和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>御曹司
著者プロフィール
神香 うらら(じんか うらら)
出身地:岡山県。星座:魚座。誕生日:3月13日。血液型:O型。
出身地:岡山県。星座:魚座。誕生日:3月13日。血液型:O型。
解説
母の行方を探すため永石家にメイドとして潜入した綾也だが、長男の光一郎に男だとばれてしまい、Hなお仕置きをされて……!?
※ イラストは含まれていません。
※ イラストは含まれていません。
目次
ご主人様にはナイショ
ナイショのデート
あとがき
ナイショのデート
あとがき
抄録
カップに残っていたカフェオレを飲み干して立ち上がり、シンクに運ぶ。袖を捲って蛇口をひねったそのとき――――。
「清水さん」
「わあっ!」
――――ガシャン。
……シンクに、カップの破片が散らばる。
「あああーっ! 割っちまったーっ!」
この家に来て初めての粗相に、綾也は思いっきり素に戻って声を上げた。
綾也が家で使っていたマグカップと違い、永石家の食器はどれも繊細で高そうな物ばかりなのだ。
(あ、やべっ)
自分に急に声をかけて驚かせた男の存在を思い出し、ぱっと口に手を当てる。
「……すまない。驚かせるつもりはなかったんだが」
そっと上目遣いで窺うと、光一郎は珍しく困惑したような表情を浮かべていた。
「いえ、そんな……痛っ」
慌てて破片に手を伸ばした綾也は、鋭い痛みに手を引っ込めた。
「切ったのか?」
「あ、大丈夫で……っ!」
最後まで言い終わらないうちに、綾也は息を飲んだ。
光一郎が、綾也の手首を取り、切り傷のできた人差し指をぱくっと咥えたから。
(ひいいいいい――――――――っ!!)
声にならない叫び声を上げる。
他人に指を咥えられるなんて初めてのことだ。光一郎の口の中は熱くて……傷を舐められているだけなのに、それだけではない妙な感覚を綾也にもたらす。その未知の感覚に、綾也はぶるっと背筋を震わせた。
傷を丹念に舐め……光一郎は唇を離す。
「……あまり深くないな。一応医者に診せるか?」
「いえっ、だい、大丈夫ですからっ」
慌てて手を引っ込めようとするが、光一郎は手首を放してくれない。顔を上げると、頭一つ分背の高い光一郎が、じいっと綾也を見下ろしていた。
体温が一気に上昇する。
心臓の音がドラムのように鳴り響いている。
目をそらしたいのに、その力強い眼差しに魅入られたようにそらせない。
(な……なんかまずくないか、この状況は)
なんだか昼メロのワンシーンのようではないか、と思いかけて慌てて打ち消す。
(俺が知らないだけで、金持ちのエリートの人はこういうことを普通に、日常的にするもんなのか!? だけどこういう人がこういうことすると、世間一般の女性はくらくらっときたりするんじゃないのか!?)
無言で光一郎と見つめ合ったまま、綾也は貧血で倒れたときのように目の前がチカチカしてくるのを感じた――――。
「――――ああ、失礼」
唐突に、光一郎の手が離れる。
よろりとよろけ、綾也はシンクに手をついて体を支えた。
「薬を持ってくる」
前髪をかき上げ、光一郎は綾也に背を向けた。足早にキッチンを出ていく。
一人になった綾也は大きく息を吸い……へなへなとその場にしゃがみ込んだ。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「清水さん」
「わあっ!」
――――ガシャン。
……シンクに、カップの破片が散らばる。
「あああーっ! 割っちまったーっ!」
この家に来て初めての粗相に、綾也は思いっきり素に戻って声を上げた。
綾也が家で使っていたマグカップと違い、永石家の食器はどれも繊細で高そうな物ばかりなのだ。
(あ、やべっ)
自分に急に声をかけて驚かせた男の存在を思い出し、ぱっと口に手を当てる。
「……すまない。驚かせるつもりはなかったんだが」
そっと上目遣いで窺うと、光一郎は珍しく困惑したような表情を浮かべていた。
「いえ、そんな……痛っ」
慌てて破片に手を伸ばした綾也は、鋭い痛みに手を引っ込めた。
「切ったのか?」
「あ、大丈夫で……っ!」
最後まで言い終わらないうちに、綾也は息を飲んだ。
光一郎が、綾也の手首を取り、切り傷のできた人差し指をぱくっと咥えたから。
(ひいいいいい――――――――っ!!)
声にならない叫び声を上げる。
他人に指を咥えられるなんて初めてのことだ。光一郎の口の中は熱くて……傷を舐められているだけなのに、それだけではない妙な感覚を綾也にもたらす。その未知の感覚に、綾也はぶるっと背筋を震わせた。
傷を丹念に舐め……光一郎は唇を離す。
「……あまり深くないな。一応医者に診せるか?」
「いえっ、だい、大丈夫ですからっ」
慌てて手を引っ込めようとするが、光一郎は手首を放してくれない。顔を上げると、頭一つ分背の高い光一郎が、じいっと綾也を見下ろしていた。
体温が一気に上昇する。
心臓の音がドラムのように鳴り響いている。
目をそらしたいのに、その力強い眼差しに魅入られたようにそらせない。
(な……なんかまずくないか、この状況は)
なんだか昼メロのワンシーンのようではないか、と思いかけて慌てて打ち消す。
(俺が知らないだけで、金持ちのエリートの人はこういうことを普通に、日常的にするもんなのか!? だけどこういう人がこういうことすると、世間一般の女性はくらくらっときたりするんじゃないのか!?)
無言で光一郎と見つめ合ったまま、綾也は貧血で倒れたときのように目の前がチカチカしてくるのを感じた――――。
「――――ああ、失礼」
唐突に、光一郎の手が離れる。
よろりとよろけ、綾也はシンクに手をついて体を支えた。
「薬を持ってくる」
前髪をかき上げ、光一郎は綾也に背を向けた。足早にキッチンを出ていく。
一人になった綾也は大きく息を吸い……へなへなとその場にしゃがみ込んだ。
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