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囚われの結婚【ハーレクインSP文庫版】

囚われの結婚【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ビアンチン(Helen Bianchin)
 ニュージーランド生まれ。想像力が豊かで、読書を愛する子供だった。十代の初めのころに初めて物語を書く。学校を卒業して、法律事務所で秘書をしたのち、二十一歳のときに友人とともにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアにわたる。メルボルンで数カ月働き、北クイーンズランドのたばこ農園を手伝っていたときにイタリア人男性と知り合い結婚した。その後三人の子供に恵まれ、子供たちや友人にたばこ農園の話を聞かせているうちに小説を書くことを思いついたという。イタリア人男性をヒーローにした最初の小説は、一年をかけて完成され、その後イギリスのハーレクイン社から出版された。もっとも尊敬する作家はノーラ・ロバーツと語るが、プライベートな時間に“座り心地のいい椅子に丸くなって”する読書は、ミステリーからロマンスまで幅広い。これまでに訪れたいちばんロマンティックな場所はハワイのホノルルだという。

解説

ケイトが妹とふたり片田舎でほそぼそと暮らすには理由があった。4年前、亡き母の親友の息子である大富豪ニコラスと結婚したが、不幸にもある噂を耳にしてしまい、彼女は深く傷ついた。結婚を隠れ簑に、社交界の華と謳われる人妻を愛していた夫……。みじめな立場に耐えられず、彼女は偽りの生活を捨てたのだった。だがある日、反抗期の妹が家出したことがわかり狼狽していると、家の前に停まった高級車から、なんと別居中のニコラスが現れる。彼は悠然と妹の無事を告げると、自分が後見人になると申し出て、その代償にケイトが妻として戻ってくることを要求した!
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されているカバー替え版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 レベッカが部屋を出ていったとたん、ケイトはカップと受け皿をお茶のワゴンにのせて片づけた。
「そのままにしておけばいい」ニコラスが言った。「メアリーが明日の朝片づけてくれるよ」
「ワゴンにのせてキッチンまで運んでおけば、彼女も楽でしょう?」
「遅らせる戦術かい、ケイト?」彼の声はどこかのんびりと物憂げだ。見た目もすっかりくつろいで楽しそうなので、ケイトは突然、その穏やかな仮面をはがしてやりたくなった。
「そうよ! おとなしく二階に上がって、ベッドで忠実な妻の役割を果たすなんてごめんだわ」
「ぼくたちは取り引きをしたんだ」ニコラスは一歩も引かない構えで、容赦なく言った。「レベッカに安定した生活と私立学校の学費」彼はじっとケイトの目を見た。「その代わりに、ぼくはきみを手に入れる」
「わたしの気持はどうなるの?」ケイトは悲痛な叫びをあげ、果敢な抵抗を試みた。
「逆らってもむだだ。何をしたって、ぼくがなんとも思わないのはわかっているはずだよ」
「まあ、ひどいことを!」いきなりケイトは手を振り上げたが、あと少しというところでニコラスに手首をぎゅっとつかまれた。
「きみをベッドに連れていくくらい、わけもないんだ」ニコラスの声はぞっとするほど厳しかった。そばに引き寄せられ、ケイトは荒々しい目で彼を見た。
「あなたと暮らすなんて地獄だわ」ケイトは思わず言い放った。怒りの言葉を浴びせ、敵意のこもったまなざしを向けるのが精いっぱいで、どんな仕打ちが待っているか、気にもかけなかった。
 二人の間の空気はぴんと張りつめ、もう少しで燃え上がりそうだった。
 ニコラスは目をぎらぎらさせ、無言の怒りに顔を硬直させて、頭を下げてきた。
 何をするつもりかはすぐわかった。ケイトはあごを引きしめ、彼の唇を避けようと顔をそむけたが、間に合わなかった。力ずくで唇をこじ開けられ、叫びはキスにのみ込まれた。
 彼を止める方法は何もなかった。あまりに我が物顔の強引なキスに、ケイトはこぶしを握りしめ、夢中でニコラスの脇腹や背中を手あたりしだいに叩いた。だが、そのうちに彼は少し体を動かし、ぴったりケイトを引き寄せた。両腕を後ろでつかまれ、ケイトは今や捕虜同然だった。
 キスは永遠に続くかと思われた。その激しさはケイトのあらゆる感覚を混乱させ、彼女を炎の渦に巻き込んだ。傷つかずにそこから抜け出せそうもない。
 ようやくニコラスがゆっくりと頭を上げたとき、ケイトは動くこともできず、ただ立ちつくしていた。見開いた目はサファイアのような色がいちだんと濃さを増し、蒼白な顔の中で底なしの池のように見えた。
 ケイトは今にも死にそうだった。心も体も疲れ果てている。もし無理に動こうとしたら、彼の足元にくずおれてしまうに違いなかった。
 涙があふれ、こぼれ落ちそうになる。ケイトは急いでまばたきした。
 ニコラスは無言でケイトを胸に抱き上げ、そのまま楽々と居間から階段へ向かった。
 寝室に入ってドアを閉めると、彼は部屋の中央まで行ってケイトを床に下ろした。そしてゆっくりと着ているものを脱がせていく。彼は目に断固とした意志を見せながら、自分の上着を脱ぎ捨てた。
 ひとでなし、泣くものですか。ケイトは固く心に決めた。それに逆らうこともやめた。そんなことをしても彼を満足させるだけだ。
 しばらく、ニコラスはただじっと眺めていた。ケイトは催眠術にかけられたように立ったまま、ほとんど息もできなかった。やがて彼は手を伸ばし、頭を下げて、どきどきと打っているケイトの首筋の脈を唇で探った。ほっそりした体に、かすかなおののきが走る。
「大嫌いよ」ケイトは苦しげにささやいた。浮き立つような感覚が、体の奥からかすかに込み上げてくる。それはケイトの言葉が偽りにすぎないことをあざけった。
「いくらでも嫌っていいよ、子猫ちゃん」ニコラスはかすれ声でゆっくりと言った。「ごく自然な感情だ。それにあとになればどうでもよくなる」
「体はあなたのものになっても」ケイトは目をいっそう大きく見開いて、激しく言い返す。「でも、心は永遠にそうはならないわ」
「永遠というのは長いね。だが、気持は変わる。ぼくたちの子供を妊娠して産むという奇跡が起これば、永遠に同じ気持でいるとは思えないね」
「わたしの子供よ」ケイトはかっとして言った。考えただけで心臓がびくっとする。「それに子供の母親として縛りつけるのなら、せめて一年は待ってほしいわ」果敢にも言いきった。
 ニコラスの目は険しく、磨いたオニキスのように黒くなった。「ぼくが避妊するなと言ったら、どうする?」
「結婚してからあなたはなんでも思いどおりに決めてきたわ」ケイトは激しい口調で答えた。「最初からわたしは口をはさむ余地がなかったのよ。せめて一つだけは譲ってちょうだい」
 ニコラスの脅迫するような冷たい目は、なめらかな口調とそぐわない。「一年だよ、ケイト。それ以上はだめだ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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