和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>ハードボイルド小説
著者プロフィール
龍 一京(りゅう いっきょう)
元警察官、そして作詞家であり歌手、現在はエンターテイメント作家として活躍中。「小説は作家から読者への一方通行であり、読者のみなさんとのコミュニケーションが無いのが残念だ」という考えから、日本全国で積極的に講演会を開催している。『非情刑事』『非情刑事2』『非情刑事3』『女豹復讐鬼』『女豹狩り』『女豹闇稼業』など著書多数。
元警察官、そして作詞家であり歌手、現在はエンターテイメント作家として活躍中。「小説は作家から読者への一方通行であり、読者のみなさんとのコミュニケーションが無いのが残念だ」という考えから、日本全国で積極的に講演会を開催している。『非情刑事』『非情刑事2』『非情刑事3』『女豹復讐鬼』『女豹狩り』『女豹闇稼業』など著書多数。
解説
美貌ゆえ、男の毒牙にもてあそばれる女たち。彼女たちは愛情と欲望の世界で苦しみ、淫欲の魔手に犯されていく――。
昼は、結婚相談所の経営者。夜は、女性を手玉にとる男たちを密かに処分する裏稼業に奔走する女・真希。2つの顔をもつ真希の残酷な処刑方法とは? 官能の渦から醒めた男の恐怖が始まる!
昼は、結婚相談所の経営者。夜は、女性を手玉にとる男たちを密かに処分する裏稼業に奔走する女・真希。2つの顔をもつ真希の残酷な処刑方法とは? 官能の渦から醒めた男の恐怖が始まる!
目次
血と悦楽の迷路
華麗なる報復
夜の生贅《いけにえ》
綾《あや》なす淫交
華淫の痺れ
華麗なる報復
夜の生贅《いけにえ》
綾《あや》なす淫交
華淫の痺れ
抄録
(あれ、この音は――)
真希は耳を澄ました。水の流れる音が、かすかに聞こえてくる。じっと聴き耳を立てていた真希の顔が、次第に緊張していく。
ふと、加津子のあらわな姿態を思い出した。
真希は路代に、声を落としていった。
「この音、ビデオに録音されていた音に似てない」
「……ほんとだ」
目を伏せ、耳に神経を集中させて外の音を聞いていた路代が、その顔を上げて大きくうなずいた。
「神田川の水が流れる音なんだ。それに、このビルのすぐそばを都電の荒川線が走っているわ。それからこの部屋の作り、ビデオの映像に出ていたのとよく似ていると思わない?」
真希の言葉に、路代はあらためて部屋の中を見回し、興奮気味に声を抑えていった。
「間違いない。たしかこの部屋よ。あ、そうか、助手の男なら、ここにきていた加津子さんを知っていても当然よね。そういえばあの男、嫌な眼付きをして私たちのこと、ジロジロ見てたわ」
「客が帰ったあと、この部屋を自由に使えるのは、あの男か妙真しかいない。こうなったら、助手の男の血液型を調べることね」
といい終えた真希の耳に、床をするようなスリッパの音が聞こえた。
正面から攻撃を仕掛けてやろう。と考えながら、二人は何食わぬ顔をしていた。
「どうぞ」
声を掛けた山崎に案内されて、二人はべつの部屋へ入った。部屋の正面には、金色の布を敷きつめた三段の祭壇があった。
観音像や、不動明王などの像が祀《まつ》られ、燭台や香炉が置いてある。
そして中央最下段には、直径二十センチはあると思われる白い鉢に植えられたウバタマが飾られていた。仏とサボテンの、妙な組み合わせだった。
が、その違和感がまた、なぜか特殊な環境を作り出していた。
長い髪を垂らした妙真が紫色の法衣をまとい、静かに座っていた。
一種独特な雰囲気を持った女性だった。
二人は妙真の前に敷いてある座布団の上に正対して、妙真を見付めた。
妙真はゆっくり目を開けた。二人の顔をジッと見付めながら、おごそかに落ち着いた声で語り掛けた。
「お二人とも、顔にくもりが出ています。大きな悩みごとを抱えていますね」
