和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>御曹司
解説
辱められ、穢されているのに、気持ちいいなんて……。
蘭閨館を調べるため秋沙島を訪れた唯は、そこで川神家の若き当主・正宗に、卑劣で復讐すべき存在として迎え入れられた。『屋敷に滞在中は正宗の言うことには絶対服従する』――正宗の狙いも知らず、その約束を交わした夜から、唯は恥辱に満ちた深い快楽を教え込まれることになる。女郎のように扱われ、狂おしいほどの被虐の快感に溺れながらも、誇りを失わぬ唯と、運命に殉じようとする孤独な正宗。歪な情交を重ねつつも、ふたりの心はいつしか惹かれあうのだが……。
蘭閨館を調べるため秋沙島を訪れた唯は、そこで川神家の若き当主・正宗に、卑劣で復讐すべき存在として迎え入れられた。『屋敷に滞在中は正宗の言うことには絶対服従する』――正宗の狙いも知らず、その約束を交わした夜から、唯は恥辱に満ちた深い快楽を教え込まれることになる。女郎のように扱われ、狂おしいほどの被虐の快感に溺れながらも、誇りを失わぬ唯と、運命に殉じようとする孤独な正宗。歪な情交を重ねつつも、ふたりの心はいつしか惹かれあうのだが……。
目次
蘭閨館の虜囚
あとがき
あとがき
抄録
「――入るぞ」
「あ……はい」
相手は、入っていいかと問うこともない。
唯が身を起こして了承の返事をしたのとほぼ同時に障子が開き、羽織を脱いだ正宗が現れた。
「下手だな」
姿を見るなり正宗に言われて、何のことかわからずに唯は訝《いぶ》りながら彼を見上げる。
「あの……何が、ですか?」
「浴衣だ。そんな着方をしてはきついだろう。後ろ身頃に余裕を持たせてやったほうが……」
唯は普段は浴衣を着る習慣などなかったが、用意されていたものを着ないのも申し訳ないと、風呂を借りたあとに置いてあった浴衣を身につけたのだ。
跪いた彼は唯の浴衣を直そうとしてから、おかしげに小さく笑った。
「いや……どうせ脱がせるのだから、着せてやる意味はないか」
「え……?」
正宗の言葉の意味が、唯にはわからなかった。
問いを発するのと同時に軽く後ろに突き飛ばされて、唯は背中から蒲団に倒れ込む。体勢を整える隙も与えず、文机に眼鏡を置いた正宗が唯に覆い被さってきた。
「な、何するんですか、いきなり!」
まさに組み敷かれた状態になり、唯の声は驚きに上擦《うわず》った。躰を捩って正宗から逃れようとしたものの、今度は両腕をそれぞれ正宗に掴まれ、躰の自由はあっという間に奪われてしまう。
「この島で、仕事をしてもらうと言っただろう」
酷薄さの中に、どこか面白がっているような様子が滲む声音だった。
「仕事……?」
この状況下では、考えられることは一つしかない。嫌な予感がして、唯は正宗の躰を引き剥がそうとますます激しくもが(※)《もが》いた。
「も、もしかして、僕のこと……女性と勘違いしていたんですか?」
「そんなことは関係ない。男でも女でも、大した問題ではないからな」
「僕には問題です。放してもらえませんか」
「なぜだ」
冷たい囁きが、鼓膜をくすぐる。
「悪いんですが、僕はこういうことのために来たわけじゃない。あなたの期待には添えそうにありません」
唯は押し殺した声で、そう言った。
「おまえがこの屋敷で何をするのか、決めるのは私だと言っただろう。念書を忘れたのか?」
はっと唯は息を呑む。
忘れていた。
あの念書は、このためのものだったのか……!
何も考えずにあんなものに署名をした間抜けな自分を嘲笑いたかったが、それは今すべきことではない。正宗に負けてなるものかと、唯は必死で彼の躰の下で身を捩った。
「それとこれは別です」
「別なものか。――――絶対服従、と書いておいたはずだ。それに、蘭閨館を訪れたいならば、必ず通過儀礼を受けなくてはいけない」
一瞬、抵抗の手が止まったのは、融の面影が脳裏を過《よぎ》ったせいだ。
融もその通過儀礼を受けたのだろうか。
怯んだ隙を突いて、正宗は唯をしっかりと押さえ込んでくる。剥き出しになった膝から腿の付け根への線を指先で辿られて、唯は躰を強張らせた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「あ……はい」
相手は、入っていいかと問うこともない。
唯が身を起こして了承の返事をしたのとほぼ同時に障子が開き、羽織を脱いだ正宗が現れた。
「下手だな」
姿を見るなり正宗に言われて、何のことかわからずに唯は訝《いぶ》りながら彼を見上げる。
「あの……何が、ですか?」
「浴衣だ。そんな着方をしてはきついだろう。後ろ身頃に余裕を持たせてやったほうが……」
唯は普段は浴衣を着る習慣などなかったが、用意されていたものを着ないのも申し訳ないと、風呂を借りたあとに置いてあった浴衣を身につけたのだ。
跪いた彼は唯の浴衣を直そうとしてから、おかしげに小さく笑った。
「いや……どうせ脱がせるのだから、着せてやる意味はないか」
「え……?」
正宗の言葉の意味が、唯にはわからなかった。
問いを発するのと同時に軽く後ろに突き飛ばされて、唯は背中から蒲団に倒れ込む。体勢を整える隙も与えず、文机に眼鏡を置いた正宗が唯に覆い被さってきた。
「な、何するんですか、いきなり!」
まさに組み敷かれた状態になり、唯の声は驚きに上擦《うわず》った。躰を捩って正宗から逃れようとしたものの、今度は両腕をそれぞれ正宗に掴まれ、躰の自由はあっという間に奪われてしまう。
「この島で、仕事をしてもらうと言っただろう」
酷薄さの中に、どこか面白がっているような様子が滲む声音だった。
「仕事……?」
この状況下では、考えられることは一つしかない。嫌な予感がして、唯は正宗の躰を引き剥がそうとますます激しくもが(※)《もが》いた。
「も、もしかして、僕のこと……女性と勘違いしていたんですか?」
「そんなことは関係ない。男でも女でも、大した問題ではないからな」
「僕には問題です。放してもらえませんか」
「なぜだ」
冷たい囁きが、鼓膜をくすぐる。
「悪いんですが、僕はこういうことのために来たわけじゃない。あなたの期待には添えそうにありません」
唯は押し殺した声で、そう言った。
「おまえがこの屋敷で何をするのか、決めるのは私だと言っただろう。念書を忘れたのか?」
はっと唯は息を呑む。
忘れていた。
あの念書は、このためのものだったのか……!
何も考えずにあんなものに署名をした間抜けな自分を嘲笑いたかったが、それは今すべきことではない。正宗に負けてなるものかと、唯は必死で彼の躰の下で身を捩った。
「それとこれは別です」
「別なものか。――――絶対服従、と書いておいたはずだ。それに、蘭閨館を訪れたいならば、必ず通過儀礼を受けなくてはいけない」
一瞬、抵抗の手が止まったのは、融の面影が脳裏を過《よぎ》ったせいだ。
融もその通過儀礼を受けたのだろうか。
怯んだ隙を突いて、正宗は唯をしっかりと押さえ込んでくる。剥き出しになった膝から腿の付け根への線を指先で辿られて、唯は躰を強張らせた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
形式
【MEDUSA形式】MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存さされているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。
詳細はMEDUSA形式のご利用方法をご覧下さい。
































