和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>シルエット・ディザイア
ボスは独身主義
著: アネット・ブロードリック 翻訳: 山野紗織発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイア
価格:525円(税込)
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著者プロフィール
アネット・ブロードリック(Annette Broadrick)
シルエット・シリーズを代表する人気作家。ロマンスと人生の奇跡を信じ、ミズーリ州オザーク湖畔でロマンス小説を執筆する日々を過ごす。’84 年のデビュー以来、想像力に富んだ斬新な作風で読者を魅了し、ロマンティックタイムズ誌で数多くの賞を獲得している。
シルエット・シリーズを代表する人気作家。ロマンスと人生の奇跡を信じ、ミズーリ州オザーク湖畔でロマンス小説を執筆する日々を過ごす。’84 年のデビュー以来、想像力に富んだ斬新な作風で読者を魅了し、ロマンティックタイムズ誌で数多くの賞を獲得している。
解説
若き経営者にしてシカゴ財界の有力者ディーン・ローガン。それが、秘書ジョディが五年もの間仕えてきた人物だ。仕事中の彼は厳格で笑顔ひとつ見せたことがない。そのくせ、私生活では群がる美女たちと短い交際を繰り返し、しばしばジョディに後始末を押しつけている。わたしのことなんて便利な機械としか思っていないんだわ。彼女はなかばあきらめの境地に達していた。ところが、そんな彼に異変が起きた。目下の恋人にふられたのだ。呆然とする上司を見かねてバカンスをとるよう勧めたところ、ディーンは急に目を輝かせ、彼女にハワイへの同行を命じた。
★シルエット・シリーズを代表する人気作家アネット・ブロードリックが登場。★
★シルエット・シリーズを代表する人気作家アネット・ブロードリックが登場。★
抄録
ホテルにチェックインすると、ジョディは居間のバルコニーからの眺望がすばらしいことに気がついた。その部屋をはさむようにして、二人の寝室がある。
二人はスティーヴ・フルカワの会社で彼と会い、仕事の概要を説明した。ディーンは質問にくわしく答え、スティーヴが満足すると、翌朝の作業開始時間を決定した。
スティーヴは夕食の誘いに応じたが、ジョディは辞退した。ディーンが部屋を出ると、彼女は軽装に着替え、長々とビーチを散策しながら考えた。
もう困難な事実から目をそむけることはできない。私はディーン・ローガンに恋している。いつからかは定かでないが、その事実は疑いない。ふたたびディーンとともにいて、彼への気持ちが冷めたというのは自己欺瞞《ぎまん》だと知った。もちろん、彼への欲望のままに行動するつもりはない。それほど愚かでも、自滅的でもないから。
彼を思いきる方法を学べるような団体がどこかにないかしら、とジョディは思った。あるなら、ぜったい参加するのに。
ホテルに戻るころには、運動の効力が表れていた。心地よい疲労感に包まれ、これなら眠れそうだ。明日は長い一日になるのだから。
スイートルームのドアを開けたジョディは、ディーンがいるのを見て驚いた。バルコニーの椅子に座り、別の椅子に足をのせて、酒を飲んでいる。
「夕食はいかがでした?」ジョディは歩み寄って尋ねた。
ディーンは足をどけて、ジョディに座るよう、うながした。「料理はうまかったし、スティーヴをさらに知ることができて楽しかったよ。簡単な家族の歴史を教えてくれてね。ずいぶん前に日本からハワイに来たいきさつも話してくれた。おもしろい男だよ」
ジョディは座って素足を手すりにのせた。「ここは魔法のような雰囲気がありますね。花の香りにそよ風。別の世界があることをつい忘れてしまいます」
「波打ち際を君が散歩するのを眺めていたんだ。君を見つけて、ほっとしたよ。戻ったとき、姿がなくて心配したから」
「こんなに早く戻られるとは思わなかったんです」
「スティーヴが家族のもとへ帰りたがったんだ。彼の息子や娘たちの話を聞くのは楽しかった。まさに自慢の子供たちだよ」
「あなたには始終驚かされますね」
「どんなふうに?」
「だって、あなたが子供の話に耳を傾ける姿なんて思い浮かびませんもの」
「なぜだ?」
ジョディは肩をすくめた。「家庭人に見えないからです」ディーンが返事をしないので、彼女は言い添えた。「気分を害するつもりじゃなかったんです」
