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著者プロフィール
森本 あき(もりもと あき)
9月26日生まれ。山口県出身、東京都在住。
9月26日生まれ。山口県出身、東京都在住。
解説
大学1年生の千歳胡桃は、小さな頃から大好きだった10歳年上の大手保険会社の営業マン、草柳青嵐と同棲中だ。胡桃の18歳の誕生日に恋人同士になった二人だが、どんな相手でも選べるはずの青嵐がどうして自分を選んでくれたのか、胡桃は不安な日々を送っていた。セックスのときだけは何も考えず不安にならずにいられる胡桃だったが、本当は心ごと青嵐のすべてが欲しくて……。
目次
一緒に暮らそう
あとがき
おまけ
あとがき
おまけ
抄録
「疲れた……」
家に帰ったときは、一時を過ぎていた。グループ実験がうまくいかずに、終電まで粘っていたのだ。結局、その実験は成功しなくて、来週に回すことになった。そろそろ発表も近いので、泊まり込んでやることになるかもしれない。
大学はモラトリアムだと聞いていたのに、まったく猶予なんかない。もちろん、勉強するのが学生の本分で、正しいことだとは分かっているけれど。バイトだ、コンパだ、デートだ、旅行だ、と浮かれている高校時代の同級生に会うと、その生活のちがいに驚かされると同時に、うらやましくなる。忙しいのもあるけれど、話が合わないせいか、最近、彼らとは疎遠になってしまった。
遅くなる、とメールしておいたので、玄関以外の電気は消えていた。今日は俺も接待だという返事がきたから、疲れて眠ってしまったのだろう。
唯我独尊を地でいく青嵐は、他人に気を遣ったりするのが苦手だ。接待のあとは、どっと疲れてしまう、と言っていた。いつも傲慢で意地悪な青嵐が、いったい、どんな顔で営業をしているのか、見てみたいとときどき思う。
胡桃は青嵐を起こさないように、そーっと廊下を歩いて浴室へ向かった。ざっとシャワーを浴びて、寝室へ入る。フットライトがついているので、部屋の電気をつけなくてもすむのだ。
ベッドに潜り込もうとしたら、青嵐が身じろいだ。ちょっとお酒の匂いがするけれど、全然、いやじゃない。
好きな人なら、なんでも許せる。
ひどいことを言われても、意地悪をされても。
そのときは、むっとしたり、キーッ、とわめいたりするけど。
しばらくすねていても、青嵐が話しかけてくれたら笑ってしまう。キスしてくれたら、幸せになる。
だって、しょうがない。
そんな青嵐を好きになったんだからしょうがない。
胡桃は青嵐の顔をじっと見つめた。やっぱり、少し疲れた表情をしている。
声が聞きたいな。
ふいにそう思った。
起きて、胡桃、っていつものように優しく呼んでくれないかな。
それから、引き寄せて、キスしてくれないかな。
無理だと分かっているから、ただ見つめ続けるだけ。
「ねえ、青嵐、知ってる? 俺、青嵐が大好きなんだよ」
そっとささやいて、頬にキスをした。それから、携帯の目覚ましをセットする。
できることなら、ちゃんとある。
明日、青嵐と同じ時間に起きて、出かけるまでの一時間、いろんなことを話せばいい。
そうしたら、声が聞ける。キスもしてもらえる。
夜が遅いから。大学が忙しいから。たくさん寝ないと頭が働かないから。
そんなのは、全部、言い訳。
いまから寝れば、五時間は眠れる。それで睡眠は十分だ。
何よりも青嵐が大切で、ずっとそばにいたい、と思うなら、その努力をすればいい。
休日には一緒にいられるから、と甘えていた。目覚ましが鳴っているのに気づいても、あと五分、と止めていた。
でも、それじゃダメ。
青嵐ともっと顔をあわせたいなら、胡桃が努力するしかないのだ。
「おやすみなさい」
胡桃は目を閉じて、青嵐に体をくっつけた。青嵐の温もりは、いつだって胡桃を安心させてくれる。
寝ているはずなのに、青嵐の手が胡桃の背中に回った。
それだけで嬉しくて。
胡桃も、青嵐にぎゅっと抱きついた。
このまま離れたくない、と思いながら。
*この続きは製品版でお楽しみください。
家に帰ったときは、一時を過ぎていた。グループ実験がうまくいかずに、終電まで粘っていたのだ。結局、その実験は成功しなくて、来週に回すことになった。そろそろ発表も近いので、泊まり込んでやることになるかもしれない。
大学はモラトリアムだと聞いていたのに、まったく猶予なんかない。もちろん、勉強するのが学生の本分で、正しいことだとは分かっているけれど。バイトだ、コンパだ、デートだ、旅行だ、と浮かれている高校時代の同級生に会うと、その生活のちがいに驚かされると同時に、うらやましくなる。忙しいのもあるけれど、話が合わないせいか、最近、彼らとは疎遠になってしまった。
遅くなる、とメールしておいたので、玄関以外の電気は消えていた。今日は俺も接待だという返事がきたから、疲れて眠ってしまったのだろう。
唯我独尊を地でいく青嵐は、他人に気を遣ったりするのが苦手だ。接待のあとは、どっと疲れてしまう、と言っていた。いつも傲慢で意地悪な青嵐が、いったい、どんな顔で営業をしているのか、見てみたいとときどき思う。
胡桃は青嵐を起こさないように、そーっと廊下を歩いて浴室へ向かった。ざっとシャワーを浴びて、寝室へ入る。フットライトがついているので、部屋の電気をつけなくてもすむのだ。
ベッドに潜り込もうとしたら、青嵐が身じろいだ。ちょっとお酒の匂いがするけれど、全然、いやじゃない。
好きな人なら、なんでも許せる。
ひどいことを言われても、意地悪をされても。
そのときは、むっとしたり、キーッ、とわめいたりするけど。
しばらくすねていても、青嵐が話しかけてくれたら笑ってしまう。キスしてくれたら、幸せになる。
だって、しょうがない。
そんな青嵐を好きになったんだからしょうがない。
胡桃は青嵐の顔をじっと見つめた。やっぱり、少し疲れた表情をしている。
声が聞きたいな。
ふいにそう思った。
起きて、胡桃、っていつものように優しく呼んでくれないかな。
それから、引き寄せて、キスしてくれないかな。
無理だと分かっているから、ただ見つめ続けるだけ。
「ねえ、青嵐、知ってる? 俺、青嵐が大好きなんだよ」
そっとささやいて、頬にキスをした。それから、携帯の目覚ましをセットする。
できることなら、ちゃんとある。
明日、青嵐と同じ時間に起きて、出かけるまでの一時間、いろんなことを話せばいい。
そうしたら、声が聞ける。キスもしてもらえる。
夜が遅いから。大学が忙しいから。たくさん寝ないと頭が働かないから。
そんなのは、全部、言い訳。
いまから寝れば、五時間は眠れる。それで睡眠は十分だ。
何よりも青嵐が大切で、ずっとそばにいたい、と思うなら、その努力をすればいい。
休日には一緒にいられるから、と甘えていた。目覚ましが鳴っているのに気づいても、あと五分、と止めていた。
でも、それじゃダメ。
青嵐ともっと顔をあわせたいなら、胡桃が努力するしかないのだ。
「おやすみなさい」
胡桃は目を閉じて、青嵐に体をくっつけた。青嵐の温もりは、いつだって胡桃を安心させてくれる。
寝ているはずなのに、青嵐の手が胡桃の背中に回った。
それだけで嬉しくて。
胡桃も、青嵐にぎゅっと抱きついた。
このまま離れたくない、と思いながら。
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