和書>小説・ノンフィクション>ライトノベル>異世界ファンタジー
魔法鍵師カルナの冒険
著: 月見草平発行: メディアファクトリー
レーベル: MF文庫J シリーズ: 魔法鍵師カルナの冒険
価格:420円(税込)
10ポイント還元
対応端末:パソコン ソニー“Reader”みんなの評価 (未評価)
◆レビューを書く
解説
あらゆる鍵を開けてしまう特殊職業、魔法鍵師。15歳の少女・カルナはおじいちゃんの跡を継ぐべく修行中の見習いだ。師匠のミラは大陸一と名高い凄腕の鍵師。絶世の美女だが口も性格も悪いミラのもと、毎日毎日修行してきたカルナは、今日がようやく初仕事! 頑張るぞっ! と気合いを入れてのぞんだ仕事の内容は、遺産の入った魔法の金庫を開けることだった。それも、鍵師たちに畏れられる最強の――ランキンズワークと呼ばれるもの。歴史上最も有名な鍵師・ランキンのつくったその鍵に挑むカルナだったが、それは同時に、長い物語の鍵を開けることでもあった……。鍵の後ろに隠された秘密と謎を解き明かす、新感覚の鍵開けファンタジー開幕。第1回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞。
目次
プロローグ
第一章 初めてのお仕事
第二章 祠堂の聖剣
第三章 胸騒ぎのお留守番
第四章 暁の魔法鍵師
エピローグ
第一章 初めてのお仕事
第二章 祠堂の聖剣
第三章 胸騒ぎのお留守番
第四章 暁の魔法鍵師
エピローグ
抄録
まさかこんなに早くブレイトンさんとまた会えるなんて思っていなかった。ここはカルナちゃん特製のシチューでアピールアピール。ちょっと強引に私の横の席を勧めて座ってもらうと、シチューを皿によそって、スプーンと一緒に並べた。
「どうぞ熱いうちに食べてください」
ブレイトンさんは目をハートマークにした私に勧められるまま、スプーンを手にとった。
「美味しい。これ、カルナちゃんが作ったの?」
私が待っていました、とばかりに大きく頷くと、
「カルナちゃんは鍵師としても、お嫁さんとしても十分一人前にやっていけそうだね」
なんてニッコリ微笑んで言うもんだから、私は顔を赤くしてふにゃふにゃになった。
でも、ブレイトンさんは何口か美味しそうにシチューを口に運ぶとスプーンを置き、真剣な表情で師匠の方を向いた。
「君のことだから察しはついていると思うけど、なくなった剣のことで頼みがあって来た」
やっぱり……。やはりブレイトンさんが店に来たのはそれが理由か。
「その件で、カルナからお前に言っておきたいことがあるそうだ」
食後の一服を始めていた師匠が私に目配せした。さっき私が話した鍵の記憶の中身のことを、ブレイトンさんにも話すように言っているようだった。
「じゃあまず、カルナちゃんの話から聞こうかな」
顔をじっと見つめて耳を傾けるブレイトンさんに、私は胸をドキドキさせながら話す。
ブレイトンさんは時々、目を少し大きくして驚いた表情を顔に浮かべたりもしたけど、
師匠と同じように概ね冷静だった。
聞き終えたブレイトンさんを、煙草を燻らせながら師匠はジロリと睨みつけた。
「お前、あそこにある剣がランキンズワークだと知っていたな?」
ブレイトンさんは頷くと、素直に頭を下げた。
「ゴメン。ミラの言う通り、僕も大臣もそのことは知っていて言わなかった。サバテを倒したのがアトキンソン王ではなくランキンであることを口にするのは、ジュール城で最大のタブーの一つなんだよ」
「もしお前が言っていれば、私はカルナを鍵の記憶の中に潜らせたりはしなかった」
「本当にゴメン。言い訳だと言われても仕方がないかもしれないけど、僕もあの祠堂までランキンズワークだとは知らなかった。でも、そのせいでカルナちゃんを危険な目に遭わせてしまった。謝ってすむ問題ではないけど、本当にゴメン」
そう言って、ブレイトンさんは私に向かって深々と頭を下げた。
私は顔の前で手をパタパタさせる。
「そんな、気にしないでください。私は危険を承知で記憶の中に入るって決めたんですから」
本当に、心の底からそう思う。もっとも、師匠は納得がいかない様子だけど。
「ブレイトンさん。さっきも師匠と話していたんですけど、祠堂にあった剣って、剣というより魔王をどこかに閉じ込めておくための鍵なんですよね?」
ブレイトンさんが重々しく頷く。
「師匠。鍵さえあれば魔王を復活させることはできるのですか?」
「無論だ」
やはりそうなの? じゃあその剣が盗まれたってことは……。あまりに恐ろしいことなので私が口にできないでいると、