「べつに気分は害していないよ。自分も家庭人と思ったことはないから、たぶん君の言うとおりさ」二人でしばらく夜気を楽しんだのち、ディーンが言った。「もう寝るよ。それじゃあ」彼が立って伸びをすると、ジョディも背筋を伸ばして立ちあがった。
中に入ると、ディーンはランプを消し、部屋を月明かりに照らさせた。
「今回の機会を与えてくださってありがとうございます、ディーン」
「どういたしまして。君といると、マゾヒスティックな喜びを覚えるようだよ」
「どういう意味ですか?」
「わからないふりをするなよ、ジョディ。僕は君を抱きたくて始終うずいている。しかも、それは君がそばにいないときなんだ」
ジョディは、暗闇《くらやみ》のせいで紅潮した顔と体のふるえが見えませんように、と祈った。「知りませんでした」彼女はか細い声で言った。
「実例を見たいか?」そう言って、ディーンはジョディに歩み寄り、抱擁した。最初、キスはやさしかった。体をつかまれていても、彼女は容易に振りほどけただろう。そんな彼のやさしさに、ジョディは負けてしまうのだ。
すぐにキスは熱をおび、ジョディはディーンにきつく抱き寄せられた。彼の興奮は明らかだ。
頭の中で警報が鳴った……それともベル? わからないが、今はかまわなかった。ジョディは両腕を彼の首にまわすと、抑えこんでいた愛情と情熱をぶつけるようにキスを返した。
体を離したのはディーンだった。「すまない。弁解の余地がない」彼は踵《きびす》を返して寝室へ向かった。「おやすみ」
おやすみ?
あんなふうにキスをしておいて、ただ“おやすみ”なの?
ジョディは全身が期待でうずいていた。ふるえで立っているのがやっとなほどだ。彼女は気を落ち着けるように深呼吸した。ディーンは自分で始めたことをよくも中途半端で終わらせられるものだ。
いや、私は感謝すべきなのだ。彼の自制心に。
ジョディは向きを変えて寝室に行きかけてから、まわれ右をして部屋を横切った。閉じられたディーンの戸口まで行くと、ノックもせずにドアを開けた。姿は見えないが、彼がいるのはわかる。
「最低の悪ふざけです、ディーン・ローガン! 自分で始めたくせに、なにごともなかったように去っていくなんて!」
ジョディは乱暴にドアを閉めて自分の部屋へ戻り、そちらのドアもばたんと音をたてて閉めた。
なんて男! 私にデートを断られたからって。たしかに彼とベッドをともにするのは最悪の選択だと承知しているけれど、だからといって、あんな情熱的なキスを交わしたあと、すんなり去れるわけがない。
やっぱり私は情事を求めているのかもしれない! どうせディーンが私とそれ以上の関係になるはずはないのだから。
ジョディはバスルームに行って服を脱いだ。もう少し冷静になるまで、シャワーを浴びよう。
栓をひねると、水が温まるのを待たずに中に入った。ほてった体には冷水の衝撃が必要だからだ。顔にしぶきを浴び、どうにか欲求不満をやわらげ、感情を抑えた。
だから、背後でシャワー室のドアが開き、裸身に笑みを浮かべたディーンが入ってくるまで、彼が来たことに気づかなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
二人はスティーヴ・フルカワの会社で彼と会い、仕事の概要を説明した。ディーンは質問にくわしく答え、スティーヴが満足すると、翌朝の作業開始時間を決定した。
スティーヴは夕食の誘いに応じたが、ジョディは辞退した。ディーンが部屋を出ると、彼女は軽装に着替え、長々とビーチを散策しながら考えた。
もう困難な事実から目をそむけることはできない。私はディーン・ローガンに恋している。いつからかは定かでないが、その事実は疑いない。ふたたびディーンとともにいて、彼への気持ちが冷めたというのは自己欺瞞《ぎまん》だと知った。もちろん、彼への欲望のままに行動するつもりはない。それほど愚かでも、自滅的でもないから。
彼を思いきる方法を学べるような団体がどこかにないかしら、とジョディは思った。あるなら、ぜったい参加するのに。
ホテルに戻るころには、運動の効力が表れていた。心地よい疲労感に包まれ、これなら眠れそうだ。明日は長い一日になるのだから。
スイートルームのドアを開けたジョディは、ディーンがいるのを見て驚いた。バルコニーの椅子に座り、別の椅子に足をのせて、酒を飲んでいる。
「夕食はいかがでした?」ジョディは歩み寄って尋ねた。
