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意地っ張りウエディング〜愛する人と政略結婚!?〜

意地っ張りウエディング〜愛する人と政略結婚!?〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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解説

こんなに綺麗なのに、恥ずかしいのか
両片思いな二人のすれ違い新婚LOVE

「……こうされるのは、気持ちいいか?」──ジョゼットは、公爵家の嫡男テオフィルに、幼い頃から想いを寄せていた。だが、彼を前にすると素直になれず、ひどい態度をとっては落ち込む日々。ある日、二人の結婚が王の命令で決まり、ジョゼットは喜びと不安を感じる。初夜でも意地を張ってしまうジョゼットにテオフィルはやさしく触れてきて……。


※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 手伝いの侍女たちが出ていくと、あとはテオフィルが来るのを待つだけだった。
 色とりどりの花びらがちりばめられたベッドに座り、深いため息をつく。
(だ、大丈夫かな)
 すでに緊張しすぎて気持ち悪い。
 これからテオフィルとふたりきりになって、身体のあちこちに触れられるのだと思えば、生きている心地がしない。
 どんな体勢をさせられても、決して怒らないこと。
 そう教えられたけれど、一体どんな体勢をさせられるのか想像もできない。
(ちゃんと、教えられたとおりできるかしら)
 恥ずかしくて仕方がない。それ以上に、失敗しないかどうかが心配だった。
 もし、これが上手くいかなければ、ジョゼットはテオフィルの妻になることができない可能性がある。こんな格好を晒す相手など、一生にひとりだけでいい。
 その相手が、好きなひとであるジョゼットは幸せだ。
(今、……テオフィルは、どんな気持ちなのかな)
 これから行うことは、子を成すため。という確固とした目的がある。
 たとえジョゼットを気に入らないと思っていても、行わなくてはならないことなのだから、テオフィルは義務的にでも遂行しようとするだろう。
(……そ、そうよね。しなくてはならないことなんだから、別に、なんとも思わないようにすればいいのよね)
 裸を見られるということを意識するからおかしくなるのだ。
 これはしなければならないことだ。世の中のどんな夫婦でも当たり前にしていることなのだから、恥ずかしいと思う必要なんて、本来ないはずだ。
 冷静になるため、ジョゼットは大きく深呼吸をした。
 儀式は早ければ三十分くらいで終わるとも聞いている。
 少しだけ我慢すればいい。そう思うと、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
(そういえば、痛みを伴うかもしれないって聞いたけど……、どれくらい痛いのかしら)
 母ルイーズから、耐えられないくらい痛みを感じたときはこれを噛みなさいと、やわらかな綿のハンカチを渡されている。
(耐えられないくらいの痛み……なの?)
 ただ、ひとによって痛みがまったくない場合もあるらしい。ジョゼットはどちらなのだろう、できれば痛みがないほうがいい。
(怖い……)
 ぎゅっとハンカチを握りしめたとき、ノック音が響いた。
 ジョゼットはびくりと肩を揺らし、薄い布では隠しきれない乳房を手で押さえる。それから、声を震わせないよう気をつけて、
「どうぞ」
 と声をかけた。
 ゆっくりとドアが開き、現れたのは、ジョゼットほどではないにしろ薄い布を羽織ったテオフィルだった。
「隣に座っていいか」
「……ええ」
 頷くと、テオフィルはジョゼットの隣に腰を下ろす。
 ふたりは並んで座ったまま、しばらく無言だった。テオフィルはなにもしようとしてこない。
(儀式……、まだ始めないのかしら……)
 ドキドキという心音がうるさい。
 聞いたほうがいいのかもしれないが、聞けば儀式が始まってしまう。そうなると胸を隠す手を避けなければならないし、あますところなくテオフィルに見られるのだと思うと、勇気が必要だった。義務的なことだと何度も言い聞かせてみても、こうしてテオフィルが隣にいる状態では、気休めにもならない。
(……さっさと、始めてくれないかな)
 始まってしまえば三十分で済むはずなのだから。
 落ち着かないまま、ジョゼットの指先は小刻みに震えている。気づかれないように、手を動かしていると、ようやくテオフィルが声をかけてきた。
「嫌なら、今日はやめるか?」
 その言葉に驚いてしまった。やめるという選択肢がジョゼットの中にはなかったから。
「どうして?」
 反射的にテオフィルのほうを見ると、視線が絡む。
 間近にあるテオフィルの顔に、ぞくりと肌が粟立つ。彫りの深い精悍な顔立ち。鋭い鳶色の瞳。そのどれもが熱っぽく思えた。
「し、初夜は、結婚の大切な儀式でしょ? 儀式に失敗すれば、笑いものになることぐらい、あなただって知っているはずよ?」
 逃げ出したくなる気持ちを必死に抑え、ジョゼットは気丈に振る舞う。
「君の気持ちを尊重したい」
「どういう意味?」
「先ほどから、震えている」
 どうやら、心配してくれているらしい。
 テオフィルが、ジョゼットのことを考えてくれた。嬉しすぎてそれだけで気持ちが舞い上がり、思考が完全に停止してしまう。
「──ば、馬鹿にしないで。貴族の娘として生まれた以上、務めを果たすことの覚悟はしてるわ」
 気づいたときには、テオフィルを睨みつけてきつい口調で言い放っていた。
 いつもの悪癖だ。内容自体は思っていたことに相違ないのだが──
「そうだな。……務めか」
 言われたテオフィルは、まるで自分に言い聞かせるように小さな声でつぶやく。それを聞き、ジョゼットは不安になった。
(もしかして、テオフィルはわたしのことを心配していたんじゃなくて、テオフィルがわたしを相手にするのが嫌だったのかしら……)
 可能性があるだけに、胸が痛い。
 夫婦になるのであれば、これは『やらなくてはならない儀式』であり、言い換えれば、いくらテオフィルが嫌がったとしてもジョゼットに『触れなければならない』儀式だ。
 もし、こんな大事な儀式をやめてしまうくらいジョゼットのことが嫌なのであれば、今後もなんらかの理由をつけてジョゼットに触れることを拒むかもしれない。

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