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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

砂上の愛の城

砂上の愛の城


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アビー・グリーン(Abby Green)
 ロンドン生まれだが、幼少時にアイルランドに移り住む。十代のころに、祖母の愛読していたハーレクインのロマンス小説に夢中になり、宿題を早急に片づけて読書する時間を捻出していた。短編映画のアシスタント・ディレクターという職を得るが、多忙な毎日の中でもハーレクインの小説への熱はますます募り、ある日辞職して、小説を書きはじめた。

解説

狂おしい熱砂のような情熱は、私への愛でなく、懲らしめのため。

ハンサムだが傲慢で冷酷非情なことで知られる実業家、アーキム。妹の婚約者として彼を知ったシルヴィーだったが、あろうことかその夜、パーティで彼に唇を奪われてしまう。さらに、親の勧めるままビジネスがらみの結婚などしたくないと最愛の妹から助けを求められた彼女は、意を決して二人の結婚式に乗りこみ、異議を申し立てた。昨夜、花婿は自分とベッドをともにしたと大嘘をついて。まさか、結婚とビジネスを台無しにされ激怒したアーキムが、砂漠の国にある彼の城へ自分を連れ去るとは、予想だにしなかった。

■豪奢な舞台と激しく燃える愛の描写が魅力のアビー・グリーンの作品は、砂漠の国アル・オマールでの異国情緒あふれる物語。一代にして巨万の富と名声を手にした大富豪アーキムに軽蔑されているはずのシルヴィーは、情熱的に求められるまま彼に純潔を捧げ……。

抄録

 シルヴィーは歩きだし、そこで初めてアーキム・アル・サイードがすぐそばにいるのに気づいた。手を伸ばしたら触れられるほどそばに。そして、まさに彼は手を伸ばし、シルヴィーに触れた。ハイヒールの踵が再び柔らかい地面にめりこみ、彼女がつんのめって悲鳴をあげたときに。
 あまりにもしっかりと腕をつかまれたせいでシルヴィーは完全にバランスを崩し、くるりと回って彼の胸に激突した。最初に感じたのは、彼の胸が途方もなく固いということだった。まるでコンクリートの塊のようだ。
 それに、彼は途方もなく背が高いと感じた。
 なぜここを立ち去ろうとしていたのか忘れ、シルヴィーはかすれた声で言った。「教えて。あなたはひと目見ただけで人を嫌いになるの? それとも私のことだけ?」
 月の光で彼の官能的な唇がゆがむのが見えた。「僕は君を知っている。見たことがあるんだ。パリじゅうにポスターが貼られていた。何カ月も」
 彼の言外の非難に怒りがこみあげ、シルヴィーは片眉をつりあげて言った。「理由はそれだけなの? 実物の私を見たら、最悪の疑念が裏づけられたということ?」
 彼の視線が自分の胸元に落ちたのに気づき、シルヴィーの全身が熱くなった。
 彼がかすれた声で答えた。「確かにずいぶん肌が見えているな」再び視線を上げ、シルヴィーの目を見すえる。「だが、ふだんのショーではそんなものじゃないんだろう?」
 それを聞いたとたん、シルヴィーはアーキム・アル・サイードの腕の中から逃れ、彼を押しやった。だが、あまりにも腹が立っていたせいで去り際に本音を吐かずにいられなかった。
「あなたみたいな人を見るとむかむかするわ。あなたは他人を裁き、非難するけど、自分が何を言っているかわかっていないのよ」シルヴィーは彼の胸に人さし指を突きつけた。「教えてあげるわ。〈ラムール・レビュー〉が提供するのは世界で最も高級なキャバレーショーで、私たちは訓練を積んだ一流ダンサーなの。怪しげなストリップ劇場とは違うのよ」
 彼がそっけなく言った。「だが、君たちも裸になるんだろう?」
「それは……」実際のところ、シルヴィーは完全に裸になることはない。胸が豊かすぎるのだ。ピエールはもっと胸の小さな女性たちを裸にさせる。おそらくそのほうが彼の審美眼にかなっているのだろう。
 アーキム・アル・サイードが不満げに声をもらした。「君がショーで裸になろうが、空中ぶらんこで逆さづりになろうが、僕にとってはどうでもいい。この話は終わりだ」
 シルヴィーがそれ以上何も言えないうちに、アーキム・アル・サイードは踵を返して歩きだした。シルヴィーはむなしい怒りと傷ついたプライドを噛みしめた。心のもっと奥深くにある感情がかきたてられている。彼にどう思われようとかまわないはずなのに、どんな人間か勝手に決めつけられたくないと強く思った。
 抑える間もなく、言葉が口から飛び出していた。
 彼が足をとめ、ゆっくりと振り返った。そして、凍りつきそうに冷たい声で言った。「今、なんと言った?」
 シルヴィーはおじけづくまいとして肩をいからせた。「あなたは傲慢で頭の固いくだらない男だって言ったのよ」
 アーキム・アル・サイードが獲物をさがす獣のような足取りで戻ってきた。シルヴィーは思わずあとずさった。背中が何か固いもの――東屋の壁にぶつかるまで。
 彼はのしかかるように目の前に立ち、シルヴィーの頭の両側に手をついた。心臓の鼓動が速まり、肌が期待にざわめく。彼はエキゾチックなムスクの香りがする。不穏な予感と危険と邪悪さに満ちている。
「あやまるか?」
 シルヴィーはかぶりを振った。「いいえ」
 彼はしばらく黙っていた。それから考えこむように口を開いた。「そうだな、君の言うとおりだ」
 シルヴィーは息をとめた。「本当に?」
 彼がゆっくりうなずき、一本の指をシルヴィーの頬から顎へ、むき出しになった肩へとすべらせていった。
 シルヴィーの息遣いが荒くなり、彼に触れられた部分は火がついたように熱くなった。
「ああ」彼が低い声で答えた。「固いのは頭だけじゃない。全身だ。君はそれをどうにかしてくれるんだろう?」
 シルヴィーが抵抗する前に、彼が腰に腕を回して引き寄せた。もう一方の手を髪に差し入れ、頭を支える。シルヴィーは息をのみ、正気を失った。
 それはやさしさのかけらもない、さぐるようなキスだった。欲望に満ちていて、破壊的だった。シルヴィーはアーキム・アル・サイードの舌に舌をからませ、彼を受け入れたいという衝動さえ感じた。シルヴィーの中に彼を拒む部分はいっさいなかった。まったく彼女らしくないことだけれど、今はその重大さについて考える余裕はなかった。
 両手を彼の胸に当て、ベストをつかんだ。それからその手を上げて首に回し、もっと近づこうとして爪先立ちになった。アドレナリンと、これまで経験したことのない喜びが血管を通して全身に広がった。
 彼の手がドレスにかかり、生地を肩から押しさげた。唇はシルヴィーの唇を離れて顎の線をたどり、あらわになった肩へ向かった。
 シルヴィーは頭をのけぞらせて目を閉じた。世界が狂気じみた激しい興奮に包みこまれていく。ドレスが押しさげられ、冷たい夜気が熱い肌に触れても、拒む気はなかった。
「アーキム……」この男性のことは何も知らないと、シルヴィーはぼんやり意識していた。でも、私はここにいて、彼に懇願している。やめてほしいと? 続けてほしいと?
 しかし、彼がシルヴィーに向けたダイヤモンドのように輝く黒い瞳が決断力を根こそぎ奪い去った。
「君に触れさせてくれ、シルヴィー」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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