ディーンは足をどけて、ジョディに座るよう、うながした。「料理はうまかったし、スティーヴをさらに知ることができて楽しかったよ。簡単な家族の歴史を教えてくれてね。ずいぶん前に日本からハワイに来たいきさつも話してくれた。おもしろい男だよ」
ジョディは座って素足を手すりにのせた。「ここは魔法のような雰囲気がありますね。花の香りにそよ風。別の世界があることをつい忘れてしまいます」
「波打ち際を君が散歩するのを眺めていたんだ。君を見つけて、ほっとしたよ。戻ったとき、姿がなくて心配したから」
「こんなに早く戻られるとは思わなかったんです」
「スティーヴが家族のもとへ帰りたがったんだ。彼の息子や娘たちの話を聞くのは楽しかった。まさに自慢の子供たちだよ」
「あなたには始終驚かされますね」
「どんなふうに?」
「だって、あなたが子供の話に耳を傾ける姿なんて思い浮かびませんもの」
「なぜだ?」
ジョディは肩をすくめた。「家庭人に見えないからです」ディーンが返事をしないので、彼女は言い添えた。「気分を害するつもりじゃなかったんです」
「べつに気分は害していないよ。自分も家庭人と思ったことはないから、たぶん君の言うとおりさ」二人でしばらく夜気を楽しんだのち、ディーンが言った。「もう寝るよ。それじゃあ」彼が立って伸びをすると、ジョディも背筋を伸ばして立ちあがった。
中に入ると、ディーンはランプを消し、部屋を月明かりに照らさせた。
「今回の機会を与えてくださってありがとうございます、ディーン」
「どういたしまして。君といると、マゾヒスティックな喜びを覚えるようだよ」
「どういう意味ですか?」
「わからないふりをするなよ、ジョディ。僕は君を抱きたくて始終うずいている。しかも、それは君がそばにいないときなんだ」
ジョディは、暗闇《くらやみ》のせいで紅潮した顔と体のふるえが見えませんように、と祈った。「知りませんでした」彼女はか細い声で言った。
「実例を見たいか?」そう言って、ディーンはジョディに歩み寄り、抱擁した。最初、キスはやさしかった。体をつかまれていても、彼女は容易に振りほどけただろう。そんな彼のやさしさに、ジョディは負けてしまうのだ。
すぐにキスは熱をおび、ジョディはディーンにきつく抱き寄せられた。彼の興奮は明らかだ。
頭の中で警報が鳴った……それともベル? わからないが、今はかまわなかった。ジョディは両腕を彼の首にまわすと、抑えこんでいた愛情と情熱をぶつけるようにキスを返した。
体を離したのはディーンだった。「すまない。弁解の余地がない」彼は踵《きびす》を返して寝室へ向かった。「おやすみ」
おやすみ?
あんなふうにキスをしておいて、ただ“おやすみ”なの?
ジョディは全身が期待でうずいていた。ふるえで立っているのがやっとなほどだ。彼女は気を落ち着けるように深呼吸した。ディーンは自分で始めたことをよくも中途半端で終わらせられるものだ。
いや、私は感謝すべきなのだ。彼の自制心に。
ジョディは向きを変えて寝室に行きかけてから、まわれ右をして部屋を横切った。閉じられたディーンの戸口まで行くと、ノックもせずにドアを開けた。姿は見えないが、彼がいるのはわかる。
「最低の悪ふざけです、ディーン・ローガン! 自分で始めたくせに、なにごともなかったように去っていくなんて!」
ジョディは乱暴にドアを閉めて自分の部屋へ戻り、そちらのドアもばたんと音をたてて閉めた。
なんて男! 私にデートを断られたからって。たしかに彼とベッドをともにするのは最悪の選択だと承知しているけれど、だからといって、あんな情熱的なキスを交わしたあと、すんなり去れるわけがない。
やっぱり私は情事を求めているのかもしれない! どうせディーンが私とそれ以上の関係になるはずはないのだから。
ジョディはバスルームに行って服を脱いだ。もう少し冷静になるまで、シャワーを浴びよう。
栓をひねると、水が温まるのを待たずに中に入った。ほてった体には冷水の衝撃が必要だからだ。顔にしぶきを浴び、どうにか欲求不満をやわらげ、感情を抑えた。
だから、背後でシャワー室のドアが開き、裸身に笑みを浮かべたディーンが入ってくるまで、彼が来たことに気づかなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2006/12/5
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小説・ノンフィクション>ハーレクイン>リゾート/バカンス
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