魔力が急に増えただろう?」
 ヴィルジールは不機嫌な様子で、ルネの言葉をさえぎった。ぶっきらぼうな口調とは裏腹に、優しい手がそっとルネの額に乗せられる。
「あー、はい。そうかもしれません」
「お前の身体に蓄えられている魔力が濃すぎる。酒に酔ったような感じではないかと思うが……?」
 額に当てられたヴィルジールの手の冷たさに、うっとりと浸っていたルネはゆっくりと目を開いた。
「どうでしょう? お酒を飲んだことがないのでなんとも言えないのですが、そうなのかもしれません。なんだかクラクラしますし、ちょっと熱いような……」
 ぼんやりとかすむ視界にヴィルジールの暁色の瞳を捉えて、ルネはじっと見つめた。不機嫌そうな声をしていても、師の目は心配げに細められている。
「ふむ。魔力の成長期には稀にあることだ。そなたの魔力の成長速度に魔力の器が追いついていないのだろう。とりあえず、症状を軽くすることはできるが……、どうする?」
「どうして聞くんですか? そんなに難しいことなのですか?」
「簡単といえば簡単なのだが……」
 いつも歯切れのいいヴィルジールが言いよどむのは珍しい。
(きっと対処法に、なにか問題があるんだろう。……でも、こんな体調じゃ、師匠のお手伝いなんてできないし……)
「ヴィ師匠、お願いします」
「……よかろう。苦情は受け付けぬからな」
 あ、と思った瞬間、暁色の瞳が目前に迫り、唇に柔らかな感触が触れた。
「えぇ!?」
 驚きにルネが声を上げた瞬間、ぬるりと柔らかな感触が唇を割って口内に侵入する。
(ちょっと!? なんなの? どうなってるの?)
 ルネは完全に恐慌状態に陥っていた。縮こまったルネの舌を、ヴィルジールの舌が誘うようにゆっくりとなぞる。
「ん……」
 息苦しさに思わず師を睨むと、彼もまたルネの瞳をじっと睨むように見つめていた。
(これってキス……だよね。どうして……?)
 口を閉じてしまえばよいのだろうが、それでは師を傷つけてしまうだろう。恐慌の中でもかすかに残った理性が、口を閉じることをためらわせた。
「っや、……く、るし……」
 まともに息ができない。ルネは大きく口を開いた。その瞬間を狙い澄ましていたかのように、ヴィルジールは噛みつくように口づけを深めた。
(あ……、や……だ……)
 ヴィルジールのねっとりと絡みつくような舌の動きに翻弄され、ルネは思考する能力を放棄した。
 強張っていたルネの身体から力が抜けたことを感じ取ったヴィルジールは、自らの唾液をルネの口へ注ぎ込む。
「んんーーー!」
 ルネは口内にあふれた唾液を思わず飲み込んだ。かっと胃の奥に熱を感じ、生まれた熱が全身を駆け巡る。じわじわと指先まで熱が行きわたり、まるで温かな湯に浸かっているような感覚に包まれる。ルネはそのぬくもりに身をゆだねた。
 そのあいだもヴィルジールの蹂躙は止まらなかった。ゆるゆると彼が舌を動かすたびに、燃え上がるような熱がお腹の奥底で生まれていくような気がする。
 再び口内に溜まった唾液を嚥下したルネは、ようやく師匠の顔が離れていく様子をぼんやりと見つめた。
(えっと……、もしかしてこれが治療だった……ってこと?)
「どうだ、楽になったろう?」
 自身の唾液にまみれ、ぬらりと光る口元を手で拭いながら、ヴィルジールは立ち上がる。その姿をまともに目にしたルネの心臓はドクリと大きな鼓動を刻んだ。
 ルネの頭の中は混乱と羞恥にさいなまれていた。どうしていいのかわからず、この場を逃げ出したい衝動に駆られる。ルネは自身でも驚くほどの敏捷さで身体を起こした。
「え……、あれ?」
 さきほどまで自身をさいなんでいためまいと不調がさっぱりと消え去っていた。ぱちぱちと目をしばたいてみれば、先ほどまでのぼんやりとしていた視界も良好になっている。
 逃げ出そうとしていたことも忘れ、茫然とつぶやく。
「どーして?」


※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

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