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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル

伯爵の無垢な乙女

伯爵の無垢な乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリザベス・ロールズ(Elizabeth Rolls)
 イギリスのケント生まれ。父の都合で幼少期を過ごしたオーストラリアのメルボルン、パプア・ニューギニアの生活が執筆に興味を抱くきっかけとなった。ニューサウスウェールズ大学では音楽学を専攻し、音楽教師も経験。現在はメルボルンで夫と犬、猫と暮らしている。

解説

父が戻ってくるまで、伯爵の屋敷で愛人として暮らすなんて!

上流階級の生まれのルーシーは極貧生活を強いられている。母が亡くなる前から賭博に手を出した父があちこちで借金を作り、そのたびに夜逃げを繰り返してきたから。父が突然姿を消した今、路上でバイオリンを弾いて恵んでもらうお金だけが唯一の収入だ。ある日、ルーシーの住まいに背の高いハンサムな紳士が現れた。わたしをこんな生活から連れ出してくれる、夢の人……? だがルーシーの期待も空しく、その紳士――キャンボーン伯爵は険しい顔で彼女の父親を出せと言った。莫大な借金があるというのだ。父の居所にまったく心当たりがないとルーシーが震えながら告げると、伯爵は灰色の目を細めて、残酷な提案をした。

■上流階級の娘でありながら貧しい暮らしを強いられるルーシーと、広大な屋敷で何不自由なく育った伯爵のジェームズ。本来なら出会うはずもなかった二人の間に芽生えた恋の行方は? 不遇にめげずひたむきなヒロインに涙する、エリザベス・ロールズの感動作。

抄録

 彼の腕が伸びてきても、ルーシーは逃げずにどうにかその場に踏みとどまっていた。そっと引き寄せられると、とっさに手を彼の胸に置いた。額に熱い息がかかり、男らしいにおいに包まれる。すると体の奥がきゅっと締めつけられ、頭がくらくらしてきた。こんな気持ちになったのは初めてだ。
 額にそっと彼の唇が押し当てられると、ルーシーの息はとまりそうになった。彼がキスよりももっと多くのことを要求してきたら、どうすればいいの?
 その思いを見透かしたように彼女を抱きしめる彼の腕に力がこもった。「顔を上げて、お嬢さん」
 ルーシーはおそるおそる彼の目をのぞきこんだ。
 彼はルーシーの額に唇をつけたままつぶやいた。「キスしかしない。それは約束する」そう言うと、唇を彼女の耳、顎、さらには首元へと下ろしていった。それから再び顔を上げ、ゆっくりと唇と唇を重ねた。
 ジェームズの理性は吹き飛んでしまいそうだった。ルーシーがあまりにうぶなかわいい反応をするからだ。いったい何を期待していたんだ? もちろん彼女はキスの仕方なんて知らないだろう。最初は唇を軽く触れ合わせた。彼女の反応が見たかったのだ。それから唇を重ねたまま舌でそっとなぞった。するとルーシーの唇が吐息とともにふっくらと開き、彼女の味が口に広がった。甘く刺激的だが、どこまでも純真な味だった。ジェームズは意志の力を振り絞ってどうにか唇を離した。
「今度は」彼はささやくように言った。「きみからぼくにキスしてくれ」
 ルーシーは体を引いて彼を見つめた。頭がくらくらしている。これが本当のキスなの? なんと言えばいいのだろう? 彼の男らしい味はまだ舌に残っている。「でも……私はもうあなたにキスしたわ」
 彼は笑みを浮かべた。それだけでルーシーの理性はどこかに行ってしまいそうになった。「いや、さっきのはキスじゃない。たった今、教えただろう。さあ、キスしてくれ。ぼくがキスしたように」
 ルーシーは手を握りしめた。「キスしなかったらどうするの?」
 彼の笑みが広がった。「がっかりするだろうな」
 キャンボーンは自分の望むものを無理やり手に入れられるのに、なぜそうしないのだろう? ルーシーはぼんやりと考えた。キスだけでなく、望むものはなんでも手に入れられるのに。いや、それ以上のものを望んでいるのだ。私を屈服させたいのだ。キスしたいという気持ちに私をさせたいのだ。
 あと一度だけキスするだけよ。
 ああ、でもそれだけではすまされないかもしれない。きっぱり拒絶すれば、彼も無理やりしようとはしないだろう。でも私の不埒な心が、彼にキスしたいと訴えている。彼の味を再び感じたいと願っている。
「わかったわ」
 ジェームズの心は揺さぶられた。ルーシーはこれからキスしようとしている女性には見えなかった。まるでライオンに立ち向かう殉教者のような顔をしている。彼はゆっくりと息を吸いこんだ。自分がならず者だったら、キスだけで我慢せず、彼女を貪りつくしていただろう。でもキスだけだと約束したのだ。これから聖人並みの精神力が必要になりそうだ。
 小さな手がジェームズの肩に置かれ、もう片方の手が腰にまわされた。ルーシーは再び爪先立ちになった。彼が体をかがめると、彼女の唇が彼の唇にそっと押し当てられた。しばらくそのままだったが、やがて彼女の唇がためらいがちに動いた。それはいかにもぎこちなかったが、こんなかわいいキスをされたことがなかった。とたんに下半身がずきんと脈打って硬くなっていく。彼女の舌がいかにも恥ずかしそうに彼の唇に触れると、炎が体を駆けめぐり、理性まで焼きつくされそうになった。
 キスだ。これはただのキスだ。
 そう思いこもうとしたが、もう我慢できなかった。ジェームズはとっさにルーシーを引き寄せ、荒々しく唇を重ねた。ルーシーは驚いたように息をもらしたが、それでも彼を受け入れ、キスを返してきた。
 ルーシーの唇はどこまでも甘かった。舌をさらに奥に差し入れると、彼女の舌と絡み合った。彼女の舌はまだぎこちなかったが、こんなにも欲望を駆りたてられたことはない。繊細な曲線を描く彼女のほっそりした体はどこもかしこもやわらかく、彼の体にぴたりと寄り添っている。これだけでは足りない。もっと彼女がほしい。味わいつくしたい。
 欲望に負けてしまいそうになったが、ジェームズはやっとの思いで理性を呼び戻して唇を離し、額と額をくっつけた。
 無垢な女性を誘惑するのにはルールがある。下半身がどれだけ熱くなっても、それを破ることはできない。ルーシーに男性経験がないことは火を見るよりも明らかだ。
 ジェームズは彼女を見下ろした。うるんだ緑色のまなざしが彼を見返している。頬は赤く染まり、唇はキスの余韻を残して半開きになっている。もしもう一度キスしてしまえば、途中でやめられなくなるだろう。
 彼女は声を震わせて言った。「これで……終わりでいいの?」
 ジェームズの心は終わりにしたくないと叫んでいた。「ああ」キスしかしないと約束したのだから、名誉にかけて守らなくてはならない。そうは思ったが、ルーシーから手を離せなかった。片手は彼女の腰にまわされ、もう片方の手は彼女のうなじに当てられていた。彼は震える口で息を吸うと後ろに下がり、ようやく手を離した。
 ルーシーも息を吸いこんだ。彼はキスだけでやめてくれた。けれども、なぜか満ち足りない思いが体にくすぶっていた。


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