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大富豪の約束なき情熱 氷の掟

大富豪の約束なき情熱 氷の掟


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス氷の掟
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

「ぼくに愛を期待するな」その宣言どおり、翌朝わたしは捨てられた。

リビーは父親に仕事を託され、経営コンサルタントで億万長者のダニールに会いに行く。養護施設で育ち、イギリスの名家の養子となった彼は、なぜか両親の結婚40周年記念パーティへの出席を拒んでいた。彼を説得し、パーティに参加させることがリビーの役目だった。ところが彼女はひと目でダニールに魅了され、一夜の誘いに応じてしまう。ちょうど夢を諦めたばかりで、新しい自分を見いだしたかったのかもしれない。その無邪気な思いつきが、のちに残酷な結末を招くとは、予想すらしなかった。

■幼少期を養護施設で過ごし、のちに数奇な人生をたどった4人の富豪たち。過去が彼らの愛情生活に暗い影を落とします。しかし運命の女性との出会いにより、彼らは思いがけない変貌を遂げることに。ミニシリーズ〈氷の掟〉、ご期待ください。

抄録

 ダニールの膝がさらに近づき、軽くリビーの膝に押しつけられた。とうとうあからさまな戯れが始まったらしい。それに、彼がこれほど好奇心をあらわにするなら、わたしも同じようにしてもいいはずだ。「その傷跡はどうしたんですか?」
 ダニールは小さく首を振った。
 それだけだった。曖昧さも釈明もなく、ただ小さな首の動きだけでその話題を拒絶した。
 それでも、リビーの好奇心はうずいた。
 傷跡はぎざぎざで少し盛りあがっている。莫大な財産を持っているのに、なぜきれいに治さないのだろう?
 歯はきれいに矯正されているはずだ。生まれつきこれほどきれいな歯はありえない。それに、完璧に整えられた髪から注文仕立ての高価なスーツまで、ダニールが身なりに気を遣っているのは確かだ。
 なのに、傷跡だけは……。
 会話は続いた。というか、ほとんどリビーが話し続けた。彼は話を引きだすのがすばらしく上手だった。彼女の住んでいる場所、通った学校、バレエを習った教室……。
 会話の大半が自分に関することだったとリビーが気づいたころ、シャンパンの瓶が空になった。
「デザートはどうかな?」
 リビーのきれいな青い目に葛藤が浮かんだ。二人で過ごせる時間がもうすぐ終わるのはわかっていたが、まだ帰りたくなかった。
「いただきます」
 メニューを眺めて、リビーは食事の時間を引き延ばすためだけにチョコレートスフレを頼みたい誘惑に駆られた。
「クレームブリュレにします」
 デザートが運ばれてきたのは八時二十七分だった。
「味はどう?」ダニールが尋ねた。
「すごくおいしい」リビーは満足げにうなずきながらも、ダニールの意識が散漫になっているのに気づいた。彼は通りに視線を向けてから、またちらりと時計を見た。
 コーヒーはすぐに飲み終わり、あと彼女にできるのはこの夜の記念に店のナプキンをそっとバッグに忍ばせることだけだった。
 表に出ると、彼の運転手が待っていた。
「わたしはタクシーで帰ります」
「なぜだ? せっかく車を待たせておいたのに」
 直感が、その車の向かう先はダニールの部屋だと教えていた。リビーは彼を見あげた。「なぜかはお互いにわかっているはずです」
「なるほど。きみに会えてとても楽しかったよ、ミズ・テネント」
「わたしは、あなたにお会いしてとても怖かった」リビーはほほ笑んだ。「最初のうちだけですけれど」
「いまは怖くないのか?」
 彼の両手がリビーの腰に触れ、その官能的な動きが、いま二人の脳裏にある思いをくっきりと描きだす。彼に抱きあげられてその腰に脚を巻きつけたいという衝動が、リビーを襲った。
「いまも怖いわ。だけど、食事中は楽しかった」いま怖いのは、悪魔にキスをされそうな予感のせいだった。なぜフレンチオニオンスープなんか頼んでしまったのだろう。いまのうちに鞄からにおい消しのミントチョコレートを出せないかしら?
 ああ、そうだった、あれはコーヒーと一緒に食べてしまったんだわ。
「何を考えているんだ?」ダニールがきいた。心のなかで自問自答しているかのように、リビーの目があちこち泳いでいたからだ。
「教えません」
 ダニールはなんのためらいも見せなかった。すっと顔を近づけ、いっきにリビーの唇を奪った。舌ではなく唇でリビーの唇を押し開け、彼女の爪先が浮きそうなくらいきつく抱き締める。彼の舌が入りこみ、荒々しく探索を始めた。ざらざらした彼の顎の感触が心地よい。だが、リビーがキスを返そうとしたとき、待っていたのは拒絶だった。
 これはぼくのキスだ、と彼の唇が主張していた。キスをリードしているわけではなく、彼はただリビーの唇を奪い、味わい、彼女の体に火をつけていくだけだった。彼の体は壁のように頑丈で、通行人がぶつかったときもびくともしなかった。盾さながらに。
 通りのまんなかだというのに、彼のキスはリビーの体を熱くさせた。なのに、彼女に許された動きは、両手で彼の胸に触れることだけだった。リビーの指が冷たいシャツの生地を滑り、ダニールの小さな乳首を見つけた。彼女の体が熱くうずき、腰がくねるように激しく動く。
 次の瞬間、ダニールの唇が離れた。彼は自らが与えることのできる快楽を垣間見せ、冷酷にその快楽をはぎとったのだ。
 リビーは夏の夜気を大きく吸いこんだ。彼の唇がもう一度欲しくてたまらない。
「ベッドに行こう」ダニールがささやいた。
「わたしは……」リビーの声が途切れた。
 いったいわたしは何を言おうとしたのだろう? 行きたくないと?
 でも、本当は行きたい。
 八歳のときから、リビーの生活はバレエを中心に回ってきた。それはつまり、きちんとした自己管理を意味した。
 すべてにおいて。
 けれどいまは、自らの欲求と欲望にもとづいて行動を決定できる。なんてすてきなんだろう。
「いいわ」リビーはうなずくと同時に、その返事にぎょっとした。撤回するつもりはなかったが、次の言葉を発したときの声は陰鬱だった。「朝になったら、きっと後悔するでしょうね」
「朝までにぼくがきみを愛するようになると期待しているなら、後悔する羽目になるだろうな」
 三度目の警告。
 いまなら、まだ引き返せる。
「まさか」そこまでわたしは愚かではない。
「それなら、後悔する理由は何もない」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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