「カルナちゃんが考えている通りだよ。どうも魔王を復活させようとする陰謀があるみたいなんだ」
ブレイトンさんは深刻な顔でそう言った。
魔王を復活させる陰謀。
まさか、そんな一昔前の英雄譚でも聞かないような話の当事者に、自分がなるなんて。
もしかしてヒロインは私かしら? それとも師匠? じゃあ肝心のヒーローはブレイトンさん? ……そんなくだらないことを考えるくらい、現実感が湧かない。
「これから話す内容は大部分が僕の勝手な推測だから、そう思って聞いてほしい」
私は頷いた。
「祠堂を開けてもらう前にも話したけど、あそこの鍵は火事と一緒になくなった。でも僕は、火事があった時から不審に思っていたんだ。火事が起きた宝物庫には全く火の気がない。調べでは宝物庫近くの廊下に掛けられたランタンが落下して、それが火の元だとされたけど、それにしては不自然な所がよく燃えていて、疑問が多く残った」
「誰かが放火したんじゃないか、ってそういうことですか?」
「そう。祠堂の中に剣がないことが分かった今は、ほぼ間違いないと僕は思っている。何者かが鍵が盗むために火事を起こし、そのドサクサに紛れて祠堂の鍵を手に入れた。それから祠堂を開け、中の剣を奪ったに違いないって」
そしてその目的は魔王の復活、ということか。
「でも一体誰がそんなことを? 魔王を復活させてもいいことなんてないですよね?」
魔王なんて暴れるだけ暴れて世界を破壊するだけ、私なんかはそう思うのだけど。
「カルナちゃん。ラヴェリタス、って知ってる?」
「初めて聞きます。何だか、舌を噛みそうな言葉ですけど」
「真実とか本質とかそういう意味。僕たち人間は滅びるべきとか、人類は世界にとって不必要な存在であるとか、そう信じている集団の名前だよ。まあ一種の宗教団体だね。実際、過去にデーモンを魔界から召還して町で暴れさせて、犠牲者が出たこともある」
ブレイトンさんの説明に、私は少なからずショックを受けた。
人類が不必要だとか、滅びるべきだとか、そういうのを信じる人がいても私は別にいいと思う。それは個人の自由だ。でも信じるあまり、信じていない人まで不幸にして、他の人の自由を奪ってしまう、というのは絶対に間違っている。
「じゃあその連中が祠堂の中から剣を盗み出して、魔王を復活させようとしているって、
そういうことですか?」
「断定はできない。でも最近、王都を中心にラヴェリタスの活動が活発になっているとの報告を受けてはいる」
ブレイトンさんの言葉に師匠が反応する。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「どうぞ熱いうちに食べてください」
ブレイトンさんは目をハートマークにした私に勧められるまま、スプーンを手にとった。
「美味しい。これ、カルナちゃんが作ったの?」
私が待っていました、とばかりに大きく頷くと、
「カルナちゃんは鍵師としても、お嫁さんとしても十分一人前にやっていけそうだね」
なんてニッコリ微笑んで言うもんだから、私は顔を赤くしてふにゃふにゃになった。
でも、ブレイトンさんは何口か美味しそうにシチューを口に運ぶとスプーンを置き、真剣な表情で師匠の方を向いた。
「君のことだから察しはついていると思うけど、なくなった剣のことで頼みがあって来た」
やっぱり……。やはりブレイトンさんが店に来たのはそれが理由か。
「その件で、カルナからお前に言っておきたいことがあるそうだ」
食後の一服を始めていた師匠が私に目配せした。さっき私が話した鍵の記憶の中身のことを、ブレイトンさんにも話すように言っているようだった。
「じゃあまず、カルナちゃんの話から聞こうかな」
顔をじっと見つめて耳を傾けるブレイトンさんに、私は胸をドキドキさせながら話す。
ブレイトンさんは時々、目を少し大きくして驚いた表情を顔に浮かべたりもしたけど、
師匠と同じように概ね冷静だった。
聞き終えたブレイトンさんを、煙草を燻らせながら師匠はジロリと睨みつけた。
「お前、あそこにある剣がランキンズワークだと知っていたな?」
ブレイトンさんは頷くと、素直に頭を下げた。
「ゴメン。ミラの言う通り、僕も大臣もそのことは知っていて言わなかった。サバテを倒したのがアトキンソン王ではなくランキンであることを口にするのは、ジュール城で最大のタブーの一つなんだよ」
「もしお前が言っていれば、私はカルナを鍵の記憶の中に潜らせたりはしなかった」
