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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

シンデレラの宿した奇跡

シンデレラの宿した奇跡


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 フィオナ・ブランド(Fiona Brand)
 ロマンス小説を書くことを除けば、自分の人生はごくありふれた平凡なものだと彼女は言う。作家としてデビューする前は、八年間ニュージーランド林野局に勤務していた。現在は二人の息子とともに、亜熱帯にある釣りやダイビングの楽園、ベイ・オブ・アイランズに暮らす。

解説

どんなしがらみも嫌う彼。愛も子供も、きっと拒まれてしまう……。

“定められた期限までに、結婚しなければならない”養父を亡くし悲しみに暮れるエヴァに、奇妙な遺言が突きつけられた。10代の頃に判明した疾患で出産も結婚もあきらめていたが、身寄りのない彼女を救ってくれた養父の望みなら、従うほかない。だが、花婿探しは養父の血縁で初恋の大富豪カイルにことごとく邪魔される。そして期日が目前に迫ると彼は言った。「仕方ない。僕が結婚してやろう」ただし、子供は作らないのが条件。本気なの?かつて私を捨てた彼が?でも、彼の逞しい身体も透き通る青い瞳も、初めて恋を知った時のまま――エヴァはカイルへの想いに抗えず、結婚を承諾し純潔を捧げた。まさか妊娠が現実となるとは考えもせずに……。

■高い人気を得たF・ブランドのミニシリーズ〈ギリシアの恋人〉の関連作をお贈りします。天涯孤独の悲しい宿命を背負って生き抜いてきたエヴァ。初恋の相手カイルのことを忘れられずにいましたが、彼は愛など信じないからと、簡単に便宜結婚を持ちかけてきて……。

抄録

 カイルは上着を運転席の後ろに放り投げると、助手席側のドアを開けるために車の前をまわった。しかしエヴァはすでにシートベルトをはずし、自分でドアを開けているところだった。彼女がのばした脚の美しさに目を奪われて、カイルは息をのんだ。足首に巻きついた細いチェーンが、彼を誘惑するかのようにきらりと光った。「長くは散歩できないよ。予報では、雨になるそうだから」
 雨というより、嵐という予報だった。北の方角からかすかな雷鳴が聞こえ、たっぷり水分をふくんだ雲からいつ雨粒が落ちてきても不思議はなかった。
「そんなの平気よ」エヴァが風に乱れる亜麻色の髪の下から彼を見あげた。わざとではないだろうが、なんとも色っぽい視線だった。
 ふいに、裾を断ち切ったデニムのショートパンツに、ビキニのトップスを着た十七歳のエヴァが、どこまでも続くドルフィン・ベイの浜辺を走る姿が浮かんできた。浜辺にいた男たちが、うっとりとした目でエヴァを見つめていた。
 カイルが車をロックしてビーチに向かったとき、エヴァはすでに波打ちぎわの、固くなめらかな砂の上に立っていた。不思議なくらい、リラックスしている。
「ああ、すてき。わたし、嵐の前のこの感じが大好きなの」
 エヴァは近づいてくるカイルを、まるで値踏みでもするかのような目で見た。
「歩きましょうか?」
 これまでずっと彼を避けてきたエヴァがその方針を変えたらしいと知って、カイルは思わず歯を食いしばった。アイリッシュパブの外で、彼女が発した問いはどうやら本気だったようだ。“あなたのプロポーズだけど、いまでもまだ有効かしら?”あのときからこのビーチにやってくるまでのあいだに、エヴァは彼を結婚相手のひとりとして考えるようになったようだ。その証拠に、彼の勤務時間だの趣味だのについて、あれこれたずねてきた。いま思えば、あれは一種の面接試験だったに違いない。
 カイルはなぜか、十九歳の自分を思い出した。当時の彼は、エヴァのなにもかもを知りたくて必死だった。いまとは逆のパターンだ。あのころのエヴァは自信にあふれて、暮らしにも満足していたから、近づくのは難しかった。
 しかし、夏も終わりに近づいたある日、カイルはビーチで彼女にしつこくつきまとった年上の男から、彼女を救った。その日を境に、エヴァの彼に対する態度ががらりと変わった。そしてカイルは、自分が彼女のテストに合格したことを知った。
 エヴァは足首まで水につかって、子どものように無心に波とたわむれていた。しかし、ふいに振り向くと彼の唇をじっと見つめ、すぐまた視線をそらした。
 カイルは体をこわばらせて、彼女の次の行動を待った。エヴァは、カイルが彼女を求めていることに気づいている。昨夜のことがあって、カイルはその機会を永遠に失ったと思ったが、この二十四時間でなにかが急激に変わった。
 稲妻がぴかりと光ったかと思うと、雷鳴がとどろき、すぐに大粒の雨が落ちてきた。
 カイルは車に戻ろうと合図したが、嵐に興奮したエヴァは彼の手を取ると、ポフツカワの巨木の下まで引っぱっていった。ニュージーランドのクリスマスツリーと呼ばれている木だ。
 大きく枝を張る大木の下に入ったとたん、かすかに聞こえてくる波音や、茂った葉の隙間からもれてくる駐車場の明かりが、ふたりをドルフィン・ベイのあのときに引きもどした。
 カイルが昔と同じように、いきなりエヴァを抱きよせて、両手で顔を包みこんだ。
 いつものエヴァなら、そういった危機を巧みに回避できたはずだった。しかし、アイリッシュパブで彼が隣のスツールにすべりこんできてからというもの、彼女の心はバランスを崩していた。こともあろうに相手は、ここ数カ月彼女をつけまわし、次々と花婿候補を追い払った人間だというのに。
 しかしエヴァは、もうこれ以上彼を拒みたくなかった。何年も前、彼女はカイルを愛し、失った。それと同時に、妻となり母になるという夢もまた指のあいだからこぼれていった。カイルはその後、別の女性を愛したが、彼女にはカイルのほかに誰もいなかった。それがいま、奇妙な運命のめぐり合わせで、ふたたびチャンスが訪れようとしている。冷静に考えるべきなのはわかっていたが、吹き荒れる嵐のなかに身をおいたいま、エヴァが望んでいたのは、ただ彼を感じることだけだった。
 エヴァは彼の胸にてのひらをおき、肩先まですべらせた。カイルは驚くほど速く反応し、彼女を強く引きよせた。彼の吐息がエヴァの唇にかかった。「ビーチには不思議な力がある」彼がぽつりとつぶやいた。
 エヴァは頭が真っ白になるほどの情熱に駆られ、爪先立ちになって彼の首に腕をまわすと、唇を重ねた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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