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愛するのは禁止【ハーレクイン・セレクト版】

愛するのは禁止【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

ロウィーナは恋愛を避け、仕事ひとすじに生きてきた。そんな彼女が、予期せぬ妊娠をした。相手はクイン・タイラー。著名な形成外科医としてその名を世界に轟かせている彼は、ロウィーナの大学時代の友人だった。3カ月前、偶然再会するまでは。クインがあまりにもゴージャスな大人の男性に変貌していて、ふだんは男性を避けているのに、つい一夜の情熱に溺れてしまった。いかにもプレイボーイな彼にとっては何でもないことに違いない。とぼとぼとオフィスに向かうロウィーナは、はっと顔を上げた。クインが目の前に立ちはだかっている。どうして彼がここに? 彼は怒りに燃えた目で、まっすぐ彼女を睨みつけていた――。

■思いがけず再会したかつての友人クインと、情熱のおもむくまま一夜をともにしてしまったロウィーナ。突然目の前に現れた彼に、とても妊娠のことを言い出せず……。シークレットベビーならぬシークレット妊娠? を描いたキム・ローレンスのヒット作です。
*本書は、ハーレクイン・クラシックスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ロウィーナは胸を高鳴らせ、吹雪の中、手をかざして目を凝らした。背の高い人物が少し先を歩いていくのを見て、安堵のあまりすすり泣きの声がもれた。細部まで見分けられないものの、クインに違いない。
 クインの腕の中で安らぎたいという気持ちと、彼から逃れたいという気持ちはどちらも強かったが、ロウィーナはなんの矛盾もおぼえなかった。
 しかし救いを待つ喜びは、長続きしなかった。彼があの方向へ進みつづければ、わたしの姿は見えないだろう。すぐになんとかしなければならない。
 ロウィーナははじかれたように立ち上がり、頭上で両手を振った。叫び声は風にさらわれた。クインは彼女の激しい身ぶりにも叫び声にも気づいていない。
 こちらから行かなくては。
 ロウィーナの中で、先へ進もうとする力がわいた。だがしばらく歩くうちに、さすがの彼女も気力だけでは足を支えきれなくなった。
 雪の上に突っ伏したロウィーナは、力尽きて指一本上げられなかった。閉じたまぶたから涙がこぼれる。生まれて初めて彼女は敗北感を味わった。
 涙が流れ出して間もなく、ロウィーナは大きな手が肩をつかむのを感じた。その一瞬後、彼女は抱え起こされていた。
 手袋をした大きな手が彼女の顔をとらえ、雪を払った。ロウィーナはクインのいかめしい顔をのぞきこんだ。長いまつげや黒い眉に雪がこびりつき、肌がいっそう浅黒く見える。瞳は宝石のように輝いていた。
「クイン」唇が凍えて、声にならない。ロウィーナは目を閉じて力なく彼にもたれかかった。クインは体を震わせて大きくため息をつき、きつく腕をまわした。しばらくの間、二人はそのまま立っていた。彼の息が頬に温かくかかる。彼女の胸の鼓動はゆるやかになった。
 その短い至福のひととき、ロウィーナは二人のまわりで荒れ狂う吹雪のことも忘れていた。
 だが早くもクインはロウィーナを押しやり、鋭い目ですばやく彼女の顔を調べ、同じように医者らしい手つきで体を探った。見たところ、けがをしている様子はない。「けがはないかい?」
 ことさら強い風が彼の言葉をかき消し、ロウィーナはその質問を聞くというより感じ取ってうなずいた。クインの胸にかつてないほどの安堵があふれると同時に、怒るゆとりも生まれた。
 クインの瞳に怒りの炎が揺らめくのを見て、ロウィーナはひるんだ。
「頭がおかしくなったのか?」信じられないというように、ざらついた声で彼が尋ねた。
「車まで遠いの?」自分の愚かさに言い訳の余地はないので、ロウィーナは話題を変えた。
 聞き取れなかったのか、クインは眉を寄せて顔を近づけた。ロウィーナの凍りついた顔に彼の息が温かく吹きかかる。彼女は質問を繰り返した。
「それほどじゃない。ぼくは方向感覚がいいしね」彼女をあわてさせても意味がない、とクインは思った。本当は、ロウィーナのあとを夢中で追っていたため方向を失っていた。恐ろしい勢いで降り積もる雪の中、目印を見つけるのはむずかしかった。
「あなたにもわからないんでしょう?」ロウィーナは彼の言葉を正しく解釈した。
 クインは答えなかった。ただ、ロウィーナのジャケットの襟を立て、彼女の顔をしっかりと手ではさんで強く唇を重ねた。
 クインの唇は冷たいはずだ。わたしのはもっと冷たいに違いない。ロウィーナはうつろな頭で思ったが、巧みにこすれ合う唇はとても温かかった。まさぐる唇に促されて彼女の唇が簡単に開くと、クインの舌が口の奥深くを飢えたように求めた。ロウィーナの体にけだるい感覚が広がり、炎となって熱くとろける。彼女は喉の奥から声をあげ、自分のしなやかな体を、固く男らしい体に押しつけた。
 クインがキスをやめて顔を上げたとき、ロウィーナの唇から小さな抗議の声がもれた。
「まったく、きみという女性は」クインは唇の端に苦笑を浮かべた。
「あなたから始めたくせに」わたしがすっかり自制心を失っていたことは確かだけれど。ロウィーナはばつが悪くなって咳払いした。
 反抗的な彼女の顔を一瞥したあと、クインは保温性の布で裏打ちされた革の手袋を自分の手から外して、冷えきった彼女の手にすべらせた。
 ロウィーナはやめさせようとした。「でも……」
「一度くらいは黙っていたまえ」クインは言って、最後にもう一度彼女のジャケットの襟を直した。
 キスのショックでロウィーナがまだ呆然としている間に、クインは百七十八センチの彼女の体を軽々と肩に担ぎ、大股で歩き出した。
「快適かい?」
「いいえ!」ロウィーナは拳で広い背中を二度たたき、“野蛮人”と叫んだが、それは形だけの抵抗だった。ぶざまな運ばれ方でも、疲れ果てたいまの状態では真剣に逆らうことができなかった。幸い、見ている人は誰もいない。彼女は限られた範囲でできるだけ居心地のいい体勢をとった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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