「はい、実は教えていただきたいことがありまして」
真希は真面目な顔をして、神妙にいう。
「霊のお力を持ってすれば、どんなことでも解決できます。このウバタマが、私に霊力を与えてくれるのです」
妙真はやうやうしく頭を下げた。
「そうですか……実は私の知り合いで、二宮加津子という女性と根本寿夫という男性がいたんですが、二人とも最近殺されました」
真希は、ずばり切り込んだ。
一瞬、妙真の顔がビクッと引きつる。真希はその表情の変化を見逃さなかった。冷静さをよそおってはいるが、目に落ち着きがない。動揺した気持ちを抑えようとしているのは明らかだった。
「しかも女性は裸にされ、ビデオに撮られていた。ところが妙なことに、ビデオに映っていた部屋が隣の控え室と同じ場所ですし、どう解釈すればいいんでしょうね」
真希は耳を澄ました。水の流れる音が、かすかに聞こえてくる。じっと聴き耳を立てていた真希の顔が、次第に緊張していく。
ふと、加津子のあらわな姿態を思い出した。
真希は路代に、声を落としていった。
「この音、ビデオに録音されていた音に似てない」
「……ほんとだ」
目を伏せ、耳に神経を集中させて外の音を聞いていた路代が、その顔を上げて大きくうなずいた。
「神田川の水が流れる音なんだ。それに、このビルのすぐそばを都電の荒川線が走っているわ。それからこの部屋の作り、ビデオの映像に出ていたのとよく似ていると思わない?」
真希の言葉に、路代はあらためて部屋の中を見回し、興奮気味に声を抑えていった。
「間違いない。たしかこの部屋よ。あ、そうか、助手の男なら、ここにきていた加津子さんを知っていても当然よね。そういえばあの男、嫌な眼付きをして私たちのこと、ジロジロ見てたわ」
「客が帰ったあと、この部屋を自由に使えるのは、あの男か妙真しかいない。こうなったら、助手の男の血液型を調べることね」
といい終えた真希の耳に、床をするようなスリッパの音が聞こえた。
正面から攻撃を仕掛けてやろう。と考えながら、二人は何食わぬ顔をしていた。
「どうぞ」
声を掛けた山崎に案内されて、二人はべつの部屋へ入った。部屋の正面には、金色の布を敷きつめた三段の祭壇があった。
観音像や、不動明王などの像が祀《まつ》られ、燭台や香炉が置いてある。
そして中央最下段には、直径二十センチはあると思われる白い鉢に植えられたウバタマが飾られていた。仏とサボテンの、妙な組み合わせだった。
が、その違和感がまた、なぜか特殊な環境を作り出していた。
長い髪を垂らした妙真が紫色の法衣をまとい、静かに座っていた。
一種独特な雰囲気を持った女性だった。
二人は妙真の前に敷いてある座布団の上に正対して、妙真を見付めた。
妙真はゆっくり目を開けた。二人の顔をジッと見付めながら、おごそかに落ち着いた声で語り掛けた。
「お二人とも、顔にくもりが出ています。大きな悩みごとを抱えていますね」
「はい、実は教えていただきたいことがありまして」
真希は真面目な顔をして、神妙にいう。
「霊のお力を持ってすれば、どんなことでも解決できます。このウバタマが、私に霊力を与えてくれるのです」
妙真はやうやうしく頭を下げた。
「そうですか……実は私の知り合いで、二宮加津子という女性と根本寿夫という男性がいたんですが、二人とも最近殺されました」
真希は、ずばり切り込んだ。
一瞬、妙真の顔がビクッと引きつる。真希はその表情の変化を見逃さなかった。冷静さをよそおってはいるが、目に落ち着きがない。動揺した気持ちを抑えようとしているのは明らかだった。
「しかも女性は裸にされ、ビデオに撮られていた。ところが妙なことに、ビデオに映っていた部屋が隣の控え室と同じ場所ですし、どう解釈すればいいんでしょうね」
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