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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・36アワーズ

心なき求婚

心なき求婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・36アワーズ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ビバリー・バートン(Beverly Barton)
 幼いころ、祖父から贈られた『美女と野獣』の絵本を読んでロマンス小説のとりことなり、九歳のときに初めて物語を書いた。それ以後、小説、詩、脚本と、学生時代を通じて創作活動に親しむ。結婚し、二人の子供を産んでから専業主婦となっていたが、執筆活動に復帰してからはアメリカロマンス作家協会に加入し、大いなる貢献をする。1990年にデビューして以来、マギー賞や全米読者選賞を受賞。ロマンス小説界の最高峰RITA賞の最終選考にも残ったことがある。

解説

 嵐の夜停電で止まったエレベーターに閉じこめられ、ペイジはパニックに陥った。乗り合わせた見知らぬ男性に慰められるうち、親密なひとときを過ごしてしまう。ふだんの自分とあまりにかけ離れた行動に動揺し、ペイジは逃げ出すようにその場を去った。もう忘れてしまおう。そう決意したものの、新しいボスのジェイリッドを見て、ペイジは凍りついた。まぎれもなく、彼はあのときの男性だったのだ!

抄録

 突然、ジェイリッドは彼女の肩をつかんでキスをした。ペイジはふいをつかれて抵抗することすらできなかった。
 ジェイリッドはすぐにキスをやめて、満足そうにほほえんだ。「女の子というのは、父親に憧《あこが》れるものだろう?」夢見るようなまなざしで問いかける。「きみはきみのお父さんのことが大好きだ。きみのお父さんもきみのことを目に入れても痛くないほどかわいがっているのが、よくわかったよ」
「ええ、わたしは父が大好きよ。でもそれとわたしたちの子供と、どんな関係があるの?」
「ぼくの娘もぼくのことを大好きになってくれるんじゃないかと想像したんだ」
「あなたは娘なんて欲しくないはずよ。あなたが欲しいのは息子でしょう? あなたの跡を継いでくれる存在でしょう?」
「娘ができると思うと、なんだかうれしくなってきたよ」赤褐色の髪を持つ女の子が、フリルに飾られたワンピースを着て、彼の首に抱きつきながら“パパ”と呼ぶ光景が頭に浮かんだ。その小さな天使のためなら、ジェイリッドはどんなことでもできる気がした。
「でも……でもあなたは息子が欲しいと言ったじゃないの!」
「次は男の子ができるかもしれないじゃないか」ジェイリッドはペイジの腕を撫でおろし、その手を彼女の腰へ、そして腹部へとやった。「この子はエンジェルと名づけよう」
「なんですって?」ペイジは彼の手をつかみ、腹部から押しのけた。
 彼女の手をつかんだジェイリッドは、その手を自分の首に回させた。「エンジェルがいやなら、アンジェリカかアンジェラか――」
「次は男の子って、どういう意味?」
「エンジェルをひとりっ子にしたくないだろう?」ジェイリッドはペイジのもう一方の腕を持ちあげて、自分の肩に回させた。「もしぼくたちの結婚がうまくいったら、きみだってふたり以上子供が欲しくなるはずだ」
「わたしはあなたとは結婚しないわ。わたしたちは愛しあっていないんだから。愛しあっていない以上、結婚なんてあり得ない。うちの両親のように、愛しあっている夫婦に育てられる環境を、わたしは子供に与えたいのよ」
「どうしてきみはそんなに頑固なんだ、ハニー?」ジェイリッドは彼女を抱き寄せた。「抵抗しても無駄だ。ぼくはあきらめないからね。最終的には、ぼくは自分が求めているものを手に入れるんだ」
 あまりにもそばにいる彼を意識して、ペイジの胸は高鳴った。「あなたが求めているのはわたしじゃないわ。五カ年計画を忘れたの? わたしはあなたの計画を壊した人間よ。あなたはしかるべき妻と息子が欲しいんでしょう? わたしと娘ではなく」
 ジェイリッドは彼女の首筋に顔をうずめた。ペイジが小さくうめいた。
「だけど、ぼくはきみと娘が欲しいんだ。息子はいずれ産んでくれればいい。きみがぼくにふさわしくないという点については、どうにでもなる。きみは若いし頭がいいし、美しい。ちゃんとした教育係さえ見つかれば、きみはぼくにとって申し分のない妻になれるはずだ」
 ペイジが反論する前に、ジェイリッドは彼女の唇を奪った。
 つい情熱的にキスに応《こた》えてしまったペイジだったが、やがて唇を離し、彼の胸を押しやった。「やめて! こんなことできないわ」はじかれたように立ちあがる。「帰ってちょうだい、ジェイリッド。お願いだから、わたしをひとりにして。あなたがそばにいると、冷静に考えられなくなるのよ。あなたがそばにいると……あのエレベーターでしたことを繰り返してしまいそうになるわ」
 ジェイリッドは立ちあがり、エンドテーブルから指輪をとると、ペイジの手をつかんで指輪をはめさせた。「ベッドでの相性すら合わない相手と結婚している夫婦だって、世の中にはたくさんいるんだ。ぼくときみの結婚生活を想像してごらん、ハニー。毎晩同じベッドで眠る生活を。愛しあうたびに、ぼくたちは情熱の炎でシーツを燃えあがらせてしまうだろう」
 玄関のドアを開けて帰っていくジェイリッドを、ペイジはリビングルームの真ん中に立ったまま見送った。彼は振り返ろうとも、おやすみを言おうともしなかった。彼の姿がドアの向こうに消えたとき、ペイジは玄関へ走っていって乱暴に鍵をかけた。
 全身が震えていた。どうしてここまで彼に翻弄《ほんろう》されてしまうのだろう。ジェイリッドを愛していることを認めたくないせいだろうか。
 ペイジは左手を突きだした。大きなダイヤモンドが、まるでウインクしているかのようにきらめいている。指輪をはずしかけて、彼女は思いとどまった。今夜だけははめておこう。きれいな指輪だった。それに、サイズもぴったりだ。
 これがジェイリッドの勝利の勲章ではなく、愛の証《あかし》だったらどんなによかっただろう。未来のミセス・モンゴメリのためではなく、わたしのために選んだ指輪だったらどんなによかったか。
 明日になったらこの指輪は返そうと、ペイジは心に誓った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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