「本当にゴメン。言い訳だと言われても仕方がないかもしれないけど、僕もあの祠堂までランキンズワークだとは知らなかった。でも、そのせいでカルナちゃんを危険な目に遭わせてしまった。謝ってすむ問題ではないけど、本当にゴメン」
そう言って、ブレイトンさんは私に向かって深々と頭を下げた。
私は顔の前で手をパタパタさせる。
「そんな、気にしないでください。私は危険を承知で記憶の中に入るって決めたんですから」
本当に、心の底からそう思う。もっとも、師匠は納得がいかない様子だけど。
「ブレイトンさん。さっきも師匠と話していたんですけど、祠堂にあった剣って、剣というより魔王をどこかに閉じ込めておくための鍵なんですよね?」
ブレイトンさんが重々しく頷く。
「師匠。鍵さえあれば魔王を復活させることはできるのですか?」
「無論だ」
やはりそうなの? じゃあその剣が盗まれたってことは……。あまりに恐ろしいことなので私が口にできないでいると、
「カルナちゃんが考えている通りだよ。どうも魔王を復活させようとする陰謀があるみたいなんだ」
ブレイトンさんは深刻な顔でそう言った。
魔王を復活させる陰謀。
まさか、そんな一昔前の英雄譚でも聞かないような話の当事者に、自分がなるなんて。
もしかしてヒロインは私かしら? それとも師匠? じゃあ肝心のヒーローはブレイトンさん? ……そんなくだらないことを考えるくらい、現実感が湧かない。
「これから話す内容は大部分が僕の勝手な推測だから、そう思って聞いてほしい」
私は頷いた。
「祠堂を開けてもらう前にも話したけど、あそこの鍵は火事と一緒になくなった。でも僕は、火事があった時から不審に思っていたんだ。火事が起きた宝物庫には全く火の気がない。調べでは宝物庫近くの廊下に掛けられたランタンが落下して、それが火の元だとされたけど、それにしては不自然な所がよく燃えていて、疑問が多く残った」
「誰かが放火したんじゃないか、ってそういうことですか?」
「そう。祠堂の中に剣がないことが分かった今は、ほぼ間違いないと僕は思っている。何者かが鍵が盗むために火事を起こし、そのドサクサに紛れて祠堂の鍵を手に入れた。それから祠堂を開け、中の剣を奪ったに違いないって」
そしてその目的は魔王の復活、ということか。
「でも一体誰がそんなことを? 魔王を復活させてもいいことなんてないですよね?」
魔王なんて暴れるだけ暴れて世界を破壊するだけ、私なんかはそう思うのだけど。
「カルナちゃん。ラヴェリタス、って知ってる?」
「初めて聞きます。何だか、舌を噛みそうな言葉ですけど」
「真実とか本質とかそういう意味。僕たち人間は滅びるべきとか、人類は世界にとって不必要な存在であるとか、そう信じている集団の名前だよ。まあ一種の宗教団体だね。実際、過去にデーモンを魔界から召還して町で暴れさせて、犠牲者が出たこともある」
ブレイトンさんの説明に、私は少なからずショックを受けた。
人類が不必要だとか、滅びるべきだとか、そういうのを信じる人がいても私は別にいいと思う。それは個人の自由だ。でも信じるあまり、信じていない人まで不幸にして、他の人の自由を奪ってしまう、というのは絶対に間違っている。
「じゃあその連中が祠堂の中から剣を盗み出して、魔王を復活させようとしているって、
そういうことですか?」
「断定はできない。でも最近、王都を中心にラヴェリタスの活動が活発になっているとの報告を受けてはいる」
ブレイトンさんの言葉に師匠が反応する。
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
形式
【XMDF形式】
XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアはここから無料でダウンロードできます。
詳しくはブンコビューアダウンロード初めての方へをご覧下さい。
対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。
【bookend形式】
この書籍は、商品の初回閲覧時に必要ソフト「bookend」(無料)を手動インストールする必要があります。
詳細はbookend形式のご利用方法をご覧下さい。
bookend形式の書籍をご覧いただくためにはAdobe Reader最新版(無料)が必要になります。Adobe Reader最新版はここから無料でダウンロードできます。
































