マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

大富豪の小さな天使

大富豪の小さな天使


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 マリー・フェラレーラ(Marie Ferrarella)
 ヨーロッパに生まれ、ニューヨークで育った。現在は南カリフォルニア在住。USAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、アメリカ・ロマンス作家協会のRITA賞の受賞歴も持つ。これまで百五十作を超える作品を発表し、マリー・ニコールの名でも執筆。世界中の多くの読者から支持を得ている。

解説

彼女の孤独を癒せるのは、傲慢な大富豪と小さな天使――

幼くして母親を亡くし、双子の姉妹とも生き別れたクレア。その後、恋人にも手ひどく捨てられた彼女の人生は、孤独だった。そんな彼女の家の隣に、大富豪のエバンが越してきた。彼は大企業の重役に最年少で就任した仕事人間だったが、ある日、クレアは信じられない光景を偶然目撃して驚いた――家には寝に帰るだけのエバンが、赤ん坊を抱えて帰宅したのだ!職場に置き去りにされたその子は、彼の娘の可能性があるという。「いくら払ってもいいから、面倒をみてくれ」困り果てた様子の彼を見て、クレアは手を貸すことにした。だが、これ幸いと仕事に明け暮れるエバンの傲慢さに耐えかねて……。

■赤ちゃんをめぐる珠玉の物語で心温まる感動を呼んでいる大人気の名作家マリー・フェラレーラ。つねに心に孤独を抱えて生きてきたヒロインと仕事一徹の大富豪の人生は、突然舞い降りた小さな天使をきっかけに一変します。読後感最高の癒しロマンスをご堪能あれ。

抄録

 赤ん坊はまだ眠っていた。本当は揺りかごからベッドに移したほうがいいとわかっていたが、そのままにしておくことにした。“眠っている犬を起こすな”ということわざを思い出したからだ。それはきっと赤ん坊にも当てはまるだろう。
「がんばって」クレアは笑みを浮かべた。
 エバンがはったりを言っていることは彼女にもわかっていた。けれども、もう二日もエバンと彼の娘にかかりきりになってしまったのだ。自分には自分の生活があるのだから、そろそろ戻らなければならない。
「さあ、行きましょう、リビー」クレアは揺りかごをのぞきこんでいる娘に呼びかけた。「家に帰るわよ」
 リビーは立ち上がってこちらに歩いてきたが、後ろを振り返って心配そうにレイチェルを見た。「一緒に連れていけないの?」
 クレアはため息をついた。リビーはレイチェルに並々ならぬ愛情を注いでいて、母親のように世話を焼いている。クレアはこうなることを恐れていた。いずれ来る別れのときがつらくなるからだ。
「連れていけないのよ」クレアは娘に言い聞かせた。「これからはミスター・クォーターメインが面倒をみるの」
「この人が?」リビーはエバンを見上げて疑わしげに言った。
 ぼくだってそう思うよ。エバンは声に出さずにつぶやいた。ぼくには面倒をみる資格がないことが四歳の女の子にもわかるのに、母親にはどうしてわからないのだろう?
「あたしはまだ疲れてないよ、ママ。もう少しここにいてもいいでしょう?」リビーは懇願するように言った。
 ああ、そうだ。ぼくをひとりにしないでくれ! エバンは心のなかで叫び、クレアを見た。懇願しないと誓ったばかりなのに、今にもすがりついてしまいそうだった。
「だめよ。帰るのよ」クレアはゆずらなかった。とはいえ罪悪感が胸に広がっていた。
 だがここで手伝ったら、エバンのためにならないと自分に言い聞かせた。
 そしてリビーの手を引っ張ってドアまで歩いていくと、クレアは振り返った。「わたしの電話番号をなくさないでね」そう言いながらテーブルの上を指差した。
 エバンもドアの前まで歩いてきた。「ああ、わかったよ」
 クレアは同情せずにはいられなかった。暗闇が怖くてしかたないのに、怖くないと言い張る子どものような顔をエバンがしていたからだ。励まそうとしてとっさに爪先立ちになり、彼の頬にキスした。
 エバンは目を見開き、ぱっと顔を引いた。
 クレアは自分のしたことに気づくと、真っ赤になって後ろに下がった。それから深呼吸してから再び口を開いた。「きっと大丈夫だから」
「ああ、そうだな」エバンはつぶやいた。頭がぼうっとしていた。それなのに体は高圧電流が流れたように熱くしびれている。彼は頭をすっきりさせようとしてまばたきし、何があったのかを考えた。「今、きみはぼくにキスをしたのかい?」エバンはそれが現実のことなのか、白昼夢だったのかわからなかった。
「ええ、頬にキスしたわ。あなたの幸運を祈って」クレアはあわてて早口で言った。
 なんだ、それだけのことだ。深い意味はないのだ。エバンはそう思ってほっとしたが、心のどこかでがっかりもしていた。
 エバンは自分に言い聞かせた。ぼくはくたくたに疲れている。だから、いちいちおおげさに考えてしまうのだ。「今日はたいへんな一日だったから」彼はひとりごとをつぶやくように言った。頬にキスされたくらいでこんなにうろたえているなんて、クレアになんと思われているだろう? 女性経験のほとんどない臆病な男だと思われているかもしれない。もしかするとそれまで女性とベッドをともにしたことがなかったから、初めての経験で勝手がわからず、女性を妊娠させてしまった男だと思われているかもしれない。
 だとしたら名誉回復のために、いかにも手慣れたふうをよそおってこちらからクレアにキスしたほうがいい。遊びでキスできることを証明するために。それにはまずリビーを寝かしつけ……。
 エバンはそこで自分の考えていることに気づき、自分の髪をそわそわと手でなでつけた。こんなことを思うなんて、ぼくはいよいよどうかしている。
 クレアも何が起こったのかはっきりわかっていなかったが、いやな気分ではなかった。唇に残る彼の肌の感触を味わうように口を結んでからうなずいた。「もう帰るわね」そしてリビーの手を引っ張りながら家へと向かった。
 エバンはその場に立ちつくしていた。クレアにキスしたら、どんな気持ちになるだろうと考えていたのだ。けれども長いことそうしていられなかった。玄関のドアが閉まるとすぐにレイチェルが泣きだしたからだ。体に似合わず、大きな声だった。その声を出すために、これまでずっと眠って体力を温存していたかのように。
 エバンの頭のなかは真っ白になった。「かんべんしてくれよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。