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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

プリンスの望まれぬ花嫁

プリンスの望まれぬ花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

政略結婚に見いだした淡い初恋は、思いもよらぬ運命に打ち砕かれて……。

政略結婚を目前に控え、シェルダーナを訪れたオリヴィアは不安だった。父の決めた未来の花婿がどんな人か、ほとんど知らないのだ。プリンス・ガブリエル・アレッサンドロ――礼儀正しく親切な婚約者だけど、私を愛してはくれないわよね。しかし、ガブリエルは気高く麗しい金色の瞳でオリヴィアを見つめると、宮殿の庭へ連れ出し、優しく情熱的なキスをしてきた。この胸の高鳴りが、恋なのかしら。やがてオリヴィアは彼に純潔を捧げ、情熱の甘い波に身を任せる。ところが、突然の腹痛が彼女を襲った。まさか、過去の病気が再発したの?どうしよう。世継ぎを産めなければ、彼に見放されてしまうのに……。

■RITA賞新人賞を受賞したキャット・シールドの日本デビュー第2作は豪華絢爛なヨーロッパの宮殿が舞台です。幸せな婚約をしたはずのオリヴィアは、さまざまな障害に翻弄され……。関連作第2話は、ガブリエルの弟ニックと一夜の恋人との予期せぬ命の物語。

抄録

「この子たちはここに来たばかりで、ぼくはまだ顔も見ていない」
 肋骨に響くほど心臓をどきどきさせて、ガブリエルはベッドのほうに歩み寄った。双子が彼の子どもかもしれないという恐怖と、そうであってほしいという期待。二つの感情に挟まれたまま、すやすやと無邪気に眠る双子の顔を見おろした。
 目にしたとたんに胸が熱くなり、息が詰まった。マリッサの言葉は嘘ではなかった。この子たちは彼の娘だ。柔らかな頬をかわるがわる指でたどり、ほっとしたのと同時に全身の力が抜けていった。
「あなたの子どもだったのですね。違いますか?」
 ガブリエルはオリヴィアの顔をちらりと見た。「この子たちのことは、ぼくも今夜知ったんです」
「その母親だった方を、愛しておられたのですね」そう言うと、オリヴィアはため息をついた。
 彼とオリヴィアは、愛について語ったことなど一度もなかった。二人の結婚は一種の政略結婚だ。しかし、ガブリエルの心がすでにほかの女性のものなのだとオリヴィアが勘ぐっているのなら、あまり愉快ではないかもしれない。
「この子たちのことは、秘密にしておかなければ」
「無理ですわ。この子たちを宮殿に連れてきたその瞬間から、秘密がもれるリスクが生じております」
「そうかもしれない。だが、公表をできるだけ先延ばしにすれば、どうすれば影響を食い止められるか、対策を考えられるだろう」
「もしわたしの父のことを気にされているのなら、それは忘れてください。父は新工場の開設に全力を傾けておりますので」
「では、あなたは? どう思われますか?」
「あなたがどんな決定をされようと、わたしはそれを支持いたします。けれど、堂々とご自分の子どもだとおっしゃったほうがいいと思いますわ」
 ためらいも、嘘や偽りも皆無のまなざしだった。婚約者の元恋人が産んだ子どもの継母になるのだと、わかって言っているのか? こんなにも思いやりのある女性が、ほかにいるだろうか?
「きみは、ぼくの理解を超えた女性だな」
「殿下?」
「ガブリエル、だ」怒るというより苦笑いしながら彼はたしなめた。「ベッドの中では、ぼくのことを殿下とは呼ばせないよ」
 言葉に込めた情熱がオリヴィアに伝わり、彼女の頬がピンク色に染まった。
「ガブリエル」オリヴィアは言われるままに繰り返した。優しく忍びやかに響く声は、深い仲になった女性のささやきにも似て、彼の血を甘く騒がせた。「ベッドの中では、あなたを殿下とか、プリンス・ガブリエルと呼ばないよう心に留めますわ」
 いたずらっ子めいたユーモアがブルーの瞳の中ではじけ、知性がきらめいている。この聡明さを、なぜぼくの前では隠していたのだろう? よくよく考えてみると、彼女と一緒に過ごした時間はあまりにも短かった。オリヴィアをもっと理解していれば、すぐにでもわかっていただろうに。
「そういえば、ぼくはまだきみにキスしていない」ガブリエルは彼女の手を取って、そっと唇をつけた。
「プロポーズのとき、キスしていただきましたわ」
「十二名の立会人の前でね」ダーシー伯爵と親類の前で彼女に結婚を申し出た。あれは形だけの儀式だ。「それに、ぼくの望むやり方ではなかった」
「どんなやり方をお望みでいらしたのかしら?」
 オリヴィアに誘惑されるような言葉をかけられたのは初めてで、じっと見つめられたガブリエルは、受けて立とうという気になった。オリヴィアの顎に触れ、二人の唇が一直線上に並ぶ理想的な角度にした。彼女が長いまつげをふせたのが見えた。
 唇に触れかけたガブリエルが動きを止めたとき、オリヴィアが息をついた。悩ましい一瞬の吐息が、彼の獰猛な性急さを呼び覚ました。唇を押しつけ、オリヴィアの感触を存分に味わいたくなる。しかしガブリエルは思い留まり、満開のバラが咲き乱れる春の夕べにも似た、かぐわしい彼女の香りに意識を集中させて、はやる気持ちを抑えた。
 ガブリエルに何があったのだろう? 以前の彼は結婚に情熱を求めていなかった。だが、親しみが愛の官能に染まり炎となった今は、オリヴィアの奏でる吐息と、セクシーなあえぎ声を一つ残らず試してみずにはいられない気分だった。
「ファースト・キスにはふさわしくない場所かな」かすれた声でガブリエルは言った。異議を唱える体のうずきを感じて、彼は一歩後ろにさがった。
 マリッサの前にもあとにも、こんなふうに理性を失わせる女性はいなかった。当然、世界中の誰にもできないと思いこんでいた。
 彼の腕に抱かれたオリヴィアが喜びを味わいつくすまで、ひと晩中愛を交わしたい。この降って湧いたような欲望は、ガブリエルの当初の計画になかった。彼が必要としていたのは、公の場で彼の隣を華やかに彩る女性であり、穏やかな温もりで彼の寝床を温めてくれる人のはずだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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